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食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
二話・十月のジャックの章
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八幕・十月の十日 そのご




こつん。


足音が響く。



辺りはどんどん暗くなり、人の気配はどんどん薄れていく。


周りは静まり返っていき、いつの間にか感じられる気配は自分の他には一人分だけ。



静かに、最低限の動作で持ち歩いていたナイフに触れる。


冷たい感触が手に伝わる。


気配が近づく。


ナイフを握り込む。



射程圏内までもう少し。




そして、それが射程圏内に入った瞬間…。









振り向きざまに(・・・・・・・)思い切りナイフを振るう。


目に入った人影の、その首を確実に切り裂けるように振り切る。



そして…。





手に響く衝撃。


ナイフを落としそうになった。


爪が掌に食い込みそうなほど強く握りしめ、何とか耐える。


その間に後ろに下がり、間合いを取った目の前の人物。



小柄な体格。


深く被ったフードに顔を覆い隠すマスク。


こうしてナイフを向けれらているのに、騒ぐ様子も、逃げる様子もない。




「……やっと来たのか。」



思わず声が漏れる。


同時に歪んだ笑みも零れただろう。


あぁ、やっとだ。



これで…。




そんな俺に向かって、目の前の人影はゆっくりマスクを下げ…言葉を発した。




「うん、来たよ。お兄さん。」



そう言って、その人物は可愛らしい笑みを見せた。



「………えっ?」



戸惑いの声が口をついて出る。


何故だ?


どうして…。


俺の目の前にいるのは……。



「か…ばね…?」



呆然とした俺の問いかけに、かばねはその笑みを少しだけ曇らせて



「ごめんね、お兄さん。」



そう、小さな声で呟いた。







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