六幕・十月の七日 そのよん
プラたん曰く、
「かばねは、見た目も言動も誤解をされやすい。」
らしい。
けど、その誤解をわざわざ自分から解こうとする必要はない、とも言われてる。
自分からは嘘を吐かなくていい。
相手が誤解していることに気付いても、知らないふりでぼかせばいい。
そのことを直接的に聞かれた時は、誤魔化さずに明かせばいい。
それが僕のしょせーじゅつ。
お兄さんが話し出さないから、僕からお兄さんに話しかける。
「んー…じゃ、まずさっきの質問答えよっかな。」
この辺りは僕のしょせーじゅつの生かしどころだ。
「僕このあたりに住んでるわけじゃないから、近所探しても見つかんないのは当たり前。あのお兄さんに最後に会ったのが僕ってのも間違ってないかな。」
嘘は吐かずに、けど、なるべく真実も明かさないように。
「お兄さんも聞いたんだよね。死んだお兄さんが切り裂き魔を見たって話。その時女の人も一緒だったって。」
「あ…ああ。けど、それは間違いだったってアイツは言って…。」
「そのお兄さんと一緒に切り裂き魔を見たっていうお姉さんは、今指名手配中のお姉さん。僕もお兄さんと一緒にそのお姉さんに会ったからね。」
「……えっ…?」
そして、認識を誘導するように。
「それ……どういう…っ!?」
「さぁ?ホントの事なんて、知りたいならそのお姉さんに聞くべきだよ。」
だって僕は知ってても答えないから。
「少なくともそのことが、僕がしばらくここを離れてたことに関わるのは確かかな。」
避難じゃなくて、任務終えての帰還だけど。
僕の曖昧な答えにしびれを切らしたみたいで、お兄さんが
「…っ何か分かってんなら教えろよ!!」
と、声を荒げる。
だから僕は笑って答えるんだ。
「僕の作り話でよければね。」
僕の言葉に、お兄さんはそれでもいい、と答えて真剣な顔で頷く。
言ったね?
これで僕は堂々と嘘が吐ける。
僕だっていろいろ考えてるんだよ?




