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食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
二話・十月のジャックの章
73/330

六幕・十月の七日 そのに


二人で街を歩きながら話す。


ちなみに僕は前の時と同じキャスケット帽子スタイルで、ジャックは灰色のフード付き上着を着ている。



「……で、犯人は?」


「まだ特定は無理だよ~…。今のとこ犯行数が少ないんだから情報足りないー。」



そう、今回の事件はお姉さんの件があったから騒ぎが大きくなってるだけで、実のところまだ二件しか事件が起きてない。


…って言っても、お姉さんが死んでることを知っている僕ら以外には分からないことだけど。


僕は持ってる資料をパラパラめくりながらそう答えると、隣のジャックはチッ…と舌打ちをして



「……使えない。」



と、小さな声で呟いた。


僕は資料をめくる手を止めてジャックをむぅっと睨む。


ほんと、ジャックは思ってること正直に言いすぎ!



「それより何で居る?」


「あのねージャック…僕はプラたんからジャックのサポート頼まれてるの!ジャックまだ日本語完璧じゃないし、調査は全然できないでしょ!!」


「サポートなんて無くてもいい。俺一人で良い。邪魔。」



もー…ジャックはほんと自信過剰!


まぁ、口ではこうやって言うけど実際サポートを拒んだりはしないから、つまりツンデレなんだよねー。


だから僕はため息だけついて資料に目を戻し、調査の分析結果をジャックに話す。



「今のとこ分かってるのは、今回の犯人が前のお姉さんの犯行を結構分析してるってコト。この二つの事件現場、僕がこの間推測した次回犯行予測場所の候補内に入ってる。ペースも早め。正直、お姉さんがあのまま殺し続けてたらこんな風だったんじゃないかと思う。そこそこ頭がいいんだと思う。でも、なんとなく犯行が荒めだねぇ。」


「そういうのどうでもいい。」


「はいはい。僕ちゃんとお姉さんの殺した人回収してよく見たから分かるんだけど、傷の写真見るに、お姉さんより力がある人だろうね。」


「他には。」


「そんなもんだよー。これ以上はもうちょっと要調査―。」



僕がそう言うとジャックはまた舌打ちをする。



短気なんだからー。




さて、ジャックにも言ったように犯人特定するにはもうちょい調べなきゃ無理だ。


現場百遍って言うし、今回の最初の犯行現場でも見に行ってみよ―かなー。



なんて、考えた時だった。





「……かばね?」



不意に聞こえた僕の呼び名。


声の方に振り向くと、なんとなく見覚えのある制服。


スタンダードなアジア系の黒髪黒目。


そこそこモテるんだろう顔立ちと背格好。



んー…えーっとー…この人は…。



「あの時のお兄さんの友達の人。」



確か名前は…。



「お前っ!探したんだぞ!?」



と、考えたところですごい勢いで詰め寄られた。


あれ?


探されてたの?


なんで?


っていうか、なんかこれって前の時と逆だなー。


とか思いつつ、内心首をかしげていると



「近くの学校を見てみても居ないし、この辺りの家を調べても見つからないし!!颯太…三木のこと聞きたいんだ!アイツに最後に会ったのはお前だろ!?…っ何でアイツが殺されなきゃ…。あの時のことは見間違いだったって言ってたのに!!」



そう矢継ぎ早に言われて、頭の中の疑問符がどんどん増えてく。


お兄さんも随分と混乱しているみたい。


こんな往来でまた目立つようなことは避けたいから、僕はまだしゃべり続けるお兄さんの袖を引いて声をかける。



「お兄さん、ちょっと落ち着いて?こんなとこでする話じゃないし、どこかで座って話そう?」




そう、前に会った時のように。





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