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食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
二話・十月のジャックの章
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六幕・十月の七日


まだ日も高い時間。




街の通りに僕の声が響く。



「ジャック~~!!」



対して、ジャックはいつものように不愛想かつ簡潔に返事をする。



「……何。」


「何じゃないよ!聞きたいのはこっちだよ!!何やって来たのっ!?」



僕は街中を疾走しながら、同じく隣を走るジャックに叫ぶ。


後ろには、怒号を上げて僕達を追いかけてくる男の人達。


僕達は再発した切り裂き事件の調査、及び犯人の始末に来たはずなのに!


どうせジャックがここに来るまでにあのお兄さん達に絡まれて、生意気で上から目線の態度で怒らせたに決まってるんだ!


なんで断言するかって?


こういうパターンがしょっちゅうあるからだよ!!


これが昼間で街中じゃなかったら始末できたし、れおれおとかラグがいれば、まだ穏便に済ませられるのに!


場所もタイミングもメンバーも悪すぎ!!


あーもう…こうやって逃げてる時点で既に、ものすごく目立ってるっ!



なんとか撒かないと…。



っていうかまず、ジャックが僕の方に走って来なきゃ僕は巻き込まれなかったのに!


もうっ勘弁してよ!


後で絶対怒ってやるんだからねっ!







信号に引っかからないように気をつけて走る。


結構走ったのに、男の人達はまだ追っかけてくる。


しつこいなぁ!!


心なしか数が増えてる気がする。


大方このあたりで幅を利かせてる集まりなんだろう。


ギャラリーは沢山居るけどみんな見て見ぬふりだ。


ここまで追いかけられるなんて、ホント何やったのジャック!?


でも、本当にそろそろどうにかしないとだよなぁ。


あんまり騒ぎすぎて警察が出てくると困る。


けど、僕はともかくジャックは殺しちゃうから手出せないし、流石に一人であの人数ノしちゃうと目立つし、謝っても許してもらえそうな雰囲気じゃないし…。


…ってことは、やっぱ逃げ切るしかない!




「ジャック!!」



ジャックに視線で合図して狭い路地に走り込む。



目の前に立ちはだかるフェンス。


でも、大丈夫。


ガシャンッと大きな音をたてて、二人同時にフェンスに乗り上がる。


チラリと後ろに視線をやると、お兄さん達は大体驚いたような顔をしてるけど余裕そうにニヤついてる人もいる。



そうだよね。


このくらいのフェンス、簡単に乗り越えられるよね。



けど…



僕は右、ジャックは左のビルの壁にウォールラン。


跳んで窓の所に手をかける。


クライムアップ、あーんどもっかい上に跳びあがる!



慣れないパルクール用語なんか使うのは面倒だね。



そのままひょいひょいビルの壁を登っていく。


こっちのビルに掴めるとこが無くなったら、後ろに跳んで左のビルに移ってまた登る。


すとんっとビルの屋上に登りきってから下を見ると、お兄さん達はポッカーンとこっちを見上げてた。




うっわぁ……なにこれ楽しい!!


謎の達成感がある。




…ってあら。


ジャックと登ったビルが分かれちゃった。


ジャックは向こうのビルからこっちを見てる。



動く気はないんだね…。


もー…仕方ないなぁ…。


まぁ、確かにこっちのビルのがちょっと高いし別にいっか。



僕はちょっと下がって助走をつけて、ジャックがいる方のビルの屋上に跳ぶ。


トンっと足がつくのに合わせて、くるりと回って受け身を取る。


そして、さっと手を上げて目の前に立つジャックとハイタッチした。


後は適当にビルを伝って、離れたところで下りればいい。


さーさっさと逃げよー!


僕は跳びながら、隣のジャックに声をかける。



「たーのしいねぇ!ジャック!!」



あれ?




僕、もっと他にジャックに言おうと思ってたことなかったっけ?






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