表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
二話・十月のジャックの章
70/330

五幕・十月の六日


朝の早い時間。


すやすやと寝ていた僕は、僕を呼ぶプラたんの声で起こされた。



「かばね!かばね!!どこ行ったー!?」


「もー…うるさいなぁプラたん…。まだ早いんだよ?静かにしようよー…。」


「居たっ!…ってどこに居るんだこの馬鹿!!」




「エレベーター?」


「貨物用でしょそれ!?」



貨物用って言っても僕が丸まって入るくらいは余裕だよ?


扉は少し開けてあったから、別に酸欠にはならなかったし。




…って言ったら、ため息吐かれた。



むぅ……。



「で、何か用だった?僕、今日は何も怒られるようなことしてないよ?」


「…そうだよ。用があって探して………今日()?」


「何の用だったの!?」



いらないとこ突っ込まれそうだったから、ちょっと大きめの声でプラたんの言葉に被せるように尋ねる。


プラたんもそれには気付いたみたいだけど、



「……うん、用だけどね…。」



と、用件を話し始める。



あれ、思ったより重要な用事だったのかな?


だから僕もだらっとしてた姿勢を、心なしかしゃんとさせてプラたんの言葉を待つ。



「…この前の仕事、覚えてる?」


「んー…誘拐のやつ?侵入者の?」



そう聞いたら、呆れたようにため息をつかれた。



ため息二回目…。



「それちゃんと依頼受けたやつじゃないでしょ。」



なんて、ごもっともなことを言われたから



「はいはーい。切り裂き魔のお姉さんのだね。」



って返した。




あの仕事のことでまた説教しに来たのかなぁ…とか考えてたら、



「再発した。」



なんて、よくわからない台詞がプラたんから飛び出した。




「え?再発…って……事件が!?犯人のお姉さんはちゃんと殺したよ!?」


「それは分かってる。模倣犯か、それとも元々複数いたのか……ていうか、取りあえずこっち来なよ…かばね。」



そう言って手招きされたから、僕はプラたんの方に寄っていく。



確かに今は、僕がキッチンの貨物用エレベーターから出てきてそのまま。


プラたんがバーの店内の方に居て、えーっと…バーのカウンターの横に、下の半分だけ壁があって、上が開いててキッチンとつながってるところがあって…僕はいつもここから持って帰ってきた死体とかをキッチンに投げ入れるんだけど…そこからプラたんが見えてる。


…から、部屋をまたいで立ち話状態ってこと。



下半分だけの壁をひょいっと乗り越えて、すでにカウンター席に座ってたプラたんの横に腰を下ろす。


そして、プラたんの方に身を乗り出して聞く。



「で、状況どうなってるの?」



プラたんは、持ってた紙束の資料をカウンターの上に広げて説明を始める。



「警察は勿論、かばねの殺した女性を犯人と断定。目撃証言や潜伏先の情報を集めてる。」


「ちゃんと殺したよぅ!!」


「分かってるって…。行動範囲に大きな変わりはなさそうで、ただ…荒いけど、切り裂きジャックの模倣をしてる。」



その言葉に僕は固まる。



え…?


本気で言ってるの?



「子宮取り出したり…?」


「や、そっちじゃなく。表皮から内臓からぐちゃぐちゃ。」


「あー…メアリー・ケリー?」



切り裂きジャックの事件の中で、最も残忍に殺されたって言われてる人だ。



でも、どっちにしろそれはヤバい。



切り裂きジャックジャック・ザ・リッパーの模倣なんて命知らずな…。


七代目(ジャック)にバレたらどんな目に遭うか分かんないよ…犯人。


前の時は偶然、外国に飛んでて居なかったから良かったものの…。




「どうすんの?」


「依頼主から殺したんじゃないのか、って苦情来てるんだけど、そっちは黙らせるから良い。でも、後始末はやっぱりちゃんとするべきだし、行ってきてくれる?かばね?出来るならジャックに情報届く前に……。」



プラたんが声を潜めながら言う。






けど……。





「あ…駄目だ、プラたん。もうアウト。」


「……えっ…?」



僕の視線を追って後ろを振り返ったプラたんは、



「…誰に、何の、情報が届く前にって?」



と、いつもの仏頂面で問いかけてきたジャックを見て、盛大に顔をひきつらせた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ