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食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
二話・十月のジャックの章
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三幕・十月の三日




「れーおれおー!あっそぼー!!」



かばねがそう言って俺に突進してきたのは、昼のことだった。




この前から外出禁止を言いつけられてるもんだから、かばねはアジトの中で好き勝手遊び回ってる。


一昨日なんかはジャックと一緒に、ラグんとこで暴れてキレられたな。



ほっといても結構勝手に遊んでやがるが、こんな風にそん時居る誰かを巻き込むこともある。



ジャックを誘う時は悪戯。


ラグん時は悪ふざけ。



この二つは一緒だろと思うかもしれないが少し違う。



プラチナん時は大体付き纏っては仕事の邪魔をするか、プラチナが仕事してない時ならトランプだの何だのやってる。


キングの時はたいていダラダラしてるか、時々、本当に時々チェスなんかのボードゲームをしてる。



いつだったか一回、でかい盤にものすごい数の駒を並べた将棋っぽいものをやってたのを見たことあるな。


そん時は三~四日食うのと風呂と寝る以外、ずっとにらめっこしてやがった。


時々、かばねが『頭パンクする~~!!』とか言ってた覚えがある。


だったらやらなきゃいいのにな。



で、俺は大概、体を動かすこと。


組手だのそういう事をして遊んでやる。


相手をしてやるたび俺の動きを盗んでは、自分のスタイルにしていくんだからこいつは油断できねぇ。



こいつはほんと食事…の為の殺し…に繋がることには、圧倒的な才能を見せる。


格闘だと血が流れなくて勿体なくないね!なんて言うような奴だ。


俺の方が力も体格もあるから、まだ負けはしねぇ。


いや、武器持たれたら無理だけどな。







暴れるには地下は狭い。


…ってことで俺達は階段を上がり、普段は使っていないビルの上階に場所を移す。


すると、がらんとしてだだっ広い部屋の中に先客がいる。


ジャックだ。


仕事って聞いてたんだがな。


いつ帰ってきてたんだ?


ジャックは俺達には気付いていないのか部屋の真ん中で、こっちに背中を向けてぼうっと立っている。



これは…。



「…ジャッ…。」



ク、と続くはずだった言葉は飲み込んだ。


俺が声を発した途端、ジャックが地を蹴って一瞬で俺に肉薄し、首筋に向かってナイフを振りぬいたからだ。



「……っ!!」


思わず手加減を忘れて、ナイフを持ったジャックの腕を止め、目前の体に向かって蹴りを叩きこむ。


鈍い音はしたが、ガードされたらしい。


当たる直前に蹴りの方向に跳んだらしく、手ごたえも軽い。


ジャックはそのままステップし後ろに下がる。


そして…



「なぁに?ジャック、まだテンション高いの?しっかたないなぁ~僕も暇だし遊んであげる~!!」



なんて、緊張感のない声が後ろから上がり、かばねが俺の脇をすり抜けジャックへ向かって行く。


打ち合わされるナイフ。



…おい待て、何で持ってんだナイフ。


俺と遊ぶ時は武器なしっつってんだろうが。



そんな俺の内心のツッコミも知らず、かばねはケラケラと笑いながらジャックの相手をする。



俺は知らず止めていた息を吐き出した。



目の前のかばねとジャックは、部屋の中を身軽に跳び回って闘って(あそんで)いる。



…ったく、心臓に悪い。


あと、タイミングが悪い。


つまり、ジャックが仕事帰りで昂っていたのを醒ましてたとこに俺達が出くわしたんだろう。



時々あるんだよな。


ジャックが相手に満足できず不完全燃焼の時。


大抵はどっかで醒ましてるんだが、冷却中に出くわすとガチの攻撃を受ける。


殺人衝動は仕事で晴らしてきてるはずだから、殺されはしない。




…油断しなければ。




…はぁ…こうなったらジャックが満足するまでやるんだろうな、こいつら。


かばねも何か楽しそうにやってるから放っとくか。





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