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食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
二話・十月のジャックの章
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一幕・十月の一日

七代目、今代のジャック・ザ・リッパーについての話をしましょう。




傲岸不遜で非社交的。


まだ日本語が不自由なこともあり、放つ単語は直接的かつ不愛想。




しかしジャックの言葉は意外にも素直で嘘が無い。


嘘で取り繕わなくとも、自分の言葉が、行動が、間違っているわけがないと言いきれる豪胆さ。


それは七代目ジャック・ザ・リッパーであるという事から来る、絶対的な自信と傲慢なのでしょうが。




私から言わせてもらえば、彼のそれは甘いとしか言いようがないですねぇ。



確かにジャックは、殺人技術…特にナイフ術ならピカイチですが。


しかし、それだけで渡っていけるほど甘い世界ではないという事を、彼はまだ理解できていない。



なまじ先代が死に、七代目となってすぐ大罪に入ったからでしょうね。




《虚飾》のない《傲慢》




私はそれでも良いとは思っていますが。




いいえ、私は彼に汚れろと言えないだけですねぇ。


ジャックもですが、かばねも、嘘にまみれて汚れきった私からすれば非常に甘く、非常に眩しい。



幼いころから裏の世界に居たせいなのでしょうか。


優秀な先達に育てられていたからなのか。



いわば純粋培養の殺人鬼。



どうしようもなく歪に特化した彼ら。





いや、私達。





そう、私たちは全員歪んでいる。



だから、互いの及ばない部分は補えばいいと私は思ってしまう。


甘やかすと言ってしまえばその通り。


依存といえばその通り。


それが仲間というものだ。


利害なしに集まることなどない。






…などと口に出せば、またかばねあたりに腹黒だの卑屈だのと言われるでしょうねぇ。





まぁ、散々語りましたが結局のところジャックとかばねは、私からすれば可愛いらしい子供という事です。















「ですから、別に怒っているわけではありませんよ?」



私がそう言ってにこりと笑うと、目の前のかばねは



「ごめんってばぁ!!」



と、若干涙目で私に謝る。


隣のジャックは興味なさげに、お気に入りのナイフを弄っている。


そして二人の足元には、私が作った新作の薬品の瓶が無残に割れていて、中身が床にこぼれている。



勿論、落として壊したのはこの二人だ。



素直なジャックが答えてくれた。



「ジャックはもう少し誤魔化すってことを覚えてっ!?」


「おやおや、かばね。嘘はいけませんよ?」


「嘘でできてるラグに言われたくないっ!あと、僕は生き残るためなら嘘ぐらいいくらでも吐くっ!!」



酷い言われようですねぇ。


流石に命までは取りませんよ。


お仕置きは受けてもらいますがね。




いえいえ、怒ってなどいませんよ。



子供に対する教育の一環のようなものですからね?







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