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食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
一話・九月のかばねの章
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終幕・九月の三十日

途中視点が変わります。

かばね→プラチナ→ラグ→ジャック→レオ→かばね

キングはだらだらとした毎日休日の駄目なお父さん。


プラチナはガミガミ五月蠅い主婦のお母さん。


ドラッグリストはうさん臭いけどぼくにはちょっと甘い叔父さん。


レオンハルトは喧嘩っ早い弟みたいなお兄ちゃん。


ジャック・ザ・リッパ―は反抗期な弟。



これって家族みたい。


みんな大事な仲間。





僕は幸せだよ。









この体質じゃ多分普通には生きていけなかった。


母乳は飲めただろうけど、それ以外は無理だもん。


きっと、だから僕は捨てられたんだろう。


●●●●●●が僕を見つけた時、僕は二歳くらいだったらしいから。


母乳以外吐いてしまってたであろう僕を、そこまで育ててくれた親はむしろすごいと思うよ。


一応感謝してる。


全然覚えてないけどさ。



でも、覚えてることもあるんだよ。


異物を見るような眼と『気持ち悪い』って言葉。


それだけが記憶の中のずっと奥の方にこびりついて離れない。



でも、別に良い。



どうせ僕はあそこでは生きてけなかったし、育てなかった。


それでも一応●●●●●●に拾われるまで育ててくれたんだから、有難く思うべきなんだろう。


それに僕を育ててくれたのが●●●●●●だったのも本当によかった。


じゃなきゃ、僕はただ死んでくだけだった。


きっと僕はとっても運がいいんだろう。




こうやって生きてる。


ちゃんとごはんが食べれる。


楽しい仲間もいる。






だから僕は幸せ。






ぐーたんとだらだらしたり、プラたんをからかったり、ラグとお話したり、れおれおと取っ組み合いしたり、ジャックと遊んだり。





この日常が大好きだよ。


























昨日のラグとの遊びのせいで、ラグに娘がいるって情報が流れてる、ってまたプラたんにこってり怒られた。


それで、改めて外出禁止を言い渡された。


せっかく作った鬘も使用禁止、って言われたから食べちゃおう。



今日は珍しくみーんな居なくて、とっても暇。


他の皆はともかく、ぐーたんがどっか行ってるなんて明日はきっと雨だね。




なんて思ってたら降ってきた。



あちゃー…。






















ーーーーーーーーーーー





アンティーク調の扉を開けて中に走り込む。


見事に降られてしまった。


店も出たところだったから走って帰って来たけど、思ったより雨足が強くなって全身ずぶ濡れだ。


変装のために深く被っていた帽子をとると、中に入れ込んでいた髪が首に落ちる。


びしょ濡れになった髪が肌に張り付くのが気持ち悪い。


口元を覆うマスクも下げる。


濡れてるから息苦しい。


全く…かばねのせいで僕までこんな面倒な変装生活をしなきゃならない。


ほんとにもう…と呟いたところでくしゅんと一つくしゃみが出る。


流石に体が冷えたらしい。


何か拭くもの取って来ないと。


なんて思いながら、ふと見るとカウンターに真っ白なタオルが積んである。



「……これ…。」



一瞬びっくりして動きが止まったけど、多分こんなことするのは一人だけだ。



「…まともな気遣いも一応出来るのになぁ。」



いつもこんな風だったらいいのに。


僕は苦笑しながらふわふわのタオルを手に取った。






















ーーーーーーーーーーーー





予報外れの雨。


まぁ、傘は持っていましたが思っていたより土砂降りになり、足元が濡れに濡れてしまいました。


カウンターにタオルが用意してあったので、ありがたく使わせてもらいましょう。


ふいにタオルの陰に何かがあることに気付く。


これは、私が普段使っている部屋履きでしょうか。




成程、彼女ですか。


濡れて帰ってくるのを予測して、濡れた靴をここで脱ぐようにと部屋履きを置いたのでしょう。


本当に用意が良い。



この調子だと湯船も用意してありそうですね。


と、浴室に行くと半分ほどだけ湯が張られていた。


私が風呂に入ろうという事も予想されていたようです。


では気遣いに甘えて、ゆっくり足湯でもさせていただきましょうか。



こういうのもたまにはいいですねぇ。



















ーーーーーーーーーーーーー






全身濡れて気持ち悪い。


カウンターの上のタオルをひっつかんで髪を拭く。


括ったままでは拭きにくくて、イライラしながら髪を下ろす。


冷たく張り付くシャツが鬱陶しい。


自分の部屋に向かいながらシャツのボタンを外す。


冷気に多少体が震える。




もう脱ぐのも面倒だ。


このまま寝てしまおうか。



キングでも乗り移ったような気だるげな気分で部屋の扉を開けると、



「……っ?」



ふわりと暖かな空気が肌を撫でる。



暖房?



つけて出て言った覚えはない。


それにいつも寝ているソファーにタオルが敷かれている。


俺は流石に目を丸くした。


全く読まれていたようだ。


おせっかいを焼くのが得意なのはプラチナだが、これは違うだろう。


普段あれだけ呑気だが、実際のところ別に頭は悪くないという事実を実感させられる。


まぁ、いつもこうだと面白くないだろうけど。


俺はため息と共にソファーに身を沈めた。





















ーーーーーーーーーーーーー





…ったく…鬱陶しい雨だな…。


傘なんて持ち歩いてるわけもねぇし、ようやくアジトに戻るころには濡れ鼠になってしまった。


既に外は暗い。


駆け込んだアジトの中も暗いかと思ったが、バーの電気は二階だけ薄暗く点いていた。


誰か飲んでんのか?


丁度いい。


濡れて寒ぃし俺も何か飲むか。


置いてあったタオルを取って髪を拭きながら階段を上がると、席には誰もいない。


その代わり、カウンターの上に電源をつけたままの電気ケトルとウイスキーの瓶が乗っていた。




あったまれ、ってか…。



俺が着替えないことを完璧に見越してやがったな。


流石、大罪内の究極の《怠惰》と長い付き合いなだけある。



かゆいとこに手が届く…っつーか…?


いや、なんか違う気がする。



めんどくさがりを甘やかすっつーか…。


そんな感じだ。


因みに厳しくするのがプラチナ。


あいつとキングは、時々親子通り越して熟年夫婦みてぇな会話してっからな。


天然だから空回りが多いが、意外におせっかいなんだよな。


俺は耐熱グラスにウイスキーを注いで、ケトルの湯で割る。


いつもこうならもうちょい可愛げあるんだけどな。


ふわり香る芳醇なホットウイスキーの香りを楽しみながら、俺は苦笑いした。
















ーーーーーーーーーーーーー






ぐーたんの部屋の大きなアームチェアに横向きで乗っかる。



ぐーたんは帰って来ない。



珍しいなぁ本当に。


出不精のぐーたんが、こんな時間になっても帰って来ないなんてさ。


でもぐーたんだから、心配なんてしないけど。


僕は足をパタパタさせながら、持ち込んだおやつの瓶に手を伸ばす。


砕いたのとか指骨とか、細かい骨を入れてるやつ。


カリッと硬い食感。


美味しい。


多分ぐーたん今日はもう帰って来ないかな。


タオルは後で戻しておこう。


用意した着替えはそのままでいいかな。



なんて考えてたらふわぁ…と欠伸が出る。


瞼が少し重い。


今日はもうこのまま寝ちゃおうかな。





そして、また明日も大切な仲間と一緒の日常を過ごせればいいなぁなんて、都合のいいことを考える。





この穏やかで殺伐とした日々。













僕と大罪(みんな)の愉快な殺人日記。






人物紹介


名前:かばね  

性別:女   年齢:17歳くらい

容姿:焦げ茶の髪、一房だけ三つ編み 濃赤の瞳

   中性的、恰好から少年に誤解されやすい 

   見た目小学生か中学生


大罪:『暴食』 通り名:「食屍鬼」「屍食らい」

性格:天然、楽観的

人肉食 頭は悪くない

戦闘スタイル:なんでも


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