十三幕・九月の二十八日
昼下がり。
僕が部屋でコーヒーを飲んで一服していると、なにやらバタバタと騒がしい足音が聞こえてきた…。
……これは絶対…。
「プラたんっ!ねぇ!これ見てっ!!ねぇねぇっ!ぷーらーたんっ!!」
かばねが騒がしく僕の部屋に入ってきた。
出たな大罪の大型台風。
コーヒーを机に置いて振り向くと…。
「なに…って何っ!?何その毛!?黒っ!長っ!ホラーかっ!!」
かばねが黒くて長い髪の毛をもっさり手に持っていた。
流石にドキッときた。
「何って、鬘だよ?プラたん、変装しろって言ったじゃん。しかも人毛100%だよっ!」
かばねはドヤ顔で言ってくる。
「何故自慢げ…?」
「だって人毛100%だよっ!しかも見てっ!触ってっ!この質感っ!!すっごく美味しそうでしょ!!」
「ごめん分からない。質感良いのは分かるけど、後者は全然分からない。」
しかも美味しそうって…。
使ってるうちに食べない?それ。
「っていうか鬘って…出かけたいの?かばね。なんか用事ある?」
僕が尋ねるとかばねはキョトンとして
「ううん。」
と答える。
「…何故買った。」
「違うよっ!手作りだからねっ!!」
「何故作ったっ!?」
ほんと唐突によくわかんないことやりだすな、かばねはっ!
かばねは僕の渾身のツッコミにも動じず、鬘をかぶって見せて
「ねーねーどうっ?ちゃんとなってる?」
なんて言っている。
黒髪ロングになったかばねは、何だかいつもよりちゃんと女の子に見える。
確かに随分と印象が変わる。
目の色も相まって、ラグと並ぶと親子に見えるんじゃないかと思う。
変装としては結構良いのかもしれない。
「っていうかその左サイドの三つ編みはやっぱあるの…?」
「これが無いと僕って感じしないでしょ?」
何そのこだわり…。
まぁでも、とりあえず言っとくべきかな。
「似合ってるよ、かばね。」
「えへへ~。」
褒められて上機嫌のかばねがいつになく可愛らしいから、僕は仕方ないなぁなんて思いつつ、さっき驚かされたことくらいなら怒らないでおこうと思った。
「でも本格的に変装するなら、その眼カラコンとかで隠した方がいいんじゃ…。」
「目になんか入れるの怖いから嫌だ。」
子供かっ!




