十一幕・九月の二十六日
朝。
「子供とかどうでもいい。全員皆殺しにすればいい。俺ならそうする。」
「うわっ!人でなし!!きっと心臓が氷でできてるんだ。絶対そうだー!」
そんな会話が一階の方から聞こえてきた。
行ってみると、案の定かばねとジャックが二人で話している。
「帰ってきていたのですね、ジャック。」
私がそう話しかけると、二人は此方を向く。
「あ、ラグおはよー。ジャックはね、今さっき帰って来たよ。」
かばねが元気よくそう答える。
ジャックはいつもの通り不愛想に黙ったまま、朝食をとっているようだ。
そしてカウンター前の椅子に座るかばねの前にも、朝食らしき何かが置かれている。
見た感じはミルクかヨーグルトにフレークが混ざっているようだが、見た目に騙されてはいけない。
『かばねの食べているものに手を出すべからず。』
大罪内での暗黙の了解だ。
本人は意外にさらりと進めてくるが…。
「朝食ですか。かばね、それは何です?」
私がそう尋ねると、かばねはそれを一匙すくって
「ん?これはねぇ…骨紛に少し水を足したのと、爪の素揚げを混ぜたやつ。食べる?」
と、スプーンを差し出してくる。
…そんな事だろうと思いました。
油断してはいけないのだ。
かばねはどうあっても人間しか食べられないのだから。
「遠慮します。」
勿論、にっこりと笑って断っておく。
かばねは十七ですが、学校生活などはまともにできないでしょうねぇ…。
コミュニケーションや勉強はともかくとして、食事の時間だけはどうにもなりません。
「むぅ…振ってきたのラグの方じゃん。まーいいけどさぁ。」
かばねは不機嫌そうな顔をしながらスプーンを自分の口に運ぶ。
骨粉が水に溶けるわけもないので、砂でも噛んでいるかのようなザリザリという音が聞こえてくる。
軽く噛んでいますが骨なんですよね、あれ。
丈夫な歯ですねぇ…。
一体かばねの体はどうなっているのやら。
本当に興味が尽きません。
おっと、こんなことをしている暇はありませんでした。
私も早々に朝食をとって診療所の方へ行かなければいけませんね。




