九幕・九月の二十四日 そのよん
子供の確保は完了。
次は組織の壊滅だけど、警察に捕まるってのも壊滅のうちだよねぇ。
だから何とかあの人たちには警察に一網打尽にされてほしい。
どうしようかといろいろ考えていると、ポケットから微かに音がする。
探り出すと、いつだったかプラたんから渡されたままだったインカムだ。
あれ?
ずっと入れっぱなしだったけど使えるの?
これ洗濯したのに。
防水?
流石、プラたん特製。
なんて感心しながら耳に付けて、プラたん?と聞くと
『かばねっ!何でかばねの携帯から警察に通報がいってるのっ!?また勝手な行動をしてっ!!』
プラたんがそう大きな声で叫ぶもんだから、思わず耳から外してしまった。
しばらくしてインカムを付け直すと、
『黒田組の子息は?組織は?何でなにも言わずに勝手に行動するかなぁ!!ともかく早く出て来いっ!この馬鹿!!』
…まだ叫んでた。
僕は少し咳払いをして、
「携帯は捕まってた子供たちにあげたんだよ。指紋拭いたし、データーも抜いたから安心して?子供は一緒。インカムの電波来たってことは。プラたん近くにいるの?」
と尋ねる。
プラたんはまだ何か言いたげだったけど、一応僕がまだ敵地で仕事中ってことも考えたのか叫んでいた言葉を切って答えてくれる。
『…居るよ。電波の届くギリギリだけどね。何で警察に連絡なんかさせたの?』
「やだなぁ…プラたん。僕だって鬼じゃないんだよ?黒田組の子供を他の子供たちの前で拾ったうえ組織の人全員殺したら、僕が殺したってばればれだし警察への証拠隠滅に子供たちも殺さなきゃダメじゃん。まー既に一人は殺しちゃったけど、このくらいなら回収できるし。ねぇ、プラたん手伝ってよ。近くにいるんでしょ?」
言いながら、僕は扉の前で気絶してる男の人を飛び越えて、子供を連れたまま通路を戻る。
プラたんは機械の向こうで大きなため息をつく。
そして、
『……もう…わかった。警察に場所の詳細をタレこんどく。五分もあれば掌握できる。そいつらの電子機器を全部ダウンさせるから、後はどうにかしてよね。』
そう言ったと同時にキーボードの音がせわしなく聞こえてくる。
なんだかんだ言いつつやってくれるんだから、プラたんは良い人だね。
僕はその間にさっきいた部屋まで戻って、転がっている死体を掴む。
死体の襟首持って、引きずってる状態だ。
まだ血の出ている首は、僕の縛られてた縄を巻いて血止めする。
これで引きずっても血の跡は付いてこない。
僕の持ってる死体を見て、子供がひぃっと言って後ずさったけど気にしなぁい。
足早に出口を探す。
お、あれ裏口かなー?
近くに行ってみると外に二人、見張りの気配がする。
扉は外開き。
いーね。
インカムからプラたんの声が聞こえる。
『三十』
目を閉じて静かに待つ。
『十』
もうすぐ。
『三…二…一…ダウン。』
バチンッと電気が消える。
外からあわただしい声が聞こえる。
僕はすっかり暗闇になれた目を開けて、ナイフを扉に投げる。
甲高い金属音が響いて、外の気配が扉に集中するのがわかる。
そして、
「誰だっ!?」
声を張り上げて勢いよく入ってきた男の人は、扉のすぐ前に置いてあった死体に見事に足を取られ転ぶ。
同時に僕は走る。
「どうしたっ!?」
と駆け寄ってくるもう一人。
けど、僕のが早い。
転んだ一人にスタンガンを当てる。
スパークの閃光と音。
もう一人が僕に気付く。
叫ぼうとしたその口に銃身を突っ込んだ。
「……なっ!?」
驚き固まった首元に、電極を当てスイッチを押す。
制圧完了。
死体と気絶した二人を外に引きずり出し、二人は扉の前に置いて中の人が出にくいよう障害物にする。
ちょっと重いけど死体を担ぎ上げて、子供と一緒に倉庫を離れる。
後は、警察さんにがんばってもらおうかな。
前の戦闘と同じ服だから、今のかばねは猫耳パーカー。




