七幕・九月の二十一日
パソコン画面に踊る文字を目で追う。
キーボードをたたく音だけが部屋に響く。
後処理っていうのは実行より面倒で難しいものだ。
「ふぅ…とりあえず一段落ついた、かな?」
情報なんて、すぐに流れ出してしまうものだ。
どこからでも、誰からでも。
そうやって流れた情報はあっという間に広がり、一度流れたら完全に消すことはできない。
だから流れる前に早期対応するのが最適。
そこそこ腕のいい同業者がたくさんいる裏には仕方ないけど、表に流れるのは避けないとね。
「………。」
「あ?」
「おや、プラチナですか。」
「ただいま、プラたん。」
夜食でも食べようかとダイニングに行くと、レオとラグ、そしてかばねがトランプをしていた。
「……何やってるの?」
若干イラつきを込めて尋ねると、
「え?見ればわかるでしょ?トランプ。」
と、かばねがまた的外れな答えを返してくる。
「いやいや…トランプしてることは分かるけどね……。」
「ラミーだよ!」
「いやそうじゃなくて!…って思ったより微妙なゲームやってるな!?」
ポーカーとかババ抜きとかじゃなく!?
…いや、違う!!
「僕が今日の後始末を、こうして日付変わるまでやってたっていうのに何遊んでるんだバカ共!!」
僕がそう叫ぶと、
「パソコンはお前の専門だろ、プラチナ。」
「うちの情報担当なんですから、それは貴方がするべき仕事でしょう?というか、私はかばねを迎えに行って今帰ってきたところです。」
「同じくー。迎えに来られたよー。」
三者三様に言ってくる。
あぁ~~もうっ!
正論なのにムカつくっ!!
「プラたん疲れてイライラしてるんだよ。はい、これあげる。」
かばねはそう言って僕に白い飴玉みたいな物を差し出してきた。
うちのメンバーの中では、かばねはまだこういう気づかいをしてくれる方だ。
……けど、
「………それ何?」
僕のその問いに、かばねはしれっと答える。
「んー…骨?」
「何の骨!?ってなぜ骨っ!?っていうかそれをどうしろとっ!!?」
「僕のおやつ。カルシウムたっぷりだよ?食べない?」
「ああーもうっ!大体わかってたよっ!聞いた僕が馬鹿だった!!」
かばねは天然だから、気づかいの方向が大抵おかしい!!
……………はぁ……。
どうしてうちにはこうも人を疲れさせる奴らが揃っているんだ…。
なんだか食事より睡眠がとりたくなって、僕はふらふらとダイニングを後にして自分の部屋へ向かった。




