六幕・九月の二十日
久々にアジトから外に出た。
「うぅ~~…眩しい…。灰になりそう…。」
「吸血鬼か!っていうか夕方だから!!」
隣を歩くプラたんはそう言って、ぴしっとデコピンで突っ込んでくる。
昨日の侵入者の人から所属を聞き出して、プラたんがそのアジトとか構成人数とか調べてしばらく。
結局は『ガルム』っていう新興の小規模組織のなんとかで……。
…うーん…他にもなんか言ってたけど面倒だから覚えてない。
なんにせよ、取りあえず潰しに行くってことは決定!
…ってことで、これから行くところだ。
「…ねぇねぇ、でもさ…これ何なのプラたん?」
僕は深く被っているフードを指す。
いや、お仕事の時とかにフードを深く被ることはよくあるけど…。
「…耳……。」
これ、なんか猫の耳付いてる…。
僕が不満げにむすっとすると、プラたんは冷静顔で答える。
「街中で普通にフード被ってたら不審者みたいでしょ。それ流行ってるみたいだし、それなら被ってても問題ないと思う。かばねはこの前の仕事で顔晒したから、隠しといた方が良い。」
「……って、誰が?」
僕は聞く。
プラたんは少し気まずそうに沈黙してから答える。
「…………ラグ。」
「…それ絶対からかわれてる。」
「……だよねぇ…。」
プラたんはため息を吐く。
僕らの中ではプラたんが一番常識に強いはずなんだけど、押しに弱いからなぁ…。
まぁ、別に動くのに支障ないからいいんだけど…。
…何か注目されてる気がするんだよなぁ…。
この耳付きフード…似合ってないんだろーな…。
まぁ、半分くらいはプラたんのせいだと思うけど。
プラたんはイケメンだからなー。
「っていうか、何でプラたん居るの?」
「…いきなりの辛辣発言…。あのさ、かばね…。かばねの中でどういう結論になってそういう言葉が出るのか分からないけど、かばねは絶対的に言葉が足りないから。僕らはもう慣れたけどさ…。」
あれ…何か怒られた…。
「あと、多分話も聞いてなかったよね、かばね?僕は外からのサポートをするって言ったでしょ?」
「そうだっけ?」
僕は首をかしげる。
ちなみに外からのサポートっていうのは、向こうのアジトの監視カメラとか電子機器のハッキングだったり、騒ぎが漏れた時に撤退指示をしたりするやつ。
プラたんはひ弱だし、完璧に非戦闘員だからね!
まぁ、そんなわけで僕とプラたんは夕方の街を歩いているわけである。
「ひっ…すみませんっ!許してくださいっ!!」
ふとそんな声が聞こえた。
声の方を見てみると
「るっせぇ!どーせ持ってんだろーが!出しやがれっ!!」
「大人しく寄越せよ!こいつ…っ!!」
「こっち来やがれっ!!」
…と、三、四人ぐらいのいかにもチンピラです、っていう格好をした人達が、暗い青碧の髪のお兄さんを路地裏に連れ込んでいるとこだった。
「あー…あれ、危ないなぁ…。」
僕が思わずそう呟くと、プラたんはそっちを見もせずに
「関わっちゃだめだからね?かばね。今は仕事中だし、目立たないようにしといて。」
そう釘を刺してくる。
「けどさぁ…プラたん。警察沙汰が起こったら仕事に支障出ない?」
僕が言うと
「ただのカツアゲでしょ。そんな面倒なことにはならないよ。」
なんて言ってくるから、僕はプラたんに聞く。
「プラたん眼鏡かけないの?」
「…はぁっ!?」
驚くプラたんに僕は続けて言う。
「いつもパソコンしてる時は眼鏡してるし、目が悪いのかなって。」
「いや…あれはブルーライトをカットする……って何なわけ!?一体…!」
「あれ、ほっといたら多分死人出るよ?」
そう言いきった僕に、プラたんは固まる。
なぁんだ、やっぱり気付いてなかったのかぁ…。
本当にプラたんは鈍いんだから。
僕は念の為フードをもう一回深く被りなおすと、停止したプラたんを置いて、さっきお兄さんたちの入った路地裏に向かった。




