五幕・九月の十九日
『――次の……スです。◆◆市近辺……児童……明になる…件が……して…す。行方……な……は塾や……で遅くま………歩いて……子…たちが……、警察は…児…、保護……十分……意を……する………掛けて…す。』
「……ん?……◆◆市ってこの近くじゃ…?」
ふと聞こえたこの付近の地名。
音声が聞こえた方に向かうと街頭のテレビから流れるニュースだった。
しかし◆◆市のニュースは終わっていて、次のニュースが流れている。
『――のニュース…す。○○…女子高生刺……件から続いた…切り裂き魔事件に関してです。警察が重要参考人、日野沙紀氏の自宅を家宅捜索したところ、犯行の様子が詳細に書かれた日記などが発見され、本人は数日前から行方不明とのことを受け、警察は日野氏を切り裂き魔と断定。日野氏を特別手配する方針を発表しました。』
「……これ…かばねの…。」
思わぬかばねの足跡に足が止まった。
……結局かばねの言う通り、一応問題なく警察を誤魔化せたみたいだ。
かと言って、いろいろ甘かったことを良しとはしないけど。
僕は今、街に出ている。
裏の人間でも食料や生活必需品の買い出しは必要だ。
裏でそういうものが手に入らないわけじゃないけど、そこまでしなきゃいけないのは表で顔バレしてしまったような事情ある人間だけ。
そういうのは足元見られやすい。
だから表で買えるものは表で買うにかぎる。
そして、そういうのは大体僕かかばねの仕事になる。
キングは動かないし、ラグは個人行動が多いから捕まえにくい。
レオは目立つし、大きいし、威圧感がありすぎる。
ジャックはまだ日本語が微妙だし、裏の人間の雰囲気が強い。
……っていうか…うん。
…そういって逃げられているだけだ。
ちょっとくらい雰囲気が怪しかろうと、さすがに買い出し程度のことで捕まることはないだろう。
警察に顔がばれるような甘い情報管理もしていないし。
実際、私用ならラグもレオもジャックも勝手に買い出しに行く。
つまり、素直にお使いに応じてくれるのはかばねだけだという話だ。
「ふあ…プラたん、おふぁえり。」
「ジャーキーを口に入れながら喋らない。あと、また勝手に僕の部屋に……。」
買い出しを終えて荷物を片付けてから部屋に戻ると、かばねが僕の部屋のソファーベッドの上にいた。
乾燥肉を食べて寝そべりながら、パソコンをいじっている。
僕の部屋は、地下二階の一番奥。
広めの漫画喫茶の一部屋みたいなもの、といえば分かりやすいかもしれない。
違うのはパソコンの数くらいだろう。
「…っていうか、僕のパソコンで何やってるの。」
「やー、相変わらずプラたんの作るシステムプログラムなすごいなぁって。」
「勝手に見るな、そしていじるな!この馬鹿!!」
僕はかばねをパソコンから引きはがす。
勝手にシステムをいじって壊されると困るんだ!
僕はさまざまな防衛システムやハッキングプログラムを自作している。
こちらの情報を防衛したり、様々な情報をいち早く手に入れたりするために重要だからだ。
それが情報担当として、僕が一番するべき仕事だから。
…だというのに……。
買い出しにパシられ、給仕に使われ、挙句目覚ましにならなければいけないこの状況……。
ナニカおかしい………。
「どうしてこうなった……。」
頭を抱える僕の背中にかばねが無言でポンッと手を置いた。
何でその気遣い普段の行動に表してくれないかな……。




