三幕・九月の十六日
「………。」
「……ぐーー……がーー……。」
「すーー…すーー……んっ…うーー………すーー…。」
…こいつらは……っ!
「お…きろーーーっ!!」
「んにゃあーーーっ!?」
僕が勢いよく毛布をめくり取ると、くるまっていたらしいかばねは奇声を上げてごろごろ転がっていく。
そしてもう一人は、僕に毛布を奪われても微動だにしない。
……このっ!!
「昼間っから…っ!だらだらするな!ダメ人間どもっ!!」
僕がそう怒鳴ると、転がっていったかばねがよたよたと戻ってきて言う。
「うーー…人を殺して生活してる僕らが、世間一般の言うダメ人間っていうのに当てはまらないなんてこと、あるわけないでしょー……。」
「正論だけど回りくどいっ!さては寝ぼけてるのかっ!?」
「僕らはみんなダメ人間~…。」
「元も子もない言い方!?…って寝直すな馬鹿!!」
かばねは言いながら全く起きようとしないもう一人…キングの上にべたぁっと寝そべって、また寝ようとする。
…そう言うことに全くためらいのないかばねもかばねだが、上に乗っかかられてもまだ起きないキングもどうかしてる。
ホントにかばねは育ての親に影響されすぎだ!
「~~いい加減にしろーーっ!!かばね!仕・事は・!?」
「……ごはんは保存分でまだいけるもん…。する意味ない……。」
「この前のは行ったでしょ!」
「……あれはジャックの……が………た…から………ぐぅ……。」
「寝るなーーーっ!!」
この二人は普段いつもこんな感じだ。
大罪のシステムは基本的に個人主義。
うちに来る依頼をぼくが選別して斡旋するわけだけど、受けるか受けないかは実は個人の気分次第。
レオやジャックなんかは積極的に受けに来るし、ラグは闇医者…医師免許は持っているから裏医者だろうか…だから個人的に動いていることも多い。
そしてかばねは基本、自分の食事に影響なければ依頼に行かない。
…キングはともかく動かない。
全く大罪の《暴食》と《怠惰》は……っ!
そして金銭面に関しても、大罪で受ける依頼の報酬は大罪の資金になる。
個人で受けとった報酬は個人の資産だ。
ジャックは『ジャック・ザ・リッパー』の名が裏ではかなり知れ渡っている為、個人の依頼にも事欠かない。
そして、殺せればいいので依頼をえり好みしない。
レオも基本暴れられればいいという考えだけど、あまり個人の依頼は受けてない。
ラグは裏医者だ。
こことは別に個人の診療所を持っている。
腕はいいので裏でもかなり重宝されている。
個人資産はかなりため込んでいるようだ。
さすが《強欲》…。
かばねはほとんど動かないので知名度がほぼない。
大罪に来た依頼で他のメンバーがやらなかったおこぼれを、ちまちまとやっている。
……キングはそもそも全く動かない。
個人の依頼もおそらくあるはずなのだが完璧に無視だ。
……本当に徹底しているなこの怠惰…っ!!
このアジトは大体地下一、二階部分を活用している。
地下一階にはかばね、ラグ、レオ、ジャックが主に生活している。
お風呂やトイレなどの水回りもここだ。
地下二階は僕とキングの部屋、そしてダイニング。
それぞれ生活の仕方が全然違うが、かばねの部屋にはちょっとした棚とベッドぐらいしかない。
…というのも、こんな風にいろんなところで勝手に寝ているからだ。
レオの部屋も似たようなものだが……。
一応、レオはちゃんと自分の部屋で寝る。
かばねはいつの間にかどこかに潜り込んで寝ていることが多い。
キングの部屋はしょっちゅう。
僕の部屋でも寝ていることがあるし、バーの二階席で丸まっていたこともある。
…何が言いたいかというと、かばねは確実にキングに引きずられてる…っ!!
「~~起きろ怠け者コンビっ!!」
大罪には《怠惰》が二人いる…っ!!




