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食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
一話・九月の序章
22/330

間幕・とある切り裂き魔の殺人日記 そのに


 嘘……。


 うそウソ嘘っ!!


 おかしい。



 何で警察が居ないの?

 何で死体が無いの?

 何で報道が無いの?


 私が返り血を洗っていた間に何が?



 なんなのよっ!

 私の完璧な計画が台無しじゃない!!






 許せない…。



 絶対に…っ!!












 昨日の殺害場所の近くをうろつきながら見張った。


 昨日の少年が来ないか。

 昨日の追跡者らしき人物が来ないか。




 ああ、来た。

 昨日の少年だ。


 一緒に居るのは…もっと幼い子供。



 兄弟…いや、似てない。

 同級生…見えない。



 もしかして…。



 しばらくその場で張っていると、少年たちが出てきた。


 そして昨日の少年が私を見て大きな声を上げ、それに気付いたもう一人が私に近づいて来た。

 そして昨日のことを聞いてくる。


 私は昨日のことを否定した。


 もう一人の子供を警戒したから。



 すると子供は言った。



 《ふーん…じゃあ昨日のはお兄さんの妄想って?》




 私に向かって。


 確認するように。


 馬鹿にするように。


 嘘を吐け、とでも言いたげに。


 確信した。

 昨日の追跡者はこの子供だ。



 何者?



 …いや、そんなことどうでもいい。

 どうせ遊びの延長線のようなもの。


 決まっている。


 人を殺した人間には同じ人殺しがわかる。

 あの強面の男にはそれを若干感じた。


 この子にそんなもの感じない。

 人を殺す覚悟のない人間が、私をどうにかできるわけがない。


 それより重要なのはこの子が私の計画を台無しにしたってコト。




 絶対に殺さないと。


 ついでに昨日の目撃者の男の子もね。






 本当に馬鹿ね。

 私の誘導に簡単に引っかかってくれて。



 昨日の場所でのことやたらに否定的だったって?


 当たり前じゃない。

 死体もなく、証拠もなく、顔も見ていなく、私も否定したのよ?



 ハイヒール?


 本当に人の記憶って頼りにならないのね。

 人殺しをするのに、音の響く、走りにくいハイヒールなんて履かないわ。






 追跡者の子も馬鹿ね。

 こんなあからさまな誘いに乗ってくるなんてよっぽど自信があるのね。


 しかも自分は大丈夫だから逃げろですって?




 ヒーロー気取りも大概にして。





 さっき武器を飛ばしたからって安心してるの?



 武器はまだ持っているのよ?



 私はもう一本袖口に忍ばせたナイフで目の前の子供に切りかかろうとして…。




 「あのね、お姉さんに二つ…一つでもいいや。言いたいことがあるんだ。」



 少年がそんなことを言う。



 「あらぁ…なあに?冥土の土産に聞いてあげるわよ?」



 どうせ何でこんなことを、とか自首しろ、とかそういうことでしょう?


 本当に甘っちょろいわ。


 聞き終わったらすぐに殺してあげる。


 すると少年はにっこりと笑って、言った。












 「切り裂きジャックは僕の仲間の名前だから、お姉さんが勝手に名乗るのも、呼ばれるのもだーめ、なんだよ。」











 一瞬…。






 一瞬だった。




 その言葉に私が困惑した一瞬。




 光る何かが見えて。



 首が熱くなって。



 声が出なくなって。




 目の前が真っ赤になって。





 身体から力が抜けていって。


 



 私は死んだ。





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