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食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
一話・九月の序章
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三幕・九月の十一日 そのに

 「あっ…早くこれを終わらせないと夜が明けちゃう。」




 僕は急いで作業に戻る。



 僕はどうもこの〈後始末〉って言うのが得意じゃない。


 昨日…いや一昨日かな…お兄さんに見られた現場の片付けだって、何とか表面上何もなかったみたいに見える、くらいにしかできなかった。


 だから昨日お兄さんと現場に行ったときにこそこそ片付ける羽目になったんだ。



 あの警官の人が本腰を入れて調べたら分かっちゃうとこだった。




 あぶない危ない……。




 切り裂き魔は有名になってたから、ガセネタとか模倣犯らしき傷害事件とか結構あったらしいし、助かったよ。



 終わり良ければ総て良し、だよね。





 けど、お兄さんがお姉さんに誘われて出てきちゃうとはなぁ…。


 一応、お兄さんの家、見張っといてよかったよ。


 あのお姉さんが昨日のことを知らないふりしたのは僕を警戒したからで間違いないと思う。


 あの時点でお姉さんが昨日のことを認めてたらお姉さんの方に付いてって殺すつもりだったし。


 お姉さんが否定したから、ちゃんと確信が持てないまま殺すのはやっぱりだめだし…。


 僕がいなくなってからお兄さんに何か接触があるかもと思って見てたら、お兄さんの方から出てっちゃうんだもん。



 どうやってお兄さんをここに来させたのか。

 その上僕を警戒させるように誘導したのか。



 んー…分からないなぁ…。


 お姉さんが怪しいことも一応説明して、あんまり不用意に近づかないようにさせたつもりだったんだけど…。


 お姉さんが僕の気配に気づいて逃げた時に残してったナイフを抜いたのは、確かにちょっと軽率だった。


 けど、ナイフを持った僕のことを切り裂き魔だと思ってたとしたって、あの時 お兄さんに言ったお姉さんの怪しいとこは別に嘘じゃないし…。


 お姉さんがおかしいのはすぐにわかると思うんだけど…。


 やっぱりあの時、片づけをするよりお姉さんとお兄さんを殺すべきだったのかな?




 あぁ…でも……。





 あー!もうわからない!!





 …こういうところが馬鹿だって言われるんだろうなぁ…。



 それにさっきだって、お兄さんがどうして戻って来たのか全く分からない。



 ちゃんと絶対戻ってきちゃダメって念押ししたのに、何も身を守る術を学んでるわけでもない一般人が、危険なところにわざわざ戻ってくるなんて絶対おかしいと思うんだけど…。



 携帯を見てみたけど、警察に連絡とかもしてなかったみたいだし…。


 有難かったけどさ…。




 …ホント…なんで戻って来たんだろう……?





 まぁ、人それぞれだよね…こういうの。


 いくらなんでも人の心の中とか考え方まで、全部理解するなんて無理な話だ。




 …って言い訳しとこ。




 お兄さんは危機感知能力がちょっと駄目なほうの人だったってことだろう。



 つまりこうなったのは、お兄さんの自業自得ってことだよね。


 戻って来なければ見逃してあげられたのに。


 目撃者は殺さなきゃダメだけど、あんまりターゲット以外の一般人をサクサク殺すのは怒られる。


 どうせ殺すから見られても大丈夫、なんてのは良くない。


 あんまり表の人を殺すと警察が騒がしくなるからね。



 だから穏便に逃がしてあげようとしたのになぁ…。





 一回目は顔も見られてなかったみたいだったし、さっきだって…。





 けど、まぁこうなったからには仕方ない。


 ばっちり見られちゃったからには流石に殺さないと。


 人の口に戸は立てられぬ、っていうもんね。




 それに警察だって無能だもん。

 僕たちを捕まえるなんて絶対無理だ。





 「…ふぅ……これで、大丈夫だよね。」



 僕は作業を終えて立ち上がった。


 後片付けは終了。


 僕はその場を後にした。




 部屋に残されているのは、一人の少年の死体と真っ赤な血の海だけだった。







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