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食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
一話・九月の序章
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二幕・九月の十日 そのじゅういち




 家を出て、暗くなった道を走る。


 日野さんとの待ち合わせの場所に。



 着いたのは人気のない廃ビル。

 肝試しにでも使えそうな場所だ。


 正直怖い…。


 けど…。




 僕は足を踏み出す。


 階段を上って上へ。


 しばらく上ると開けた部屋の中に、日野さんがいた。

 沢山のファイルや紙が傍らに積んである。


 僕に気付いた日野さんは顔を上げて、



 「来てくれたのね、三木君。」



 そう言って少しだけ笑った。


 そしてすぐに真剣な目つきになると、ファイルの一つを開いて



 「…見てくれる?この資料なのだけど……。」



 と、僕を手招きする。


 僕は日野さんの方に歩み寄り…。




 ふ……と、日野さんが目を見開く。




 ……僕の後ろを見つめて。





 「……え?」




 一瞬、何故?と思った。




 でも、次の瞬間そういう予感がした。






 気のせいであってほしいと思った。



 だってそんな事…。

 僕の予感が当たっていたら…。





 ゆっくり、後ろを振り向く。


 ゆっくり…今僕が来た方向を見る。


 さっき僕が上って来た階段の前に…。







 「…か…ばね…?」

 


 あぁ…こんな予想、当たらなければよかったのに…。


 どうしてここに?

 後をつけて?



 どうしてこんなに足音の響くはずのコンクリートの建物の中なのに…足音が聞こえなかった?



 疑問の声は全部喉に引っかかってしまって出てこない。


 かばねの目がすぅっと細められる。

 まるで睨んでいるかのように冷たくて…。



 「…あ……。」



 僕は一歩後ずさる。


 その瞬間、かばねが地を蹴って僕の方へ走って…。



 「~~~っ!!」



 思わず僕は目を瞑った。







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