一幕・とある虚飾の独白
初めはそう、ただの反抗期。
一時的なもののはずだった。
少し悪ぶりたかった。
そっちの方がかっこいい、なんてちょっとした見栄だった。
入ったところが、裏にも手を出しかけてるような本当にヤバいところだって知る前は。
気付いた時にはもう戻れない。
呆れるほどの自業自得。
下っ端で、喧嘩も弱い俺はすぐに弄られるようになったし、良くない奴らと付き合い続ける俺に、家族の視線も冷めていった。
それでも助けを求めなかったのは、このころはまだ弄られる、という程度だったから。
そして、まだ下がいたから、だった。
気が弱くて、細っこい、典型的ないじめられっ子。
よくいじめられていたアイツとこっそり会って、慰め合ったりしてたっけ。
でも、別に友達だったわけじゃない。
俺は自分より弱い立場の奴を見下して、安心してただけだ。
それで自分の状況がよくなるわけでもないのに。
最低だよな。
そんなときにお前に会ったんだよ、ジャック。
近所でまぁまぁ幅を利かせてる連中に、目をつけられて追いかけられてるくせに、どこか余裕そうに飄々としてさ。
なのに、なんとなく危なっかしく思えて。
今居るところですら俺の立場は危うくて、他のチームにまで目の敵にはされたくなかったけど。
お前の手を引いたことを、後悔はしていないよ。
不愛想だけど嘘の付けない素直なジャック。
嘘ばかりぺらぺらと出てくる俺。
全く違う俺達だったけど。
俺達は鏡だった。
いや、俺がお前を鏡にして、お前の前でだけ普通を装っていたんだ。
お前の存在は麻薬みたいで、一緒に居る時は良くても、離れると自分の今の状況が嫌になってどうしようもなかった。
だから、あの時お前と関係を断つ選択が出来なかった。
馬鹿だよな。
あの時に潔く別れてたら…。
…なんて、そんなもしもの話をしたって意味なんて無いか。
こうなってしまったからにはもう仕方ないことだ。
そうだろ?




