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食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
二話・十月のジャックの章
112/330

二七幕・十月の二十八日

アジトの三階部分。




広く寂しいスペースに、かばねとジャックは向かい合っていた。


重苦しい沈黙を破ったのはかばね。


ゆったりと、そして冷たく。


向かい合う相手を…ジャックを見据え、嘲るような笑みを浮かべ言い放つ。



「君は一体、何のために僕と戦う?使命?正義?」



対するジャックはぎりっと歯を食いしばり、かばねを睨みつけると



「…五月蠅い。」



そう、呟きのような声で答える。


それが聞こえていたのか聞こえなかったのか、かばねはジャックを煽るように続けた。



「……それとも、あの可愛らしいオトモダチのために?」


「~五月蠅いっ!!」



ジャックが叫び黙れとばかりに勢いよく腕を振ると、ピシッと音がしてかばねが何故か着けていた眼鏡にひびが入る。


かばねはそれに動揺することなく、ふっと笑うとひび割れた眼鏡をゆっくりと外す。


ジャックは続けて咆哮する。



「俺は…っ!俺は…誰かのためになんて戦わない…!!…俺はっ…悪だ…アイツらに…世界に…復讐を…!!」



かばねはジャックの言葉を聞き、ふわりと先ほどとは打って変わって柔らかな笑みを浮かべると、すうっとジャックに向けて手を差し出し呼びかける。



「なら、僕達の道は同じだろう?手を取り合おう。一緒に世界を壊してしまおう?…さぁ。」



しかし、ジャックは一瞬の沈黙の後……笑う。



相手を馬鹿にするように、自信に満ちた傲慢な笑みを浮かべる。



そして言う。



「ふざけるな。俺は誰かと共に戦うこともしない。この力があれば…お前の力なんていらない…っ!」



そうして再び振るった腕。



かばねはその場から飛び退く。


瞬間、かばねのいた場所に無数の刃物が降り注ぐ。





「証明してやるよ。俺がお前を倒して。」



闘志に満ちた瞳で言い放つジャックを見て、かばねは耐え切れなくなったかのように吹き出し大声で笑う。



「はっ…はっはははははっ!!面白い…面白いよ!!さぁ…かかってこい。俺を倒せたら、お前は、お前が大っ嫌いな『ヒーロー』だっ!!」



そう叫ぶかばねに、ジャックは跳びかかり、合わせた武器がたてる金属音と共に吐き出すように叫び返す。



「俺は…『ヒーロー』じゃないっ!!」


























「………で、あれ何なんだよ。」



目の前で戦いはじめるかばねとジャックを指さして、俺は隣に居るプラチナに問いかけた。





ジャックが手に隠した小さな小石で、かばねがかけていた眼鏡にひびを入れたり、事前にかばねの真上に仕掛けてあった刃物のトラップを、仕掛けの糸を切って落したり……。



プラチナは、そんな二人を呆れたように見ながら答える。



「昨日見た映画の、ヒーローとボスの最終決戦。」



「……ガキかよ。」





どうやらその映画のシーンを、あの二人はかなり本気で再現しているらしい。





……馬鹿だ…。
































「……で、どんな筋なんだよ、その映画。」


「えーっと…虐げられて育った不遇な少年が、超能力を手に入れて世界に復讐しようとするんだ。ヒロインの影響と、悪役…今かばねが演じてる奴ね…の登場で、思い悩んで揺れながら、結局悪役を倒して世界を救う、偽悪的なヒーローの話。」



「…ヒーロー物かよ…。ガキか。」



「……うん、ティーンに人気あるらしい。」














「まあ、主人公が世界を呪う序盤とか、悪行を犯す主人公を追う闘うヒロインとか結構…。」



「……いや、詳しい見どころ説明とか要らねぇから。」







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