二四幕・十月の二四日
大罪の出会い方は、どれもこれも碌なものじゃなかった。
かばねは死にかけの所を拾われて、それ以外は全員かばねがほぼ独断で引き入れて…。
その時のお互いの立場なんて、全く気にもせずに。
ジャックの時なんか良い例だ。
あの時の僕たちはヨーロッパに拠点を置いていて、最近力をつけだしたって組織を潰す計画を立てていたところだった。
その組織のトップは、巷では切り裂きジャックを殺したと有名だった。
僕はもちろん、切り裂きジャックが代替わり制であることも知っていた。
後継がいるのなら、その男を許さないだろうことも分かっていた。
けれど、その男が切り裂きジャックを殺したという日から、ほぼ一か月が経っていたから、後継は居なかった、もしくはその時に殺されたものだと思っていた。
まさか後継がまだ幼く、捜査能力が低かっただけだとは思っていなかったんだ。
そして、見事に鉢合わせた。
ラグの麻痺薬も、レオの壁も突破された時、これは流石にヤバいと思った。
かばねだって幼い。
少女と少年。
その当時からまあまあ体格差だってあった。
かばねがどうしても覆せないのは筋力の差。
思わず、裏方のくせに飛び出していってしまうほどには焦った。
なのにそれを平然と押さえつけた挙句に、友達になろうなんて、本当にかばねにはどれだけ驚かされるか。
勿論、前日にジャックと会っていた事なども含め、報連相の大切さを教え込んだのは言うまでもない。
相変わらず、改善される様子は見られないけど。
…いつもだ。
いつもかばねは、大切な事ほどなかなか言ってくれない。
そんなの、大罪は誰も彼もそうだけれど。
でも、なんとなく…いつも素直なかばねに隠し事をされるのは、もやもやするんだ。
僕達が大好きだと、言葉でも態度でも精一杯アピールしてくるかばねだから。
…僕達のこと本当は信用していないのか、なんて問い詰めたくなってしまう。
でも、かばねが誰にでもこういう態度をとるわけじゃないってことも分かってる。
かばねが本当に気を許した態度をとるのは、大罪とウルスブランのマスターくらいだ。
かばねの勝手に救われたことだってある。
だから僕はかばねに本気で強く言うことはできない。
「……プラたん。まだ怒ってる?」
そう言って部屋の入り口のドアから、顔半分だけでこちらを窺うかばね。
全く…そうしおらしくしていると可愛い女の子なんだから、いつもそうしてほしいものだ。
「さっき僕の部屋で居眠りした挙句、寝ぼけて僕の指噛んだこと?」
と、言ってやると、ぴゃっ!と謎の声を上げてドアに隠れるかばね。
「うぅ~…やっぱまだ怒ってるぅ…。」
そう、ドアの陰で呟いているのが聞こえる。
まぁ、噛まれたって言ってもまだ甘噛みだったし、けがはしていないから、もう怒ってはいないんだけど。
すぐに許すと調子に乗るから。
しばらく家出されない程度に怒ったふりを続けておこう。
僕は、かばねには聞こえないよう、声を押し殺して笑った。




