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第6話 この世界の神

 さて、この世界の神について調べよう。


 それも簡単じゃ。ネット検索ではないぞ。


 あ、これは自慢じゃが精神医療施設でだぶるくりっくとたいぴんぐをおぼえたのじゃ! えっへん! コメント欄で褒めてくりゃれー(メタ)


 さぁ~て、神について調べるにはまあ簡単な話、神同士の交信を使うのじゃ。


 神同士、何も交信できないのでは部下に指示も出せんじゃろ?


 そこで神だけが知っている交信方法があるのじゃ。まあ、説明しようにも、これはこの世界でいう所の...コズミックホラーになるから載せないでおくぞよ。


 見ただけで『\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!』なのじゃー! ニコ〇のTRPG動画はおもしろいのぉ!


―――――――――――


【聞こえるか...セージ】


【あぁ!!! この魔力のクセは我が主様...♡ なんとお久しゅう...♡♡♡】

【ああ、久しいのぉ】


 こやつは、セージ。妾の配下の中で最も賢い奴じゃ。妾より賢いぞ。今まで生きてきてサキュバス族の中でこやつより賢い奴を見たことはないのじゃ。(妾がいつ生まれたか忘れたがの)


【一体いつぶりでしょうねぇ...♡ 積もる話がたぁくさんあるんですよぉ...♡】


 神同士の積もる話は数十~数百年単位になるぞ。今は避けねばなるまい。


【ああ、すまん、今は話している場合ではないのじゃ】

【...自由奔放な主様が...急いでいる...? そ、そうですか...それでは...いったいどのような御用でございますか...♡ ●●●(ピーー)をしたいとか...♡ ■■▼●(ピーーー)を...してくださるのですかぁ...♡♡♡ 嗚呼、胸が(たかな)ります、体中が(うず)いてしまいますぅ♡♡♡ あぁっ♡ 想像しただけで●●●●●●(ピーーーー)


 神同士の交信はこういうふうに自動で検閲がかかる。ああ、サキュバス族のダメなとこが存分に出とるのぉ...頭が良いのに、話の内容が頭悪すぎるのじゃぁ...


【そういう話はサキュバスの時にやってくれ。今妾は人間なのじゃ】

【は!?我が主が人間に!?】


 ドロン!!!


 妾の前に白煙が立ち上り、交信相手の受肉した姿が現れた。


「って、おぉおおい!!! 何勝手に受肉しておるんじゃ!!! 」

「だって!人間になった我が主に会いたかったんですものぉぉぉ♡♡!!!」

「全く...お主は天才じゃが本当に自由奔放じゃの」


 長いボサついた金髪、赤い垂れ目、整った鼻すじ、ピンクのプリッとした口周り、色白の肌、グラマラスな体形、そして布面積の少ない黒い水着。ああ、完全にサキュバスじゃ...


「セージ...サキュバスで受肉しおったのか...?」

「いえいえもちろん人間の姿ですわ、我が主に醜い姿は見せられませんので、このようにサキュバスを再現したんです」

「それならいいのじゃが...いや...あんまりよくはないがのぅ」


 サキュバスで受肉した場合、この世界の神にバレる危険がある。それだけは避けねばなるまい。ただでさえ超常現象を起こしているので、危ないのじゃぁ。まあ、セージはその辺の神よりよほどの実力者じゃから、心配はしとらんがのう。


 っていうか、こんなに速攻で妾の座標を突き止めて人間の体を受肉してくるとかどんだけ能力を無駄遣いしてるんじゃコイツ。


「あぁ、我が主が...人の姿に...♡ まことに(うるわ)しゅうございます♡」

「醜い姿じゃが...」

「うふふ、見た目などというものは器でしかございません。大事なのは中身と器のバランスですわ♡ その点、今回の体と主のアンバランス感は素敵です...素敵すぎますぅ♡♡ ああっまたイっ♡」

「おっと、それ以上はイカーン!」


 自動検閲がかからないここでそんなことをしゃべると色々とアブナイのじゃ...(メタ発言)


「あ、失礼しましたぁ♡」

「ふぅ~...それより...」


 雑談をしている暇はないのじゃ。


「セージ、早速じゃがお主に頼みごとがあるのじゃ」

「はい?なんでしょう、なんなりとお申し付けください」

「実は、この世界に人間で受肉した理由が分からなくてのぉ...というのも、いきなりこの体に精神体が引っ張られて、この体に入り込んでもうたのじゃ、そのせいでこの世界について情報が少ない。この世界について情報収集してくれぬか?」

「ほう...かしこまりました。少々お待ちください」


 流石セージ、妾のふんわりした説明でなんとなく理解してくれるから助かる。


 セージの顔前にぶわっと青いオーラが出る。索敵魔法じゃ。


 こやつの索敵は凄まじい。この世界の構成から粒子揺らぎに至るまでを調べ上げ、そこから演算処理し、あらゆる情報を出力する。いわば動く自立解析装置じゃ。


 この魔法はセージの自作。仕組みが複雑すぎるが故、一般的に普及しない固有魔法なのじゃ。


「・・・・・・解析情報を逐次共有しますね」

「ああ、頼む」


―――――――――――


 さて、共有されるのは記憶そのもの。それがそのまま脳内に注ぎ込まれる。普通の人間はこれで発狂しかねん。我は神じゃから耐えられる。


 ふむ...なるほど...あ~...うん...うん...


 さて、ここからは大分複雑な話になる。掻い摘んで(かいつまんで)説明しよう。


 妾は神的存在なので、分かるのじゃが、この世界の神は相当イキった創造神のようじゃな。


 妾も世界を作ったことがある。神じゃからな。


 神というのは世界を作ったり、他の神が作った世界を乗っ取ることができるのじゃ。運営の方は自分の配下に任せることが多いがの。


 前者は創造神という。後者は...主に破壊神と呼ばれるのぉ。


 創造神は、自分の好きな世界を作りたがる。だから一つの種族に入れ込むことが多い。


 例えば、この世界は相当人間に入れ込んでおるのう。


 それゆえ、こういうふうに他の種族を生まれないようにするのは初心者創造神あるあるじゃな。


 じゃが、この世界の神は...それなりに世界運営をやったタイプの神のようじゃな。初心者創造神で魔法なし人間メインの世界は争いが良く起こる故に、よくて石器時代がせいぜいじゃ。


 「人間のみ、魔法なし世界のバランスをうまく保たせている俺カッケーwww」とか思いながら運営しとるようじゃ。


 神同士の交信で、自分の世界創造自慢をしてるみたいじゃ。イキりがウザくて他の神が徐々に離れていくやつじゃな。神に一番似ている種族が人間だというのはよく言われるが、違いないのう。


 神同士の交信はまあ制約が多くて自分の配下以外にはほとんど使わんが、たまに積極的に使いたがるイキリ神がおるものじゃ...妾はもちろん、そういう輩は遠ざけておる、そのせいでこの世界に来た時、何も技術が分からなかった時のように、知らない技術が他の世界にたくさんあるというのが玉に傷じゃが。


 さて、次の説明じゃが、この世界の人間は色々な宗教の元で争っておるらしいのう。池〇彰が解説しておった。ふ、こんな世界を作る神を崇めるなど面白いのう。この世界、なぜ魔法がないかわかるか?


 この世界の神はいつか神を超える存在に世界を乗っ取られるのが怖いのじゃ。魔法を使えると、時たま神を越えようとしてくるやつが出てくるのじゃ。それは種族の長)に召喚された破壊神だとか、たまに異界の人間が多いのじゃ。(例えば召喚士だとか、王だとか、聖女だとかが、勇者とか、魔王とかを召喚するという、この世界のラノベというものあるあるじゃな)まあ、これも初心者創造神の失敗あるあるじゃ。


 実際、神を退(しりぞ)けて世界の神に成り上がったやつがいくつもいるからのう。そうなると、その創造神の世界創造は一からやり直し。全部パアじゃ。


 ちなみに、この前も言ったが、妾の初めて作った世界は130億年ほどで乗っ取られたぞ。人間側の破壊神を召喚した勇者にな。世界のルールはサキュバスと人間のみ、魔法有りの世界じゃった。


 人間の性欲は満たせていたのに、自由がない世界は嫌だとか言って...召喚された初狩り神(勇者)に狩られたわ...はぁ...


※初狩り神・・・(初心者創造神の世界ばかりを、ターゲットにする性格(たち)の悪い破壊神のこと)


 それで世界作りに萎えてのう...サキュバスキングという破壊神になって、他の世界でサキュバスという種族に入れ込み、イキリ創造神や初狩り神の邪魔をするという【成敗系破壊神】をメインにやっておるというわけじゃ。


(ちなみに、妾がサキュバスの神をしているのは生まれたときにまだまだ何も知らなくて...サキュバスという種族は美形に生まれることが多いというのが、なんだか面白そうだったのでサキュバスの神になったのじゃ。サキュバスが外れ種族だと知ったのはその後じゃった...じゃが、サキュバスが虐げられたり、底辺の種族として頑張っている世界は多い。だからこそ、やりがいはひとしおじゃな。)


 あの、世界を自分の思い通りにできなくなったイキリ神共の顔はいつ見ても滑稽でのぉ...!やめられんのじゃ!


 まあ、乗っ取られるのもまた楽しいという神もおるが(脳を破壊されるのがいいとか言うておる。サキュバスキングの妾もドン引きじゃ)、プライドが高い神はそれは許さないとかで、限りなくリスクを避けようとする。


 特に自分の運営する世界から魔法を取り除くと、破壊神を呼ばれるリスクをほぼ0にできる。しかし、まあ成熟しすぎた科学の世界でもたまに起きるらしいがな。その場合も創造神の負けじゃ。


 この世界の神はおそらく、相当プライドが高いと見たぞ。


 適度に成熟した科学文明は徹底的に天災で潰す、というのを繰り返して中途半端な繁栄で文明を止めているに違いないのじゃ。そうしてずっと同じ世界を運営しておるんじゃろ。中途半端な世界は異世界の神を召喚できず、乗っ取られないから負けようがないのでのう。相当の負けず嫌いじゃな、いや、相当負けるのを恐れておる。


 ふむ……偶然とはいえ、妾のような破壊神にとってはなかなか潰し甲斐のある世界に来たものじゃなぁ...ニヤリ


 で、ここからが肝になるんじゃが...


 なんでこの世界の神は人間に(くみ)しているにもかかわらず、人間を不幸な目に遭わせるのか。


 それは、この世界の神がクズだからじゃ。この世界の神は、人間に優劣や上下をなるべく理不尽に決まるように作っておる。


 サキュバスのいる世界でそんなことは起きないのじゃ。なにしろ、サキュバスは全員美女に生まれるからのう。それに人間も、サキュバスを交配させることで、一定の優秀さや美麗さを全員に担保させたのじゃ。そうやって、不幸な人間やサキュバスが出ないように工夫しておった。


 じゃが、この世界の神はそんな工夫がまるでない。どころか、優劣を理不尽にすることで争いを生み、争いを起こさせることで発展をより早く進めるという鬼畜の所業をしているのじゃ。


 発展させると様々な面白い技術が見れるからのう、この世界の神はある程度高度に発展した文明の面白い技術を見たいという欲から、そのようなことをしている様じゃ。ガチクズじゃ。


 特にこの世界の男性はひどいものじゃ。争いや仕事へ男性は積極的に駆り出される運命にあり、それ以外で男性の価値が担保されていない。


 例えば、男性に何かしらの価値、例えば妾の世界では男性はサキュバスへの精液の供給という面で非常に重要な価値を生み出していたのじゃ。こうすることで、世界で争いは起きにくく、発展は緩やかに進むが、不幸なものが出ることがないため、世界転覆が起こりにくいのじゃ。


 それもこれも、この世界に魔法がないことが問題じゃな。こうすることで神への反抗心が芽生えても、絶対領域として、魔法で破壊神を呼べないようにして、神に逆らえぬようになっておる。神に逆らえぬから、差別や優劣を大きく付けられるというわけじゃ。


 つまり、ガッチガチに自分を守った上で、世界をつくり、適度に神側から介入をしているわけじゃな。そうして、色々な技術発展を高みの見物をして楽しんでいると。そして、作った世界で生きる生物の幸せは考えないという超絶自己中的な世界作りをしている...


 しかも、俺が作ってる世界は計算ずくでバランスが取れていてかっこいいだろ~と、神同士の交信で自慢しているんじゃな。ほ~なるほどのう。


 ぶっ潰さねばなるまい。


―――


 さて、妾がこの世界でこの体に受肉した理由なんじゃが...


 どうやら、人間の発達した脳にはサイコキネシスという能力が備わるらしいのじゃ。

 

 人間の電磁的な力じゃな。今回、それが薬の服薬、今回であれば大量に摂取した薬の効果によって、一時的にその能力がとんでもなく上昇したらしい。


 そのサイコキネシスの力がたまたま、前回世界を乗っ取ってから何百年と寝ておった妾の精神体にアクセスし、体に引き寄せ、魂を体に固定したようなのじゃ。


 ...要は、魔法の力も科学の力もなしに自分の魂を犠牲にして妾を召還したというわけじゃ。たまたまにしても、とんでもない偉業を成し遂げたものじゃなぁ...


 ちなみにその時、この体の精神体は...どうなったかは分からん...


 うぅむ...こればかりはどうしようもないのう...あの世で見ていて欲しいものじゃ...


―――――――――――


「うむ、セージよ。大体わかったぞ。ありがとうのう」

「...はい、主様...」

「おぬしも...思うところがあったのか?」

「...はい...」

「そうじゃな...」


 セージは、若干疲れた顔をしておる。賢いサキュバスと言っても感性は普通じゃ。こんなつらい世界の現実を見れば落ち込むのも分かるのじゃ。


 これから、この世界で復讐をしていかねばなるまい。そして、安全地帯でゆっくり世界を見て、イキって楽しんでいる神を引きずり下ろし、成敗せねばならぬな。


 それが、【成敗系破壊神】たる、妾の使命じゃ。

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