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迷宮

 妾たちは半日かけてダンジョンを中心とした町『アスト』に来た。


「まずはギルドに行かないとね」

「ギルドか、そこで妾を登録するのか?」

「そうね、探索者として登録しましょう」

「妾は召喚獣じゃが、人間で登録して大丈夫なのかのう?」


「ああ、リリーはほとんど私たちと変わらないから...あの貴族たちの召喚獣見たでしょ?」

「妾とは違って異形共じゃったな」

「そうそう、あんな感じの魔物が召喚魔法では出るから、サキュバスキングの貴方なら、言わなきゃバレないのよ」


「なるほどのう、ちなみに寮長とか、貴族の奴らから情報が漏れることはないのか?」

「それも大丈夫、学園は閉鎖空間だし、あなただと特定できるような記録媒体がないからバレないわ」

「似顔絵とかは...?」

「人を殺したり、罪を犯したわけじゃないから、手配できないわ。もし許可なく手配なんてやったら厳罰を食らうわよ」

「意外としっかり法整備されておるんじゃな」

「そういうこと。じゃあギルドで申請しましょ」


 冒険者ギルドについたのじゃ。


「すいません、この人の冒険者登録したいんですが...」

「あらひゃだ! コンちゃん! お姉さん久しぶりに会えてうれしいワ!」


 ...冒険者ギルドの奥から、アロハシャツを着た筋骨隆々な、クネクネしたスキンヘッドおじさんがやってきたのじゃ。


「あ! ギルドマスター! 久しぶり!!!」

「ああ~ん! 相変わらずもふもふでかわいいわネ~! 飴ちゃん舐める?」

「うん! 舐める!」


「ええっと、この人は...?」

「あらま! チョー可愛い子がいるじゃない! こんにちワ~♡」

「この人は『アスト』のギルドマスター、とってもやさしい良い人なのよ!」

「あ、よろしくなのじゃ」

「うふふ、ちょっと緊張しているわね、ギルド登録は簡単だからリラックスよ~! 奥の部屋に行きましょ!」


 妾たちは奥の部屋に進んだ。


「マスター! それじゃあよろしく!」

「ええ! じゃあ手をかざしてね~」


 目の前に水晶が置かれたので、そこに手をかざした。


「...登録完了!」

「えっと、これだけなのじゃ?」

「ええそうヨ!」

 

「うーん...どういう仕組みなんじゃ?」

「指紋と魔力のクセを登録するの、何かあった時...まあ、そういう時に役立つワ」

「あっ...」


 死んだとき用のやつなんじゃな...


「ちなみに、ギルドに登録すると何かあるのか?」

「ギルドのお店が使えるワ、あとはこの町のダンジョン内で死んで蘇生するときに探索者の身元特定するのが私たちだから...そういう時登録しているのが大事ね」

「蘇生できるんじゃな」

「よほどひどい死に方しなければ復活できるワ! トラブルは自己責任! クエストの仲介はしてないからね、ここはダンジョンで稼ぐ探索者の稼ぎ用のお店を仲介するのが主なお仕事なの。外の依頼はまた別のギルド...冒険者ギルドで受け付けているワ!」

「そのギルドは?」

「ここから200m先ネ」


「コン、そっちはいいのか?」

「ダンジョンに潜るのがメインだから、そっちのギルドは関係ないかな」

「なるほど」


 結構複雑な体系なんじゃな。


「うふふ、コンちゃんが人を連れてくるなんて...しかも、男の人…彼氏みたいネ...♡」

「えっ! な、なぜ分かるんじゃ!?」

「わかるわよ、コンちゃんの魔力と貴方の魔力が混ざり合ってる、特殊な魔力特有の流れだもの」

「なっ!? 何者なんじゃ!?」


「うふふ、すごいでしょ、ギルドマスターはね、片目が魔眼なの。魔力の流れを見ることができるのよ」

「なっ、なんじゃと...」

「ウフフ♡」


 魔眼、あらゆる世界共通でこの目を持つ者は珍しい。なぜなら目に魔法の力が宿るというのは基本的に突然変異が原因じゃ、これが起きる確率は限りなく低い。


 ...まさか、この人が魔眼持ちとは...人間とはわからぬものじゃ...


「コンちゃん、よかったわね、彼氏ができて」

「うん! とっても素敵な人なの!」


「コンちゃんが嬉しそうで、私も嬉しいわ! じゃあ、ダンジョンにいってらっしゃい! コンちゃん、応援してるワヨ!」

「うん! ギルドマスターまたね!」

「ば、バイバイなのじゃ」

「ウフフ♡」


 そうして妾たちはダンジョンにもぐったのじゃ。


「ちなみに、どういう人脈なんじゃ...?」

「ギルドに入った時、私に優しくギルドの仕組みを教えてくれたのよ。その当時は良かったわね...自由気ままにダンジョンにもぐれたから...」

「なるほどのう、何歳ごろなんじゃ?」

「8歳、その頃から私はダンジョンにもぐってたのよ」

「それはまた、なぜじゃ?」


「お父さんがいないから、私が稼いでたの」

「あ、ああ、なるほどのう...」

「あのね、ギルドマスターは頼りがいのある優しい人だったから、一緒にいるとお父さんみたいでとっても嬉しかったのよ、それとね…」

「なるほどのう...」


 妾はコンの昔話を優しく聞きながら、ダンジョンに入ったのじゃ。

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