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次の日

「おはよ」

「ああ、おはようなのじゃ」


 コンが起きたようじゃ。妾は部屋に届いていた朝食を摂っていた。


「あ! 私のごはん!」

「ああ、大丈夫じゃ。妾はサキュバスキングじゃからな、ほれ」

「・・・・・・はぇっ!?」

「サキュバスキングを知らぬようじゃが、妾は()()()()()、ま、これで精(えき)は大丈夫じゃろ?」


 サキュバスは通常食も食べれるが、精(えき)を摂ることでも生きられる種族じゃ。これを見れば安心するはず


「んなっ...なんで生えてっ///!? デッカ...っ...! ...てか何出してるの!? っ...そ、その...あぅ.../// い、一緒に寝ちゃったっ...///」


 ...? なにやら初々しい反応じゃな...?


「サキュバスなのに、そんなウブな反応して、どうしたのじゃ?」

「そんな異性と寝るわけないじゃない! サキュバスキング・・・・サキュバスの王様なんだから! それくらい知ってるでしょ! もう、早くしまって!」

「そ、そうなのか? 妾の知っているサキュバスとだいぶ違うようじゃが...」

「え?」


 二人の間に齟齬が起きていのはなんとなくわかった...ごそごそ仕舞いながら、とにかく認識のすり合わせをすることにした。


・・・・・・

「ああ、そういえば、鏡を持ってくるのじゃ、まだ妾は、妾の見た目を確認しておらん」

「あ、あぁ...そうね…」


 奥のクローゼットから全身鏡を持ってきた。


 凛々しい顔をした、妾がいた。流れるようなロングの青い髪...瑞々しいリップ、吸い込まれるような青い猫目、そして一番目立つのは何と言っても胸。かなり大きい。目の前の、コンと同じくらいあるのじゃ。下へと目線を降ろしていくと、それに続くスレンダーなくびれのあるボディーライン、そしてお尻も大きく、理想的な女体と言った体つきをしておる。それが、一枚の大きくて豪奢な青色のドレスで包まれていて、スカートの下にはボクサーパンツをはいているのじゃ。


 この美しさ、完璧さ、間違いなく、妾はサキュバスキングの身体を受肉しておる。


 トイレで確認したが、男性器が過去一大きかった。受肉する姿は召喚者の魔法の腕によって決まる。特に顕著に表れるのが、男性器じゃ。それが過去一大きかったということは、間違いなくこの、コンという召喚主は召喚魔法能力にも優れておる。


 ...なのになぜ、魔物が召喚できないというのか...謎は深まるばかりじゃ...


「コホン、えぇと、まずじゃな、サキュバスは通常食のほかに精(えき)を摂るのではないのか?」

「そんなわけないでしょ、サキュバスって言うのは普通にご飯食べるわよ、ただ普通の人よりいくらか美しい、魔法が少し得意な人間種ってだけ。てか、なんであなた、女の子の見た目なのにその...生えてるのよ...」

「妾こと、サキュバスキングは女体に男性器の生えている特殊な神じゃ。サキュバスの見た目のいいところを持ち併せながら、サキュバスの王として民を導き、子孫を残すことに主眼を置いた生き物なのじゃ」


 ちなみに解説しておくと、玉もついているが、女性器はない。いわゆるディッ()ガールというやつじゃ。


「その、えぇと...何から質問すれば...あなたのいた世界でサキュバスってどんな生き物なの?」

「端的に言えば、性交しなければ生きていけない種族じゃ」

「えぇ...何その...なに? え、どんな修羅の世界? ...私の世界のサキュバスは女の子しかいないけど...そんな性交しなきゃ生きていけないなんてないわよ...ってか、子供はどうすんのよそれ...」

「子供も喜んで性交するぞ?」

「...」


 なんぞ、絶句しておる。


「ま、まあとにかくじゃな、妾の世界のサキュバスはそういうわけじゃ」

「じゃあ、今度は私の世界のサキュバスについてね、端的に言うなら男性と結婚して子孫を残す女性だけの種族よ」

「ふむ」


 男性に依存するという点でサキュバスじゃな。


「だから父親によって種族が変化するの。私は見ての通りキツネ獣人」

「父親は誰なのじゃ?」

「...私、お父さんに会ったことがないの。お母さんは、お父さんについて話してくれずに最近...」

「あ、す、すまん」

「いいえ、いいわ、重い話をしてごめんなさいね、続きを話すわ、その...」


 コンは少し悲しそうな顔をしつつ、今度は神妙な顔をしてまた話に戻り、また今度は少しどもった。


「サキュバスは異性と寝たら、その人と結婚しなくちゃなのよ」


 ぼそっと、少し恥ずかしそうにそう呟いた。


「は?」

「...よろしくね」

「どういうことじゃ...?」

「サキュバスは異性と一緒に寝たらその人と結婚しないとなのよ」


「な、なんじゃそれは!?」

「もう! 昨日のうちに生えてるって言ってよね! そしたらベッドは分けたのに!」

「詳しく、詳しく説明せい! どういうことなんじゃ! 妾の世界のサキュバスとまるで違うぞ!」

「・・・・・・いい? この世界のサキュバスは隣で寝てる異性に性的な夢を見せるの、そしてその相手と生涯、添い遂げないといけないのよ。多分私、昨日の夢であなたをたくさん(しぼ)ったはずよ、心当たり、あるんじゃない?」


 ・・・・・・待て、確かに朝起きた時、パンツの中にひどい夢精をしていた。だからトイレに入った。すっかりそれがいつもの『受肉したてあるある』だと思ったのじゃ...


 しかし、あれがこの世界のサキュバスの能力のせいだとすれば...それも納得がいく。


「えと、それはまたなんでなのじゃ...?」

「どういうこと?」

「なんで夢で性的にイタズラするのじゃ?」

「そうすることでお互いの魔力を交換し合って、体の中で順応させてお互いの魔力相性をよくするのよ。サキュバスは魔力が大事な種族だから、こうしないと子供を残せないのよ。で、消耗が激しいからこれができる相手は生涯一人だけ。一回やっちゃったらもう他の人とはできないから...その...よろしく...」


「結局習性がサキュバスではないか!」

「ちがうわよ! あなたの世界のトンデモサキュバス達と一緒にしないで!」

「あーもう! 結婚するのはいいが、なんでこう...面倒くさいことになるんじゃー!」

「私だってこんなことになるなんて思わなかったわよ! あーもう!」


 お互いに頭を抱えた。それからいくつか話し合った。


「それで...えぇと、そんなところかな...この世界のサキュバスは...」

「うむ...じゃあ、結婚じゃな...」

「えぇ...」


 この世界の結婚とは、どうやらキスをして誓いを立てるんだそうじゃ。


 ちゅむっ


 唇が触れ合って、優しくキスをした。


「ぷはっ! これで結婚、あなたと私は一心同体。これからよろしく頼むわよ」

「仕方ないのぉ、こうなったらどこまでもそなたを助けてやろう。よろしく頼むぞ」


「まさか、召喚獣と結婚することになるなんてね...」

「妾も、召喚主と結婚するのは、初めてではないが、こんな、段階も踏まずに結婚することになろうとは...」


 妾たちがそうして何とも言えない顔で見合っていると、部屋に声が響いた。


「寮生コン、寮長室に来なさい」

「呼ばれたわね」


 妾たちは歩いて部屋を出た。

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