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現在進行 鳥の国 2  作者: 蓮尾純子
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クロアシアホウドリ   2002年2月

鳥の国から   すずがも通信132号  2002年2月

   クロアシアホウドリ


 わが野鳥病院のスタッフ(特に私)は、予知能力があるのかもしれません。株価変動etcを察知する等、多少なりとも役にたつ方に発揮できればよいのですが、「今年はまだヒヨドリのヒナがこないね」とか、「この時期はヤマシギがよく入るのよ」とか、口に出したら最期、数日以内にどどっとご入院、という事態が起こります。ただ単に、季節はめぐる、というだけの話なんですけどね。

 ともかく「〇〇鳥がこない」という発言だけは間違ってもしないように気をつけています。それでもねえ……

 11月に中部屋の大・消毒と大・模様替えを敢行して以来、一角に隔離用に設けてあるかこいを暖房室に仕上げておかなくちゃ、と話していました。

「そうそう、やっておかないと、アホウドリが入るかも知れないものね」 

私が言ったんじゃありません。達夫さんです。

 ほんとうに来てしまいました。暮れの12月27日夜、けがをしたカモというふれこみで大事そうに抱えて来られた鳥を一目見て絶句。クロアシアホウドリ。用意しておいた段ボール箱なんて、まるで小さくて。幸いどこにも傷はなく、もっと幸いにも抱っこしてきてくださった方にもけがはなく(この連中のかみつき方は冗談ごとではすまない)、ショックで呆然としているだけのようでした。

 この夜は治療室の一角に新聞紙を敷いてヒーターや箱で仕切り、仮宿舎にしました。時々気抜けした「ンアー」という声を上げ、大きな嘴をカタカタ言わせて威嚇していましたが、まんざらでもなさそう。

 翌日は中部屋の暖房囲いを仕上げてもらって移動しました。まわりが見える治療室の囲いと違って、周囲が壁面なのがご不満らしく、出ようとして突進したり、餌やりに入る人間にかみついたり。日増しに元気よくなり、態度も悪くなって、早く放そう、と言い合っていました。1月7日、曇りがちで風がないのを気にしながら、来合わせた坂口氏と一緒に達夫さんが富津岬に持って行きました。長い翼を張ってぐんぐん遠ざかる、というシーンではなく(珍しく風がぜんぜんなかった)、海面に軽々と浮き、時々楽々と舞い上がる、という状況だったそうですが、自信を持って放鳥できたとのこと。このクロアシ君、当歳の若鳥でしかも環境庁リングがついています。先シーズンに鳥島で育ったヒナのはず。元気でね。




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