練習生オーディション7 終
補欠合格を受けて私は喜びを感じていた。
そこに。
「待ってください!なんで、何でこの子なんですか!?納得できません!!」
1人のオーディション参加者が声を上げた。
あの人は確か、石川陽子さん。
マラソンもトレーニングもそつなくこなしていた人だ。
石川さんは怒りの表情で私を睨みつけると、コーチへ抗議の声を上げた
「早瀬さん、佐藤さんはわかります。お二人に比べれば体力も筋力も私は劣ってる。でも、この子には負けない!メニューも全て私はこの子より上手くこなしました!それなのに、なんで!」
ニコリとした笑みを浮かべた降田社長が石川さんの前に出る。
「貴方は確か、石川さんでしたねぇ。貴方が選ばれなかったのは、綾瀬さんに対して優れているから、劣っているからで選んでませんよ。」
「だったらどうして!?」
「私たちは現段階で彼女に可能性を感じました。もちろん貴方だけではなく、ここに居たすべての人に可能性を感じます。確かに貴方の言う通り、彼女は貴方に体力も筋力も劣っています。ですが、体力や筋力は鍛えればつくんですよ。もちろん、本人の努力によってね。それ以外の部分を評価して私たちは彼女を選んだんです」
体力でも筋力でもない、それ以外の部分。
なんだろう?私にも見当が付かない。
「何なんですか!?それ以外の部分って、何なんですか!!」
社長の前に楓さんが出てくる。
「貴方もプロレスラーを目指してここに居るのなら、それは誰かに教えてもらって理解するのではなく、自分で模索して考えなさい」
「そんな、のって…!!許さない、この団体も、あんたも!!絶対、絶対後悔させてやる!!」
そう言って石川さんは怒りの表情のまま道場を後にして行った。
彼女とはまた会うことになるのだろうか?
その時私はどんな顔をして彼女と向き合うのだろう。
まだ、わからない。
「はぁ」
私は息を吐き出した。
何にせよ、ようやく今日が終わる。
まだ決まったわけじゃないけど、
私の夢はここから動き出すんだ!




