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ただの高校生だった俺は、異世界召喚で空間を斬る最強になったのに、帰ってみたら幼馴染が王家の姫になっていた  作者: NOVENG MUSiQ
第3章 赤い空の機械世界と銀色の心臓

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第71話:止めるための弾丸

 アズが床の制御核を断つ。


 キュプリアの罠が大きく崩れた。


 キュプリア「ちっ……!」


 瑠香の光弾が、ブランシェリアの狙撃軸を連続でずらす。


 ブランシェリアの白い弾が、わずかに外れる。


 ネリュアの精霊術が、ヴィオレリアの干渉を一瞬だけ押し返す。


 紫の歪みが薄れる。


 俺はその隙に【光断一閃】を放った。


 オーレリアの槍を弾き、カルミリアの炎の刃を受け流す。


 肩が悲鳴を上げる。


 それでも動く。


 その背後で、シルヴェリアが消えた。


 いや、消えたように見えた。


 同型機の動き。


 R.I.A.シリーズの呼吸。


 彼女だけが知る癖。


 オニキリアが潜む影へ、シルヴェリアの銃口が向く。


 シルヴェリア「オニキリア。あなたは、左からではなく、影の薄い右後方から来ます」


 影が揺れた。


 オニキリアが姿を現す前に、銀色の弾丸が撃ち込まれる。


 弾丸は彼女の胸部ではなく、右肩の制御核を貫いた。


 黒い影が崩れる。


 オニキリアの刃が床に落ちた。


 彼女は膝をつき、そのまま動きを止める。


 シルヴェリアの顔が、一瞬歪んだ。


 泣きそうに。


 けれど、撃った。


 次にヴィオレリア。


 紫の光が、最後の抵抗を見せる。


 視界が何重にもぶれる。


 俺の身体が、いくつもに分かれて見える。


 だが、ネリュアが叫ぶ。


 ネリュア「今じゃ、瑠香!」


 瑠香が【光衝弾】を広げる。


 光が、幻を照らす。


 偽物の像がいくつも薄れていく。


 アズが床の紫の線を切る。


 俺が空間の継ぎ目を斬る。


 そして、シルヴェリアの銃弾が、ヴィオレリアの手のひらを撃ち抜いた。


 紫の干渉が消える。


 ヴィオレリアは、微笑みを浮かべたまま膝をついた。


 ヴィオレリア「……乱暴ですね、R-02」


 シルヴェリア「申し訳ありません」


 ヴィオレリア「謝るのですね」


 シルヴェリアは答えなかった。


 次はブランシェリア。


 白い髪の狙撃手は、最後まで黙っていた。


 彼女は射線を変え、瑠香を狙う。


 瑠香が光弾を放つ。


 だが、ブランシェリアの狙撃はそれを貫いてくる。


 俺が【暁光翔歩】で瑠香の前へ出る。


 肩が痛む。


 動きが鈍る。


 その隙に、アズがブランシェリアの射線を読んで叫んだ。


 アズ「……上!」


 シルヴェリアの銃口が上を向く。


 天井の反射板。


 ブランシェリアは直接撃っていたのではない。


 天井に反射させて、死角から弾道を作っていた。


 シルヴェリアの弾丸が、その反射板を撃ち抜く。


 白い弾道が消える。


 続けて、瑠香の光弾がブランシェリアのセンサーを焼いた。


 ブランシェリアは一歩下がり、そのまま静かに膝をついた。


 ブランシェリア「射線……喪失」


 キュプリアが舌打ちする。


 キュプリア「一体ずつ潰してくるなんて、ほんと嫌なやり方」


 愛斗「褒め言葉として受け取る」


 キュプリア「褒めてないわよ」


 彼女は床に最後の罠を展開する。


 ドーム全体に銅色の光が走る。


 床が裂け、壁の端末が火花を散らし、カプセルの台座が震えた。


 このままでは、ドームごと崩れる。


 アズが前へ出た。


 愛斗「アズ!」


 アズ「……大丈夫」


 震えた声。


 でも、目は逃げていなかった。


 彼女は床の光を見ていた。


 罠の核。


 それも、いくつもの偽物に紛れた本物を。


 アズの小剣が、床の一点へ刺さる。


 銅色の光が割れた。


 キュプリアの表情が初めて崩れる。


 キュプリア「嘘でしょ」


 シルヴェリアの弾丸が、キュプリアの手首の制御部を撃ち抜く。


 罠の光が完全に消えた。


 キュプリアは皮肉げに笑おうとして、失敗した。


 キュプリア「……面倒な子たち」


 彼女も、動きを止めた。


 残ったのは、カルミリアとオーレリア。


 カルミリアは炎の刃を両腕に展開していた。


 怒りだけで立っているような姿だった。


 カルミリア「終わらない……まだ、終わらない!」


 シルヴェリアは彼女を見る。


 銃口が揺れる。


 カルミリア「撃てよ! お前はそうやって、また私達を捨てるんだ!」


 シルヴェリア「違います」


 カルミリア「何が違う!」


 シルヴェリア「わたくしは、あなたを止めます。捨てるためではなく、これ以上傷つけないために」


 カルミリアが叫んだ。


 炎が膨れ上がる。


 彼女は真正面から突っ込んでくる。


 俺は剣を構える。


 瑠香が光弾を放つ。


 ネリュアが流れを読む。


 アズが床の熱の逃げ道を切る。


 カルミリアの炎が、一瞬だけ乱れた。


 その隙に、シルヴェリアが撃った。


 狙いは胸部ではない。


 腕でもない。


 腹部の奥にある、火力制御核。


 銀色の弾丸がそこを貫く。


 炎が消えた。


 カルミリアは数歩よろめき、シルヴェリアの前で膝をついた。


 カルミリア「……お前だけが」


 シルヴェリア「はい」


 カルミリア「お前だけが、外を見た」


 シルヴェリア「……はい」


 カルミリア「ずるいよ」


 その最後の声だけが、少しだけ子どもみたいに聞こえた。


 カルミリアの瞳から光が消える。


 シルヴェリアは唇を引き結んだ。


 残るは、オーレリアだけだった。

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