表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただの高校生だった俺は、異世界召喚で空間を斬る最強になったのに、帰ってみたら幼馴染が王家の姫になっていた  作者: NOVENG MUSiQ
第3章 赤い空の機械世界と銀色の心臓

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/68

第64話:目覚める六姉妹

 カプセルの中の少女たち。



 まず、R-01。


 金色の髪。


 冠のような髪飾り。


 閉じられた瞳。


 眠っていても、どこか威厳がある。


 指揮官。


 長姉。


 そんな言葉が自然に浮かぶ。



 R-03。


 銅色に近い茶色の髪。


 服には細かな配線のような模様が走っている。


 眠る口元が、どこか皮肉げに見えた。


 解析、罠、工作。


 そういう役割を持っていそうな雰囲気がある。



 R-04。


 真っ白な髪。


 この中では一番細身に見える。


 表情は静かで、遠くを見ているような冷たさがあった。


 長距離から何かを撃ち抜く。


 そんな印象を受ける。



 R-05。


 黒い髪。


 影のように静かな顔。


 眠っているのに、そこだけ光が沈んでいるみたいだった。


 暗殺という言葉が、一番似合いそうだった。



 R-06。


 赤い髪。


 気の強そうな顔立ち。


 閉じた瞼の下に、今にも怒りが燃えそうな熱を感じる。


 近づけば焼かれる。


 そんな雰囲気があった。



 R-07。


 紫の髪。


 細い線のような光が、彼女の周囲の液体に浮かんでいる。


 電気か、幻か。


 見ているだけで視界が少し揺れるような、不思議な気配があった。



 六人。


 いや、シルヴェリアを含めれば七人。


 眠れる七姉妹。


 そう呼ぶのが、妙にしっくりきた。


 シルヴェリアはカプセルの前に立っている。


 その瞳に、初めてはっきりとした感情のようなものが浮かんでいた。


 不安。


 懐かしさ。


 期待。


 それとも、任務の残滓。


 どれなのかは分からない。


 けれど、ただの無表情ではなかった。


 シルヴェリア「……わたくしの、家族」


 淡い銀色の瞳が、カプセルの中の少女たちを順番に見る。


 シルヴェリア「R-01、オーレリア」


 シルヴェリア「R-03、キュプリア」


 シルヴェリア「R-04、ブランシェリア」


 シルヴェリア「R-05、オニキリア」


 シルヴェリア「R-06、カルミリア」


 シルヴェリア「R-07、ヴィオレリア」


 六人の名前を、シルヴェリアは一つずつ口にした。


 まるで、忘れかけたものを指先でなぞるみたいに。


 記憶は破損している。


 それでも、名前は残っていた。


 家族という認識も、残っていた。


 シルヴェリア「家族、です」


 その言葉は不安定だった。


 彼女自身も、それが命令なのか、記録なのか、感情なのか分かっていないみたいだった。


 それでも、彼女にとって大切な言葉なのだろう。


 俺はシルヴェリアへ近づこうとした。


 だが、彼女がこちらを見ずに言う。


 シルヴェリア「愛斗。離れていてください」


 愛斗「何をするつもりだ」


 シルヴェリア「任務を完了します。わたくしの家族を、起こします」


 その声は静かだった。


 だが、迷いはなかった。


 俺は止めるべきだったのかもしれない。


 ログには不穏な言葉が並んでいる。


 R-02原因説。


 全機廃棄承認。


 R.I.A.シリーズ暴走疑惑。


 こんな状態で、他のR.I.A.シリーズを起こすのは危険だ。


 危険に決まっている。


 けれど、俺は言葉を失った。


 家族を起こしたい。


 そう言われて、止められなかった。


 それが正しい判断だったのかは分からない。


 たぶん、正しくはなかった。


 でも、俺たちはいつも正しさだけで進んできたわけじゃない。


 シルヴェリアの手が、再起動装置に触れる。


 ドーム内に、低い音が響いた。


 七つのカプセルのうち、六つが淡く光る。


 内部の液体が、ゆっくりと抜けていく。


 白い冷気が、床を這う。


 端末画面に、警告の赤い文字がいくつも浮かぶ。


『再起動シーケンス開始』


『R.I.A.シリーズ、覚醒処理』


『警告』


『停止命令、無効』


『旧命令系統、復旧』


 愛斗「シルヴェリア、待て」


 声をかけた時には、もう遅かった。


 最初のカプセルが開く。


 白い蒸気が流れ出す。


 金色の髪の少女が、ゆっくり目を開いた。


 R-01。


 オーレリア。


 その瞳は、冷たかった。


 王冠にも似た髪飾りの下で、金色の瞳がシルヴェリアを捉える。


 しばらく、何も言わない。


 ただ見る。


 その視線だけで、空気が変わった。


 シルヴェリア「オーレリア……」


 オーレリアの唇が、静かに動く。


 オーレリア「R-02」


 その声は、シルヴェリアと似ていた。


 けれど、まったく違った。


 冷たい。


 鋭い。


 そして、その奥に怒りがある。


 オーレリア「あなたは、なぜここにいる」


 シルヴェリアは答えられなかった。


 次のカプセルが開く。


 また次も。


 白い冷気が広がり、六つの影が目を覚ましていく。


 キュプリア。


 ブランシェリア。


 オニキリア。


 カルミリア。


 ヴィオレリア。


 眠っていた姉妹たちが、次々と瞼を開く。


 彼女たちの視線が、一斉にシルヴェリアへ向いた。


 それは再会の視線ではなかった。


 歓迎でも、安堵でもない。


 もっと冷たく。


 もっと鋭く。


 もっと痛いものだった。


 シルヴェリアの指先が、かすかに震えた。


 オーレリアは、カプセルの中から一歩踏み出す。


 濡れた金色の髪が、肩に貼りついている。


 それでも、彼女の立ち姿には乱れがなかった。


 指揮官機。


 その言葉が、俺の頭に浮かぶ。


 彼女はシルヴェリアを見たまま、静かに告げた。


 オーレリア「R-02。あなたの単独逸脱により、R.I.A.シリーズは危険兵装と認定された」


 シルヴェリアの瞳が揺れる。


 シルヴェリア「わたくし、が……?」


 オーレリアの声は、さらに冷たくなった。


 オーレリア「お前のせいで、私達は捨てられた」


 その言葉が、ドームの中に落ちた。


 重く。


 冷たく。


 鋭く。


 シルヴェリアは、その場から動けなくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ