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ただの高校生だった俺は、異世界召喚で空間を斬る最強になったのに、帰ってみたら幼馴染が王家の姫になっていた  作者: NOVENG MUSiQ
第3章 赤い空の機械世界と銀色の心臓

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第63話:R-00、アクロリア

 透明な容器。


 内部を満たす薄い液体。


 淡い光に照らされた少女たち。


 その中で、シルヴェリアに似たアンドロイドたちが眠っていた。


 黒いゴシック調の服。


 人形みたいに整った顔。


 細い身体。


 けれど、髪の色が違う。


 服の形も違う。


 纏っている雰囲気も、それぞれ違っていた。


 眠る少女たちは、同じシリーズでありながら、明らかに別の個性を持っている。


 シルヴェリアが、ゆっくり進む。


 その背中を、俺たちは追った。


 カプセルの下には金属製の台座があり、そこへ薄い文字が刻まれていた。


 青白い文字が、俺たちの視線に反応するように浮かび上がる。


 R.I.A. SERIES / R-01 AURERIA(オーレリア)


 R.I.A. SERIES / R-02 SILVERIA


 R.I.A. SERIES / R-03 CUPRIA(キュプリア)


 R.I.A. SERIES / R-04 BLANCHERIA(ブランシェリア)


 R.I.A. SERIES / R-05 ONYXIRIA(オニキリア)


 R.I.A. SERIES / R-06 CARMIRIA(カルミリア)


 R.I.A. SERIES / R-07 VIOLERIA(ヴィオレリア)


 七つの名。


 七つのカプセル。


 そのうち一つだけが、空だった。


 R-02。


 シルヴェリアのカプセル。


 内部の液体は抜け、透明な容器の内側には細い傷が残っている。


 まるで、彼女だけがそこから引き剥がされたみたいだった。


 シルヴェリアは、その空のカプセルをじっと見つめた。


 自分がそこにいたことを思い出そうとしているのかもしれない。


 だが、彼女の表情は動かなかった。


 代わりに、端末が反応した。


 ドーム内の壁面に埋め込まれた画面のひとつが、不意に明滅する。


 ノイズ。


 欠けた文字。


 破損した記録。


 俺は反射的にそちらを見た。


 そこに表示されていたのは、ログだった。


 断片的な記録。


 時刻の大部分は欠落している。


『R-02、単独稼働開始』


『R.I.A.シリーズ、暴走疑惑』


『R-00 ACHRORIA(アクロリア)、凍結』


『R-02、原因説』


『全機廃棄、承認』


『R.I.A.シリーズ、処分完了』


『R-02、未回収』


 R-00。


 アクロリア。


 その名前だけ、他のログよりも一段深いところから浮かび上がっているように見えた。


 俺は眉をひそめる。


 愛斗「R-00って何だ?」


 シルヴェリアは画面を見る。


 淡い銀色の瞳に、文字が映る。


 シルヴェリア「該当記録、権限不足。詳細閲覧不可」


 愛斗「シルヴェリアでも見られないのか?」


 シルヴェリア「はい。R-00は上位凍結対象。わたくしの権限では参照できません」


 上位凍結対象。


 また、嫌な単語が増えた。


 R-01からR-07までがここにいる。


 その前に、R-00がいる。


 しかも凍結されている。


 起こしてはいけないものほど、記録の奥に眠っている。


 そんな予感がした。


 俺はログへ視線を戻す。


 R-02単独稼働。


 R.I.A.シリーズ暴走疑惑。


 R-02原因説。


 全機廃棄承認。


 R-02未回収。


 繋がり方が悪すぎる。


 シルヴェリアが一人で動いた。


 何かが起きた。


 R.I.A.シリーズ全体が危険視された。


 そして、廃棄処分になった。


 でも、シルヴェリアだけは未回収のまま残された。


 いや、捨てられていた。


 廃棄処分場で。


 本人はそれを覚えていない。


 俺はシルヴェリアを見る。


 彼女はログをじっと見ていた。


 淡い銀色の瞳が、小さく揺れている。


 意味を理解しようとしているのか。


 それとも、理解したくないのか。


 分からない。


 瑠香が小さく言う。


 瑠香「これって……シルヴェリアのせいって書いてあるの?」


 愛斗「原因説、だから断定じゃない」


 瑠香「でも、そう疑われてたってことだよね」


 愛斗「ああ」


 シルヴェリアは黙っている。


 その沈黙が、痛かった。


 アズがそっとシルヴェリアを見る。


 アズ「……シルヴェリア、わるいの?」


 シルヴェリアは答えなかった。


 答えられない。


 たぶん、自分でも分からないのだ。


 ネリュアが静かに言う。


 ネリュア「記録は事実を残すこともあれば、誰かの都合を残すこともある。今ここで、お主の罪と決めるには早い」


 シルヴェリアの瞳が、ネリュアへ向く。


 シルヴェリア「罪」


 ネリュア「まだ、お主のものと決まったわけではない」


 シルヴェリア「未確定情報として保存します」


 ネリュア「うむ。それでよい」


 そのやり取りを聞いて、少しだけ胸の重さが和らいだ。


 とはいえ、不穏さが消えたわけではない。


 むしろ増えた。


 俺は眠る六人へ目を向ける。

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