第9話「魔女と街」その四
街の中央広場。
たくさんの人が行き交い、屋台からは美味しそうな匂いが漂っている。
「どれから見ようかな~!」
ラファールが嬉しそうに周囲を見回す。
「フィア、走らないでくださいね」
「わかってるって!」
「本当に~?」
「わかってる!」
リーネはそんな二人を見ながら、苦笑する。
「ふふっ。相変わらず元気ですね」
「そうだね、ルーチカ」
「師匠も、楽しそうです」
「そうかな?」
「はい」
ルーチカが微笑む。
「そういえば、ルーチカは普段、この辺りにも来るんですか?」
シレーナが尋ねる。
「はい。ギルドの仕事が終わったあとに、たまに来ます」
「そうなんですね」
「今日は、みんなで来られてよかったです」
ルーチカが嬉しそうに笑う。
「そうだね」
その時、
「きゃっ!」
広場の近くから、小さな声が聞こえた。
皆がそちらを見ると、一人の子供が転んでいた。
「大丈夫ですか!?」
ルーチカがすぐに駆け寄る。
「うぅ……いたい……」
「どこが痛いですか?」
「膝……」
ルーチカは子供の膝を見る。
「少し擦りむいていますね。大丈夫です。私が治します」
「治す?」
「はい」
ルーチカはしゃがみ込み、膝へ手を当てる。
「……治癒」
淡い光が手から広がっていく。
すると、傷が少しずつ消えていった。
「わぁ……!」
フィアたちが驚く。
「すごいですわ……」
「これがルーチカの修行なんですね」
サントリナも感心したように呟く。
「はい」
ルーチカは子供に笑いかける。
「もう大丈夫ですよ」
「ありがとう、お姉ちゃん!」
子供は笑顔になる。
「どういたしまして」
子供が走っていく。
「今の治癒魔法、きれいだったよ」
リーネが言う。
「本当ですか?」
「うん。昔よりもずっと安定している」
「ありがとうございます!」
ルーチカは嬉しそうに頭を下げる。
「私、もっとたくさんの人を助けられるようになりたいんです」
「そうかい」
リーネは微笑む。
「それが君の選んだ道なんだね」
「はい!」
その言葉を聞いて、シレーナがルーチカを見る。
「素敵ですわ」
「私も、いつか誰かの役に立てるようになりたいです」
サントリナも頷く。
「じゃあ、私も強くならないとな!」
フィアが拳を握る。
「私も~!」
ラファールも元気よく手を上げる。
「みんな、それぞれ目指すものがあるんだね」
リーネがそう言って、弟子たちを見る。
「さぁ、せっかく広場まで来たんだ。屋台を見て回ろうか」
「やった!」
「お菓子~!」
「ふふっ」
「はい♪」
皆で笑いながら、屋台の並ぶ通りへ向かって歩き始める。
ルーチカも、その後を嬉しそうについていった。




