第8話「魔女と街」その三
『ヴォスクレセーニエ・ルーチカ』
種族は小人族の一つ『ノーム』と呼ばれる種族。
彼女の【クラス】は『魔女』の派生型『治癒術師』、神官のような格好をしているのは、それが回復能力を上げるから。
「どうしたんだ? ギルドで冒険者を回復するバイトしてるんだろ?」
フィアが聞く。
「はい、ちょっと急病の人の治癒に向かった帰りに師匠たちが見えて……頑張って追いかけたんです……それで、バイトはもうすぐ終了期間なんです」
ルーチカは答える。
「そうなんですね♪ では、また一緒に暮らしますか?」
シレーナがうきうきで聞く。
「君はどうしたい?」
リーネがそう言う。
「はい、またお世話になるかもです……それで、修行の成果を見せたい、です……私も、成長、したので」
「そうか、それは見るのが楽しみだね」
「はい!」
「ねぇねぇ~! ルーチカ~!」
「はい?」
「何してたか~、後で教えてほしいな~~」
ラファールがそう言う。
「はい! ぜひ」
「そうだ、ルーチカ、今は皆と街を歩き回っているんだ。君は今はここで暮らしているし、なにかオススメなとこはないかな」
「たしかに、オススメな場所があるなら見てみたいですわ」
「ですね」
シレーナとサントリナがルーチカに聞く。
「それでしたら……」
ルーチカは少し考える。
「街の中央にある広場はどうでしょうか?」
「広場?」
フィアが首を傾げる。
「はい。大きな噴水があって、近くには屋台もたくさんあります。今日は人も多いと思いますよ」
「屋台!」
フィアとラファールが同時に反応する。
「お菓子とかもありますか?」
「はい。焼き菓子や果物、それから飲み物もありますよ」
「行こう!」
フィアがすぐに歩き出す。
「フィア、まだルーチカが話している途中だよ」
「あっ、ごめん!」
「ふふっ。フィアは相変わらずですね」
ルーチカが笑う。
「ルーチカも、フィアのことをよく知っているんですね」
サントリナが尋ねる。
「はい。私が師匠のところにいた頃から、フィアさんはいつも元気でしたから」
「そうだったな!」
「昔から変わらないね」
リーネが笑う。
「師匠も変わっていません」
「私が?」
「はい。優しいところも、弟子のことをよく見ているところも」
「そうかな?」
リーネは少し照れたように笑う。
「そうですわ」
シレーナも頷く。
「師匠は昔から、弟子のことを大切にしていたんですね」
「まぁ……弟子だからね」
リーネはそう言いながら、ルーチカを見る。
「でも、ルーチカもずいぶん変わったね」
「そう、ですか?」
「うん。前よりも自信がついたように見えるよ」
「……はい」
ルーチカは嬉しそうに微笑む。
「師匠にそう言ってもらえると、頑張ってきてよかったです」
「それなら、今度は修行の成果を見せてもらおうかな」
「はい! 頑張ります!」
「私も見たい!」
フィアが振り返る。
「ルーチカがどれくらい強くなったのか、気になる!」
「私も~!」
「私も、ぜひ見てみたいですわ」
「そうですね」
弟子たちが次々と声を上げる。
「みなさん……」
ルーチカは少し驚きながらも、嬉しそうに笑った。
「では、広場へ向かいましょう」
「おー!」
ラファールが元気よく飛び上がる。
「ラファール、飛びすぎないようにね」
「は~い!」
リーネたちはルーチカの案内で、街の中央へ向かって歩き始めた。
しばらくすると、道の先から賑やかな声が聞こえてくる。
「なんだか、人が増えてきましたね」
サントリナが周囲を見る。
「はい。広場が近いですから」
そして、道を抜けると――。
「わぁ……!」
目の前には、大きな噴水のある広場が広がっていた。
その周囲には、たくさんの屋台が並んでいる。
「すごいな!」
フィアが目を輝かせる。
「お菓子もありますよ~!」
ラファールも嬉しそうに叫ぶ。
「じゃあ、少し見て回ろうか」
「はい!」
リーネたちは広場へと足を踏み入れた。




