第5話「魔女と弟子」その五
丘の上の家。
そこには魔女と弟子たちが暮らしている。
「久しぶりだな! 師匠と出かけるのは!」
フィアが伸びをしながら言う。
「確かに、最近はお一人で行かれますし」
「まぁ、君たちは修行で忙しいからね」
「師匠とのお出かけも修行になるよぅ~」
「ですね」
「それにしても、サントリナ、荷物運びを任せてもよかったのかな?」
「はい! 問題ありません。これも修行ですし」
サントリナはそう言いながら先に進む。
「あぁ~! サントリナ~! 先行かないで~」
「あいつらも子供だな」
「うふふっ、そうですわね」
「じゃあ、私たちも行こうか」
「「はい!」」
そう言いながら、皆で丘を下り、街の方へと向かう。
「この辺りは魔物がいないな」
フィアは周囲を見ながら、そう言う。
「そうだね。家の周辺の魔物は私が片付けたからね。離れればいるんじゃないかな」
「では♪ その時は師匠に修行の成果を見てもらえますわ」
「そうだね、シレーナ」
「私も、皆さんをお守りしますよ! 防御しか取り柄がないので」
「サントリナ、そうやって自分を弱く見せると、強くなれない。かといって、強く見せても意味がない」
サントリナは目を丸くし、
「では、どうすれば」
そう聞く。
「そうだね、『自然体』、かな」
「はぁ……よくはわかりませんが、わかりました」
「それ、わかってるの~?」
ラファールが飛びながら、サントリナに聞く。
「はい!」
「そういえば、街には修行中の子や卒業した子がいますね。もし会えるのなら嬉しいですわ」
「あぁ、そうだな。先輩たちや後輩や同期たちにも挨拶だな」
「まぁ、会えるかはわからないけどね……あ、もう着くよ」
リーネが前方を指差す。
そこには人族の国の街があった。
「あそこの門で身分や犯罪歴を調べるんでしたっけ?」
「そうだね。だけど、私たちは身分証を持っているから大丈夫だよ」
「そうなんですか?」
「うん。私の弟子だということも登録してあるからね」
「なるほど!」
そう言いながら、列に並ぶ。
「まぁ、騒ぎを起こすつもりもないし、普通にしてればいい」
「はい!」
すると、
ドドドドドドド……
「あら?」
「どうしたんだ? シレーナ」
「今、音が……」
それを聞いてラファールが飛び上がる
「あれ~、あそこの地面、もっこりしてる~~」
ラファールが指差す先は、確かに、もっこりしていた。
「なんでしょう」
「あれは……皆、下がった方がいい」
「え?」
その時――。
ドドドドドドドドドドド!!!
「なに!?」
「なんだ!?」
列に並んでいる人たちが騒ぎ出す。
「!? なにか来る!!」
上空のラファールがそう叫ぶ!
ドン!
ドン!!
ドン!!!
「グモモモモモモモ!!!!」
土が盛り上がり、出てきたのは――
「でっかいモグラですわ」
「ただのモグラじゃなくて、あれは! グランドモール!!」
「グランドモール……モグラのような魔物。鋭い爪で土や獲物を切り裂く。でも……人を積極的に襲うような魔物ではないはずだけど……」
リーネが考え込む。
「師匠!?」
「あ、すまない……ここは私が」
「いや、ここは私たちに任せてくれ」
フィアたちが前に出る。
「……いいのかい?」
「あぁ、修行の成果を見せられるぜ」
「はい♪」
「防御は、任せて」
「頑張るよ~!」
「……わかった。ここは任せるよ。私は、他の者を落ち着かせよう」
「あぁ! 行くぞ!!」
フィアが木剣を構え、グランドモールへと駆け出す。
「せいやぁ!!」
振り下ろされた木剣を、グランドモールが爪で受け止める。
ガキィン!
「くっ……!」
「フィア!」
サントリナがすぐに防御魔法を展開する。
「大丈夫です!」
グランドモールの爪が振り下ろされるが、フィアの前に張られた障壁が受け止める。
「今ですわ!」
シレーナが雷魔法を放つ。
バチィッ!!
「グモォォ!?」
グランドモールが怯んだ隙に、ラファールが上空から飛び込む。
「えーいっ!」
その一撃を受け、グランドモールは地面に転がる。
「グモ……グモモモ……!」
そして、地面を掘り始める。
「逃げるつもりです!」
「逃がすか!」
フィアが追いかけようとする。
「待って!」
リーネが止める。
「もう十分だよ。あれは逃げたいだけみたいだからね」
「……そうか」
グランドモールはそのまま土の中へ潜り、姿を消した。
「ふぅ……」
「無事に終わりましたね♪」
「修行の成果、見てもらえたかな?」
「うん。みんな、よくやったね」
リーネは笑顔で弟子たちを見つめた。
「皆さん……大丈夫でしたか!?」
兵士が息を切らしながら来る。
「あぁ、問題ないよ。弟子たちがやってくれた」
「そうですか……。さすがは、紐操りの魔女様のお弟子様方だ……」
「君はもう戻るといい。人々も落ち着き始めた」
「はい!」
兵士は敬礼をして、元の場所に戻る。
「さぁ、行くよ」
「「「「はい!!」」」」




