第34話「魔女と森の調査」その三
リーネたちはアルベルンの森での異変調査をしていた。魔物を倒しながら、奥へ奥へと進んでいく。
「奥に進むにつれて、魔物が増えてきた気がしますわ」
「ですね。皆さん、さらに注意して進みましょう」
「あぁ! 任せろ」
「お~」
「頼もしくなってきたね」
リーネはそんな弟子たちを見て、小さくそう言った。
「もうすぐ最奥のはずだよ」
「はい」
四人は返事をすると、周囲を警戒しながら歩き始めた。
森の奥へ進むにつれて、木々の間隔は狭くなり、地面には草木が生い茂っていた。
「う~ん……なんだか、さっきよりも空気が重い気がするな」
フィアが周囲を見回しながら言った。
「確かに……魔物の数も増えていますし、何かあるのかもしれませんわね」
シレーナも警戒を強める。
「みんな、気をつけて。何かあったら、すぐに声をかけてね」
「「「「はい!」」」」
リーネの言葉に、四人はそろって返事をした。
さらに進んでいくと、やがて木々が途切れ、少し開けた場所に出た。
「ここが……最奥?」
ラファールが上空から周囲を見渡しながら言った。
「たぶんね。でも……」
リーネは開けた場所の中央へと視線を向けた。
そこには、巨大な黒色の宝石のようなものがあった。
光をほとんど反射しない黒い表面は、不思議な存在感を放っている。
そして、その宝石の前には――。
「……大きい」
サントリナが思わずつぶやいた。
そこには、四人がこれまでに戦ってきた魔物とは比べものにならないほど巨大な、熊にも見える魔物がいた。
魔物は黒色の宝石を守るように、その場から動かずに立っていた。
「な、なんだあれ……?」
フィアが木剣を握り直す。
「……あの魔物がここにいる理由は分かりませんが……」
サントリナは魔物と黒色の宝石を交互に見つめた。
「どうやら、あれが今回の異変に関係しているみたいだね」
リーネは弟子たちの前に立ち、巨大な魔物を見据えた。
「あの宝石は魔石だね」
リーネは冷静に分析する。
「魔石って?」
フィアが質問する。
「魔石とは、高濃度の魔力が詰まった石だよ。本来はダンジョンや洞窟に生えるんだけど……」
「じゃあ、なぜここに?」
「わからない。それに、あの魔物はあの魔石を守っているようにも見える」
「たしかに~」
「あの魔物は、なんなのですわ?」
シレーナが聞く。
「……キラーグリズリーに似ているが……大きさが違うね。もう少し小さい」
「じゃあ、新種か?」
リーネは考える。
「……あの魔石の力で突然変異した可能性があるね」
リーネはさらに分析した。
「突然変異……」
そのとき、リーネが立ち上がった。
「フィア、シレーナ、サントリナ、ラファール、ここで隠れていて。あれは私が対処する」
「え!?」
「一人で、ですか? 師匠なら大丈夫でしょうけど、さすがに心配ですわ」
シレーナが引き止める。
「大丈夫、問題ないよ」
そう言って、リーネは飛び出した!
「グルッ」
変異種の目が開いた。気づかれたようだ。
「変異種、か。戦うのは初めてだけど、やるだけやってみるか」
リーネはそう言い、戦闘態勢に入った。




