第33話「魔女と森の調査」その二
アルベルンの森。
「ーーーーーー!!!!!!」
トラップフラワーが大きな口を開き、リーネたちに襲いかかる。
「みんな、散開して!」
リーネが叫ぶ。
「おう!」
フィアたちはそれぞれ左右に分かれ、トラップフラワーの攻撃を避けた。
直後、トラップフラワーのツルが地面を叩く。
ドンッ!!
「うわっ! なんて力だ!」
「ツルの攻撃にも気をつけてください!」
サントリナが叫ぶ。
「わかってる!」
フィアは木剣を構え、トラップフラワーを睨む。
「でも、どうやって倒すんだ? あの口に近づくのは危険だぞ」
「植物なら、根元を狙うのはどうでしょう?」
シレーナが提案する。
「なるほどね。じゃあ、まずは動きを止めようか」
リーネはそう言い、長袖から紐を伸ばした。
紐は地面を滑るように進み、トラップフラワーのツルへと絡みつく。
「ーーーーーー!?」
トラップフラワーが暴れ、紐を振りほどこうとする。
しかし、リーネの紐はびくともしない。
「今だよ。フィア、シレーナ、根元を狙って!」
「おう!」
「はい!」
フィアは身体強化を発動し、地面を蹴った。
シレーナも雷の魔力をまとい、トラップフラワーへと駆ける。
「はああっ!」
フィアが木剣を振り下ろす。
ドンッ!
トラップフラワーの根元に衝撃が走った。
「そこですわ!」
シレーナは雷をまとった剣で、フィアが攻撃した場所を狙う。
バチバチッ!!
雷撃が植物の身体を駆け抜けた。
「ーーーーーー!!!!」
トラップフラワーが激しく暴れ、残ったツルを二人へと伸ばす。
「危ない!」
サントリナが二人の前に防御魔法を展開する。
バンッ!!
ツルが防御魔法にぶつかり、弾かれた。
「ありがとう!」
「気にしないでください! 今のうちに!」
サントリナは防御魔法を維持しながら、トラップフラワーの動きを観察する。
「根元への攻撃が効いています! もう一度、同じ場所を狙ってください!」
「わかった!」
フィアは再び身体強化を発動する。
しかし、今度は勢いだけに頼らず、身体の力を適切に調整した。
「はあっ!」
木剣が再び根元に叩き込まれる。
その瞬間、トラップフラワーの身体が大きく傾いた。
「今だよ~!」
上空から様子を見ていたラファールが急降下する。
トラップフラワーの頭部を狙い、鋭い蹴りを放った。
ドガッ!!
「ーーーーーー!!」
トラップフラワーが大きく揺れる。
その隙を見逃さず、リーネが紐を引いた。
ギュッ!!
拘束されたツルが引っ張られ、トラップフラワーの動きが止まる。
「よし、最後だね」
リーネが弟子たちを見る。
「みんな、力を合わせて!」
「おう!」
「はい!」
「わかりましたわ!」
「いっくよ~!」
フィアが正面から根元を狙い、シレーナが雷撃を放つ。
サントリナは防御魔法で反撃を防ぎ、ラファールは上空から攻撃を加えた。
四人の攻撃が一か所に集中する。
ドォンッ!!
大きな音が森に響き渡った。
トラップフラワーの身体がぐらりと揺れ、そのまま地面へ倒れ込む。
ドサァッ!!
しばらくして、トラップフラワーは動かなくなった。
「……倒した、のか?」
フィアが木剣を構えたまま尋ねる。
「うん。もう動かないよ」
リーネは紐を使い、トラップフラワーの様子を確かめる。
「危険はなさそうだね。みんな、お疲れさま」
「やった~!」
ラファールが嬉しそうに両手を上げる。
「ふぅ……植物の魔物も、なかなか厄介ですわね」
シレーナが息を吐く。
「でも、根元を狙うっていう考えはよかったな!」
フィアがシレーナを見る。
「ええ。皆さんが協力してくださったおかげですわ」
シレーナは微笑んだ。
「今回は、師匠が動きを止めてくれたから戦いやすかったですね」
「そうだね。けれど、私がいなくても戦えるようにならないとね」
リーネは優しく言った。
「はい!」
弟子たちが元気よく返事をする。
リーネは倒れたトラップフラワーを見下ろす。
「それにしても……この魔物が出てきたということは、やっぱり森の奥に何かいるのかもしれないね」
「強大な何か、ですか?」
「あぁ。普通なら、トラップフラワーがここまで活発に動き回る理由もないからね」
「じゃあ、もっと強い魔物がいるってことか?」
「その可能性はあるね」
リーネは森の奥へと視線を向けた。
木々の隙間から、淡い光が揺れている。
美しい森。しかし、その奥には何かが潜んでいる。
「みんな、引き続き警戒して進もう。何が起きるかわからないからね」
「おう!」
「はい!」
「わかりましたわ!」
「は~い!」
リーネたちは再び歩き始めた。
目的は、アルベルンの森で起きている異変の調査。そして、その原因を突き止めることだった。




