第31話「魔女とアルヴェリア王国【王都】」その三
「よく来た、魔女殿。その弟子の者たちよ。私がアルヴェリア王国・国王『アルヴェリア・レオンハルト』である」
「久しぶり、かな? レオンハルト王」
「師匠、やっぱり知り合いなんだ」
「そうみたいですわ」
「どこで会ったんでしょう」
「ここで、じゃないの~?」
弟子たちが小声でしゃべる。
王は咳払いをした。
弟子たちは黙る。
「うむ。そなたも変わらぬな、リーネ・フィーネル」
「そうかな?」
リーネは首をかしげる。
「相変わらずだな」
「そして、その者たちが、今の弟子か?」
「あぁ、そうだよ。挨拶して」
「あ、リガトゥーラ・フィアだ、です」
「アルトラ・サントリナです」
「マリーナ・シレーナですわ」
「フェーダー・ラファールです~」
「……」
「はっはっはっ! よいよい、元気で良いじゃないか」
「そうかい。それで、私に手紙を持ってきたのは、どうしてかな?」
「うむ、そのことか。いや、もう一度、謝りたいと思ってな。我が家臣が余計なことをした、あの件で」
「……ふふっ、あのとき、謝罪は受けたよ。もういらない」
リーネはそう言い、笑う。
「そうか、魔女殿はそういう人物であったな」
「それで、直接話したいってのは、そのことだけかな?」
「うむ。もうひとつある。そなたに頼みたいことがな」
「やっぱりか」
リーネはため息をつく。
「ただし、無理に頼むつもりはない。そなたの力を借りたいのは事実だが、断るならそれでも構わぬ」
「珍しいね」
「私も、そなたを敵に回すような真似はしたくないのでな」
国王がそう言うと、リーネは少し笑った。
「正直でいい王様だ」
「師匠、何を頼まれるんでしょう?」
シレーナが小声で聞く。
「さぁね」
「そこは聞いておきましょうよ」
「ふふっ」
そのとき、国王の後ろにいた従者が一歩前に出た。
「王よ、そろそろ本題を」
「あぁ、そうだったな」
国王はリーネを見る。
「近頃、我が国の周辺で魔物の動きが活発になっている」
「魔物?」
「うむ。通常なら冒険者たちに任せるところなのだが、今回は少々厄介でな」
「どんな魔物ですか?」
フィアが食いつく。
「フィア、まだ話の途中ですよ」
「ご、ごめん」
「構わぬ。若い者はそれくらい元気な方がよい」
国王は微笑んだ。
「問題は、その魔物の出現場所だ。王都からそれほど遠くない場所に現れている」
「なるほど」
リーネは腕を組む。
「それで、私に討伐してほしいのかい?」
「いや」
国王は首を横に振った。
「そなたに頼みたいのは、討伐ではない」
「では?」
「一度、その場所を見てほしい」
「……調査かい?」
「あぁ」
国王は真剣な表情になる。
「何かがおかしい。魔物が突然増えた理由を知りたいのだ」
「ふむ……」
リーネは少し考える。
「それくらいなら、いいよ」
「本当か!?」
「ただし、弟子たちも連れていくよ」
「もちろん構わぬ」
「やった!」
フィアが嬉しそうに声を上げる。
「まだ危険と決まったわけではないよ」
「わかってるって!」
「ふふっ」
リーネは弟子たちを見る。
「じゃあ、明日にでも行こうか」
「はい!」
4人が元気よく返事をする。
「では、詳しい場所を」
国王がそう言うと、従者が地図を広げた。
その地図には、王都から少し離れた森が記されていた。
「ここが今回の調査場所です」
リーネは地図を見る。
「……この森か」
「何か知っているのか?」
「いや。少し前に、ここで魔物を討伐したことがあるだけさ」
「そうか」
リーネは地図を見つめる。
「それじゃあ、明日は少し調べてみようか」
こうして、リーネたちはアルヴェリア王国の異変を調査することになった。




