第29話「魔女とアルヴェリア王国【王都】」その一
アルヴェリア王国【王都】城壁門前。
リーネたちはアルセリアに入るための行列に並んでいた。
「結構ヒトがいるなぁ」
フィアが行列の先の方を見て言う。
「王都だからでしょうか?」
「そうだね。王都にはいろいろなモノが行き交うからね。それは良いモノも悪いモノも、全てね」
「師匠」
「なにかな」
「王都を見て回りたいです」
サントリナがそう言う。
「そうだね。城に行くのに、時間は決められてないし、見て回るのもいいかもしれないね」
「はい!」
やがて、リーネたちの順番になった。
「身分を証明できるものは?」
門の兵士がそう言った。
「私と、弟子の分だ。よく見てくれ」
そう言い、身分を証明できるものを見せた。
「おぉ! これは! どうぞ! 紐操りの魔女様と御弟子の皆様!」
「あぁ、君もお疲れ」
「いえ、仕事ですので」
「師匠~~、行くよ~」
「おや、弟子が呼んでる」
そう言い、向かう。
アルセリアの内部はとても栄えていて、ヒトも大勢いた。
「師匠! 見てください! いろいろな種族がいますわ!」
「エルフ族もいます」
「人族以外もいるんだな! さすが異種族を認めてる国だ」
「だね~♪」
「それに、あっちはドワーフ族ですわ」
サントリナが指をさす。
「本当だ。いろいろな種族がいるね」
リーネは周囲を見渡す。
「人族だけでなく、エルフ族やドワーフ族、獣人族も普通に歩いているね」
「なんだか不思議な感じですわ」
「そうか?」
「はい。私の知っている町では、ここまでいろいろな種族が一緒に歩いているところは見たことがありませんもの」
「まぁ、この国は多種族が共に暮らすことを掲げているからね」
「へぇ~」
ラファールが周囲を見回す。
「見たことないお店もいっぱいあるよ~!」
「本当だな。食べ物の店も多いぞ!」
「フィア、食べ物ばかり見てませんか?」
「だって、うまそうじゃん」
「ふふっ。せっかくだし、少し見て回ろうか」
「やった~!」
「ありがとうございます、師匠!」
リーネたちは王都の大通りを歩いていく。
道の両側には、たくさんの店が並んでいた。
「ここは何のお店でしょう?」
「看板を見る限り、服を売っているみたいだね」
「お~、いろんな服がある~」
「師匠、あの服、似合いそうですわ」
「私に?」
「はい!」
「私は今の服で十分だよ」
「え~、もったいないよ~」
「ラファールまで……」
リーネは苦笑する。
「それより、あっちに行ってみようぜ!」
フィアが先に走り出す。
「フィア、走ったら危ないですよ!」
「わかってるって!」
「元気だねぇ」
リーネたちはフィアを追いかける。
しばらく歩いていると、大きな広場が見えてきた。
「広いですわ!」
「ここでは何をするんだろう?」
「露店がいっぱいあるよ~!」
「食べ物もありますね」
「おっ、あれ食べてみようぜ!」
「フィア、王都に来てから食べ物ばかりですね」
「いいだろ? せっかく来たんだからな」
「まぁ、いいんじゃないかな」
リーネがそう言うと、フィアは嬉しそうに笑った。
「やった!」
「師匠、甘いですわね」
「そうかな?」
「そうですよ~」
「ふふっ」
しばらく王都を見て回り、弟子たちは様々な店や建物を眺めていた。
「王都って、すごいんだな」
「はい。とても賑やかですわ」
「いろんな種族がいて、お店もいっぱいあって楽しいね~」
「そうだね」
リーネも王都の景色を眺める。
「さて、そろそろ城へ向かおうか」
「そうですね」
「……あれ?」
フィアが立ち止まる。
「どうしたの?」
「師匠、あれ見てくれ!」
フィアが指をさす。
そこには、大きな看板が掲げられていた。
「武具屋……?」
「武具屋ですわ!」
「お~、武器がいっぱいありそう~!」
「師匠!」
フィアがリーネを見る。
「……どうしたんだい?」
「さっき言ってたよな。そろそろ、自分の相棒を見つけてもいいって」
「そうだね」
「なら……」
フィアは武具屋を見つめる。
「入ってみよう!」
「私も見てみたいですわ!」
「じゃあ、少しだけ寄っていこうか」
「やった!」
リーネたちは武具屋へ向かって歩き出した。
その武具屋は何の装飾もなく簡素だった。
「……失礼するよ」
そう言い、入っていく。
すると、テクテクと誰かが来た。
「あ! お客さん!! まってて、お父さん呼んでくる~」
そう言い、戻っていった。
「今の女の子、小人族でしょうか」
「いや、ドワーフだよ」
「え!? ドワーフ族って女性いるの!?」
「もちろんさ」
「初耳ですわ」
「でも、全然見ないよ~?」
「それもそうさ。ドワーフ族の女性は生まれにくいからね。見ないのも当然だよ」
「そうなんだ」
足音が聞こえてくる。
「お客人、待たせたな」
すると、ドワーフの男が現れた。
「店主、かな。武器を見ていってもいいかな」
「好きにしてくれ」
「ありがと」
それを聞き、弟子たちはバラバラに武具を見に行った。
「それよりお前さん、相当な魔法の使い手だな?」
「ほう? わかるのかい?」
「長年鍛冶師やっとると、武器やヒトの強さもわかってくるわ」
「それはすごい」
「弟子もなかなかのエネルギーを秘めておる。ありゃ、化けるぞ」
「それはどうも」
「お父さん、このヒトスゴイの?」
先ほどの女の子だ。
「ん? あぁ、こいつはワシの娘だ。そそっかしいが、とても頼りになるぞ」
「うん、とてもいい力を感じる。いい鍛冶師になるね」
「ありがと! お姉さん! 私、頑張る!」
「あぁ、がんばれ」
リーネは弟子たちを見る。
「子供の成長は素晴らしい。店主はどう思う?」
「ワシか? まぁ、わからんでもない。そういえば、弟子を連れてきたということは武器を見せに来たのか? 真剣は危険だぞ?」
「わかっている。武器というものがどんなものか、実際に見てもらったほうがいいと考えたんだ」
「そうか。見に来ただけか。まぁ、未来の英雄にでも会った思いだ。だから、別に冷やかしでも構わん」
「冷やかしではないけど、まぁ、いつかは武器を与えるつもりさ」
そう言い、弟子たちをまた見る。
「なぁなぁ! これすごくない?」
「たしかに、装飾が細かいですわ!」
「どれも、丁寧に手入れされてる」
「お~~」
「ふふっ、そろそろ、向かうよ」
「は~い!」
「それじゃ、いつかまた来るよ」
「あぁ、そのときは買ってくれよ」
「もちろんさ」
「お姉ちゃんたち~、バイバーイ」
「あぁ」
リーネは手を振り返し、去っていった。
次の目的地は王城だ。




