第28話「魔女と国」その三
丘の上の家にて。
玄関の前でリーネたちが話していた。
「師匠、王都まで、どうやって行くんですか?」
準備を終えた弟子たちが聞いてきた。
「う~ん………飛んで行くかな」
そう言い、リーネは空を指さす。
「飛んで、ですか?」
「でも、どうやってだ?」
「見てればわかるよ」
リーネはそう言い、長袖から紐を出した。
その紐が何かに形作られる。
「椅子? ですわね。見たことない形ですが」
その不思議な形の椅子にリーネは座る。
「あぁ、これに座って、ラファールは自分で飛んでいくかい?」
「ソレも~面白そうだけど、やっぱり自分で羽ばたくよ。ハーピーだし」
「そう、わかった。じゃあ、フィア、シレーナ、サントリナ、座って?」
「は、はい」
弟子たちはリーネの両隣に座る。
「じゃあ、行くよ」
リーネはそう言い、紐に魔力を込めた。
すると、紐椅子の両側の手すりのような場所から紐が天に伸び、それが回転した。
そして――。
ファア、と浮かび始めた。
「うわっ!? 飛んでる!?」
「すごいです! さすが師匠!!」
「どういう仕組みなんでしょう」
弟子たちがそれぞれの感想を述べる。
「紐の硬さと形を整えれば、飛べるよ」
リーネは簡単に言う。
「いや! 普通できないよ!?」
「でも、師匠ならやりかねませんわ」
「うんうん」
二人は納得した。
「師匠すご~い!」
ラファールも自分で飛んでついてくる。
「もう、いいや」
「たまにはあきらめも肝心だよ」
そして、その不思議なプロペラ椅子は、アルヴェリア王国の王都【アルセリア】に向かって飛び進む。
「結構高いところまで行くんだな」
「雲に届きそうですわ」
「さすがにヒトを乗せたまま、雲の高さまではいかないよ」
「行けるってこと~?」
「まぁ、一人なら」
「すご~い!」
「落ちそうです」
「ちゃんと捕まっててね。まぁ、落ちないように君たちを縛ってるけど」
「落ちたら終わりだな」
「ですわね~」
「平気そうだな」
「師匠ですもの。もう、驚きませんわ」
「まぁ、たしかに」
しばらく飛んで、
「そういえば、王都、どんなところでしょう」
サントリナがそう言う。
「とても栄えていそうですわ」
「師匠の卒業生がいたりしてな」
「たしかに~、ありそ~」
「卒業した弟子の居場所はすべてはわからないけど、いたら嬉しいね」
「なぁ! 師匠! そろそろ真剣を持ちたいんだ、ダメか?」
「私もですわ!」
「………刃物は危険だ。扱いを間違えれば赤く染まる。だけど、そろそろ自分の相棒を見つけるのもいいかもね」
リーネがそう言う。
「っ! ほんとか!?」
「もちろん、嘘はつかない」
「自分の相棒、ですわね。とても慎重にならなくてはいけませんね」
「そうなのか?」
「そうですわ! フィア、相棒とは、共に戦う友! 自分の力量に見合わない相棒では、大怪我をしますわよ!」
「わ、わかったよ、シレーナ、近い……」
シレーナの顔がフィアに近づく。
「あ、ごめんなさい、つい」
シレーナは慌ててもとに戻る。
「ふふっ、そろそろ、王都だよ。降りるから、しっかり捕まってて」
「おう!」
「あれが、王都」
「おっきい壁ですわ……」
「お~~、おっきい~~~」
「足、つくよ」
ゆっくり下降し、足がつき、椅子を降りる。
「ついた~!」
フィアたちは伸びをする。
「じゃあ、向かおうか」
そう言い、進み出す。
王都に向かって。




