第27話「魔女と国」その二
丘の上の家にて。
リーネは、なぜあの手紙が届いたのかを話し始めた。
「手紙が来る理由はね、私が国にとって重大な存在だからだよ」
「重大な存在?」
「あぁ、私は世間では世界最強らしくてね。その力を求め、この国からもほかの国からも招待の手紙が来るんだ」
「この国だけじゃなかったのか!?」
「あぁ、私としてはそっとしておいてほしいが、国からしたら無視できないらしい」
リーネは紅茶を一口、飲む。
「確かに師匠はお強いですわ。でも、そこまでとは知りませんでしたわ」
「まぁ、教えるほどのことでもないけどね」
「でもでも~、なんで無視できるの~?」
ラファールが首をかしげる。
「私に手を出せば、国が滅びると分かっているから、だよ」
リーネはそう言っているが、目が笑っていない。
「国のトップの手紙を無視できるほどなんですね」
「それと、この国の国王は取り込もうなんて考えていないよ」
「え!?」
「じゃあ、なんで無視を?」
「この国に私を取り込もうとしているのは国王の家臣たちだ。国というのはめんどくさくてね。そういった輩もいるんだよ」
「でも、行くだけならいいんじゃ」
フィアが言う。
「それもそうだが、いちいち行くのが面倒だ」
リーネはそう言ってのける。
「師匠らしい……」
「ですね♪」
「それに、私が迂闊にその国の王に会いに行けば、他国からしたら、恐怖でしかない」
「それもそうですわね」
「………それでも、会いに行った方がいいと、私は思うな」
「フィア、それは」
「だって、この国の王は他種族を認め、共に歩もうとする国なんだろ? だったら、私は挨拶くらい、言ってもいいと思うな」
「そうですね。それに私たちもついてますし」
サントリナが胸を張る。
「…………はぁ……わかったよ。行くよ」
「やった~!」
「君たちも来るなら、国王と王族以外に耳を貸すな。あれは自分のためならなんだってする」
「わ、わかった」
「何かあったんでしょうか」
サントリナが小声で聞く。
「さぁ、わかりませんわ」
「でも、あの感じ、あったっぽいね」
「あぁ」
「………どうしたんだい? 隠し事?」
「い、いえ、師匠! 作戦会議です!」
「そうかい? じゃ、久しぶりにアレを出すか」
そう言い、リーネは倉庫の方に向かった。
「?」
リーネは丘の上の家の倉庫に移動した。
ガラガラガラと扉を開ける。
「うわぁ、ホコリだらけだね。さて、たしか、あっちに」
そう言い、奥の方に進む。
「師匠~? 何探してるんです?」
フィアたちが気になったのか、覗いてきた。
「お、あった」
そう言い、リーネは水晶玉のようなモノを持ってきた。
「師匠、これは」
「伝書の魔法の組み込まれた魔法球だよ。これを使って、王に連絡を取る」
そう言い、家に向かう。
魔法球を机に置き、リーネは魔力を注入した。
「師匠って、紐を操る魔法しか使えないんじゃ」
「魔法球は魔法を使わず、魔力そのものを流して使うのですわ。だから、魔法が使えなくても魔力さえあればいいのですわ」
シレーナが説明する。
「そうなんですね」
すると、魔法球に光がついた。
「聞こえるかな? こちら、リーネ・フィーネル『紐操りの魔女』だよ」
「こ、これは!? 国王! 国王~!!」
慌ただしい声が響いた。
しばらくして。
「待たせたな、リーネ・フィーネル殿。私はアルヴェリア国王『アルヴェリア・レオンハルト』である」
「うん、繋がっているね。早速だが、国王。明日、会いに行くから、その了承を得に来たよ」
「なんと、それは真か」
「もちろん、嘘はつかない……それと、弟子たちも4人、連れて行くがいいかな」
「もちろんですとも。ぜひ、お連れください」
「王がそんなんでは少々威厳がないよ」
「あなたに牙を向けば滅びることは承知している。それに、それ相応の人物であるから、丁重に扱うのだ。民のためにも、国のためにも、な」
「………ふふっ、良い王様だね。じゃ、準備があるからそろそろ」
「あぁ、連絡ご苦労であった」
そう言い、魔法球の光が消えた。
「ふぅ………じゃ、準備するよ」
リーネがそう言い、弟子たちを見る。
「はい!!」
弟子たちは元気よく返事をした。
その頃。
アルヴェリア王国【王都】アルセリアの王城にて。
「王よ、本当に来るのでしょうか」
国王の従者が不安そうに言う。
「ふん、来るに決まっておろう。あやつが嘘をついたことはない」
「王は会ったことが?」
「あぁ、一度だけな。そのときはバカな家臣どものせいで怒りを買い、危うく国が滅びかけたがな」
「あの、事件ですね」
「あぁ、王城にいる者どもに言っておけ。手を出すな、と」
「はっ!」
従者は敬礼をし、出ていった。
「さて、どうしたものか」




