第26話「魔女と国」その一
翌日の丘の上の家にて。
朝イチに扉を叩く音がして、リーネは目を覚ます。
「なんだね、こんな朝早くから」
そう言い、扉を開ける。
そこには兵士がいた。
「おはようございます。魔女殿」
そう言い、兵士は手紙を渡す。
「またかい、君も大変だね。『返すつもりのない手紙』をわざわざ持ってくるんだから」
「まぁ、これも仕事ですから」
と、兵士は笑った。
「では、王にはそう伝えておきます」
そう言い、去っていった。
「さて……見ているんだろう?」
「ッ!?」
リーネがそう言うと、角から弟子たちの声が聞こえた。
「あの~、師匠、さっきの兵士さんは? それに手紙って、なんですの?」
シレーナが聞いてきた。
「ただの王からの手紙だよ」
一つ間が空き、
「王!?」
弟子たちは驚きを隠せなかった。
「王って、国王か!?」
「そうだよ、フィア」
「そんな方がなぜ?」
「それに、『返すつもりのない手紙』ってなんですの?」
「気になる~」
「それもそうだが、王の手紙を無視したら死罪になるぞ!?」
弟子たちがあたふたしている。
「問題ないさ。一国ごときが私に敵うはず、ないからね」
さらっと言うが、目が笑っていない。
「………」
弟子たちは黙る。
師匠ならしかねないと分かっているから。
「でも、さすがに無視は……なんて書いてあるんだ?」
フィアがリーネの持つ手紙を覗き込む。
「見るかい? どうせ捨てるから、別にもらっていいよ」
リーネがそう言い、手紙を渡す。
「………そういえば、ローブ着てない師匠、初めて見た」
リーネは今、キャミソールしか着ていない!
「なんだい? 私の身体は貧相に見えるかい? 確かに君たちに比べ小さいが……」
そう言い、リーネは自分の身体を見る。
「い、いや、そうじゃなくて」
「そう? じゃあ、私はもう少し寝る」
そう言い、寝室に向かう。
「あの姿の師匠もかわいいですわ~」
「おもちゃみたい~!」
「それ、ほめてます?」
「そんなことより、手紙、読んでみようぜ」
そう言い、手紙を広げる。
手紙にはこう書かれていた。
『リーネ・フィーネル殿
突然の手紙を失礼する。
一度、そなたと直接話をしたい。都合がよければ、王城まで来てもらいたい。
アルヴェリア国王【アルヴェリア・レオンハルト】』
と、書かれていた。
「こ、国王からの招待状!?」
フィアが大声を上げる。
「フィア、声が大きいですわ。お気持ちは分かりますが、師匠は寝ています」
「あ、すまん」
「ねぇねぇ、アルヴェリアってどんな国~? 国ってな~に~?」
ラファールが疑問に思う。
「では! 私が説明しましょう!」
【国とは】
『一定の領土と住民を持ち、独立した主権を備えた政治的な組織や社会のことです』
「そして、この国を知るには大陸からお話しましょう」
『この国のある、大陸を【ルーンリア大陸】と言います』
『多種族を認め、共に歩もうとするこの南東にある国【アルヴェリア王国】』
『中央に三日月状の国土を持つ、多種族を奴隷として扱う、支配国家。レグナード帝国』
『最北にある、雪国の国々が集まってできた、ノルディア北方連邦』
『ノルディア北方連邦の下に位置する、山脈のドワーフ族の国。グランディア山岳王国』
『レグナード帝国の下に位置する、エルフ族やダークエルフ族の国。エルフェリア森林国』
『アルヴェリア王国と海で繋がっている、島々からなり、獣人族の一種『魚人族』の治める国。サルディナ海王国』
『レグナード帝国の下の部分に国境を接する、獣人族の国。フェルミナ獣王国』
『そのお隣の、王政を廃止し、他種族・他国家の商人たちが行き交う、リベルタ共和国』
『そして、最南の魔王領【ヴォルディアス皇国】』
「こんなところですね」
「いっぱいあるんだね~」
ラファールが感心する。
「いつか皆さんで旅行する時、役に立ちそうですわ♪」
「だな………って! そうじゃなくて! この手紙をなぜ師匠に?」
「それは、師匠に聞いてみるしかないかと」
「だよな~」
「でも、師匠、寝ちゃったよ」
………
「起きるまで待つか」
「ですね」
そう言い、数分後。
「みんな、おは」
「あの手紙! なに!!」
みんなが詰め寄る。
「まぁまぁ、落ち着いて……」
「師匠! 私たちは落ち着いていますわ!」
「真実を知りたいだけ~」
「………わかったよ。教えるから座って」
そう言い、座る。
リーネは話し始めた。




