第25話「魔女と地龍ご飯」その二
丘の上の家にて。
「解体は任せてもらっていいかな」
リーネがそう言う。
「あぁ、師匠に任せるぜ」
「……お願い……」
「うん、じゃあ、やるよ」
そう言い、リーネは長袖から紐を取り出し、その紐をほどく。
そして、その先端を尖らせ、地龍をたやすく解体した。
「すごいっ……」
「あんなに硬かった地龍をいとも簡単に解体するなんて、さすが師匠ですわ!」
「はい!」
「お~~」
みんな見惚れていた。
「それにしても、血一つ出ねぇとは、上手いな」
「……うん……すごい……」
その解体は、まるで愛する者を愛でるように滑らかで、しっかりとしていた。
「よし、終わったよ。残りの素材はアルベールたちが持っていくといい」
「「「「お~~」」」」
「いいのか?」
「あぁ、私たちは冒険者じゃないし、必要ないからね」
「……わかった……もらっておく……」
「よし! さっそく料理しよう」
「任せてください!」
「私もお手伝いしますわ」
「やるよ~!」
「元気だな~」
「それがいい……」
「そうだね、見ていてとてもいいものだよ。さ、早く運ぼう。腐ってしまうよ」
「は~い!」
そう言い、みんなで肉とかその他諸々を家に入れた。
「料理は私たちに任せてください! 完璧に作ってみせますわ」
そうシレーナが言い、フィア、シレーナ、サントリナ、ラファールの4人は料理場に向かった。
その間、リーネはアルベールたちと話すことにした。
「最近の調子はどうだい?」
「なんだ? 師匠、気になるか」
「卒業した弟子の道には介入しないけど、どの道を歩んだかは気になるさ。師匠としてね」
「……最初……は……大変だった……」
「そうだな~。低ランクの魔物は余裕だったが、高ランクには手こずったな」
「うん……」
「だが、勝てたんだろう?」
「あぁ! それはもちろん」
「それは良かった」
リーネは紅茶を飲み、
「初めて達成したことで、嬉しかったことはないかな」
「嬉しかったことか……」
「青兄……アレしかない……」
「だな」
「アレ、とは?」
リーネは?マークを浮かべる。
「帝龍の撃破だろ」
「ほう、帝龍……。結構な高ランクで、Zランクに昇格しかけた、あの?」
「あぁ! ヨマの死属性もあって、手こずったが、何とか勝てた」
「……アレは……いい思い出……」
「それは、見てみたかったね」
「あぁ、見てもらいたかったぜ」
「うん……」
「君たちなら古龍も倒せそうだね」
「さすがに、Zランクはまだ無理だな」
「……もっと強くならないと……」
「そうかい? 私の弟子が一人、卒業した後、古龍を一人で倒してアダマンタイト級冒険者になったと聞いたよ」
「アダマンタイト級だと!?」
「……すごい……」
「まぁ、聞いただけだ。本当かどうかはわからないが、それだとしたら嬉しいね」
「ま、師匠にはたくさんの弟子がいるから、不思議じゃねぇな」
「うん……」
すると、
「できましたわ~」
「お! できたか」
シレーナたちが料理の入ったお皿を机に置く。
「おぉ……地龍ステーキ……。美味しそう」
「美味そうにできてるじゃねぇか」
「ありがとうございますわ」
「さ、早く食べよう」
「だね~」
「はい! ぜひ食べてほしいです。もちろんみんなで!」
「もちろん。さぁ、みんな座ろう」
そうリーネが言い、みんな席につく。
「「「「「「いただきます!」」」」」」
パクっと一口。
「うまっ!」
「はい! とってもおいしいですわ!」
「確かにコリコリしてる」
「なんで、コリコリしてるの~?」
「地龍はね、土や岩石を一緒に食べ、その土の中で岩石や鉱物を噛み砕いて食べるかららしいよ」
「へ~、なんか不思議だな」
「そうかい? 鳥系の魔物はよく岩を飲み込み、胃の中のモノをすりつぶすが、似たようなものだろう」
「そうかな」
「まぁ、そんなことどうでもいいじゃねぇか」
「……そう……今は食べるべき……」
「そうですわね」
「そうだね、食事中は喋らないのがマナーだったね」
そう言い、みんな黙ってご飯を食べ、完食した。
「うまかったぁ」
「フィア、食事後に寝転がると太りますよ」
「え~」
「みんな満足しているようだ」
「だな!」
「あ、そろそろギルドに行かないと」
「もう帰るのですか?」
シレーナが言う。
「あぁ、報告もあるしな」
「え~~、さみしい~~」
「まぁ、そういうなって、ラファール。また来るし、そっちから会いに来ればいい」
「そうだね、また会おう」
「おう!」
「また……」
そう言い、アルベールとヨマリは出ていった。
「また会える日を楽しみにしているよ」
リーネは小さくそう言った。
その目には涙が見えた。




