↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紐操りの魔女と弟子たち  作者: れんP


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/32

第2話「魔女と弟子」その二


ここは、とある国のとある丘の上の家。


そこには『紐操りの魔女【リーネ・フィーネル】』と弟子たちが暮らしていました。


バシィッ! バシィッ!


と、ぶつかり合う音が響く。


「ふむ……もう少し早くしてもいいかな」


リーネ・フィーネルは、今日も弟子たちを稽古していた。


白いローブの長い袖に隠してある紐をほどき、何本ものムチのように変え、弟子に猛烈な攻撃を浴びせる。


弟子の少女は木剣で対応する。


「っ! くぅ!!」


バシィッン!!


「わぁっ!? ッ!」


木剣が弾かれ、紐が刃のようになって弟子の首元に刺さる。


「参りました」


「あぁ、良い動きだったよ。君はもう少し動きに無駄を作りすぎないように。そうすれば、スタミナも持つだろう」


「師匠が強すぎるんだよ!」


「はは」


彼女は『リガトゥーラ・フィア』。


赤いリボンに白髪の、人族の元気で少し男っぽい口調の少女だ。


【クラス】は『騎士《ナイト》』で、『騎士』は無属性魔法の派生型「強化魔法」が得意。


「そろそろ休憩にしようか」


フィーネルは紐を袖にしまいながら言う。


「はい!」


「良い返事……そういえば、みんなは?」


「皆さんは森に魔物を狩りに行くとか」


フィアが羨ましそうに語る。


「君も行きたかったのかな? フィア」


「い、いえ! この時間に稽古をつけてほしいって、言ったのは、私なんだから!!」


「そうかい。行きたいように見えたが」


「ぐぬぬ、どうして師匠はなんでも見透かしてくるんですか!」


「そうだね、勘、かな?」


「なんですかそれ~」


フィアが背中をポカポカしてくる。


「あはは、君はかわいいな~」


「師匠~~!」


そんな声が外にも聞こえていた。


「師匠たち、楽しそ~~」


「えぇ、ほんとね~」


「そうは聞こえませんよ……」


複数の影が巨大な獣を持っている。


「まぁいいか、師匠~~! 戻りました~~!!」


そう、少女は叫ぶ。


「おや、戻ってきたみたいだ」


そう言い、フィアとフィーネルは外に出る。


「おぉ、大物だね、シレーナ、ラファール、サントリナ」


「はい! 大物でした!」


杖を持った紫髪の彼女は『アルトラ・サントリナ』。


とても責任感の強いエルフ族の女の子で、【クラス】は『魔女《ウィッチ》』。


無属性魔法の派生型の防御系が得意。


「戻りましたわ」


白い服と長い黒髪の少女は『マリーナ・シレーナ』。


お上品で礼儀正しい人族の女の子。


【クラス】は、とても珍しい『魔法騎士《ウィッチナイト》』。


これは二つの才能がある、ということ。


得意属性は六つあるうちの一つ、雷属性が得意。


「褒めて褒めて~~!」


この空を飛んでいる薄い緑色の髪の少女は『フェーダー・ラファール』。


獣人系のハーピー族の女の子で、【クラス】は『騎士』の派生型『武闘家《ファイター》』である。


「これは、ジャイアントボアか」


フィアが3人の仕留めた獲物を見ながら言う。


ジャイアントボア……高ランクの冒険者でも手こずる魔物のはず……。


いやはや、すごいね。


「このままだと、家に入らないし、解体するか」


「まぁ♪ 解体ショーですの?」


「わ~~い! すごく見たい!!」


「師匠、私も見てみたいです」


「私もだ」


4人の目が輝く。


「わかってるよ」


そう言うと、私はジャイアントボアの前にしゃがみ込む。


「それじゃあ、始めようか」


「はい!」


「楽しみですわ♪」


「わ~~い!」


弟子たちは私の周りに集まる。


「まずは、このままだと大きすぎるから、解体しやすいようにする」


そう言って、私は袖から一本の紐を取り出す。


「師匠、それ一本でやるんですか?」


フィアが不思議そうに聞いてくる。


「うん」


私は紐をジャイアントボアの身体に巻きつける。


そして――


シュルッ!


紐が一気に動き、ジャイアントボアの身体を持ち上げた。


「わぁ!?」


「まぁ……」


「すごいですわ!」


「紐って便利だね~!」


「そうかな?」


私は紐を操りながら、ジャイアントボアをゆっくりと地面に寝かせる。


「まずは皮を剥いで……」


紐の先端を細くすると、まるで刃物のように変化させる。


「こうする」


スッ……。


「おぉ……」


弟子たちが真剣な顔で見つめる。


「師匠、紐でそんなことまでできるんですね」


「長く使っていると、いろいろできるようになるよ」


「私も紐を使ってみたいな!」


「フィアは騎士なんだから、まずは自分の魔法をしっかり使えるようにならないとね」


「うぅ……」


フィアが少し落ち込む。


「でも、フィアも前よりずっと強くなっているよ」


「本当か!?」


「うん」


「やった!」


フィアが嬉しそうに笑う。


「師匠、私たちももっと頑張ります!」


サントリナが真剣な表情で言う。


「そうだね。みんな、それぞれ自分の得意なことがあるんだから、それを伸ばしていけばいい」


私はそう言いながら、解体を続ける。


しばらくして――。


「よし、これで終わり」


「おぉ~~!」


「すごいですわ……」


「こんなにきれいになるんだ~」


「師匠、やっぱりすごいです!」


弟子たちがそれぞれ声を上げる。


「これだけあれば、しばらく食料にも困らないね」


「今日はお肉か!?」


フィアが目を輝かせる。


「もちろん」


「やったぁ!」


「ふふ、フィアは食べることが好きだね」


「だって、おいしいからな!」


「それもそうだね」


私は笑いながら、解体した肉を見つめる。


こうして今日も、丘の上の家には弟子たちの声が響いていた。


一人で暮らしていた頃には、考えもしなかった毎日。


「師匠、今日のお肉は私が焼きます!」


サントリナが手を上げる。


「じゃあ、お願いしようかな」


「任せてください!」


弟子たちと過ごす、にぎやかな日常。


それもまた、私にとって大切な時間だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。