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第5話「ライバル同士で橋づくり」

オープニングテーマ「WONDER VOYAGE」

https://youtu.be/Bs0_T5g4GqI

 朝の勝負は、まいの声で始まった。


「そこ。あたしが先に見つけた場所なんだけど」


 京介は目を開けた。休憩所の屋根の端から、薄桃色の空が覗く。勝負するには早すぎた。


 しかし、耳元では何かがじゅうじゅう鳴っている。


 京介は跳ね起きた。


「魚か!」


「場所の話をしてるのよ!」


 まいの指先が、京介の寝袋の下を指していた。そこだけ地面が一段高く、夜露を吸っていない。昨夜は荷物が置いてあったはずだが、寝返りを繰り返すうちに、京介が占領してしまったらしい。


 その脇でシェリルが小鍋を見つめていた。じゅうじゅう鳴っていたものは、魚ではなく、湯をこぼした石だった。


「おはようございます。お湯、もう少しで沸きます」


「魚じゃないのか……」


「朝の挨拶より先に魚を要求しないで」


 まいは寝袋を引っ張った。京介が片膝を上げた瞬間、くるりと布が巻かれ、座っていた場所がなくなる。


「おわっ」


「あんた、起きたなら場所を空けてよね」


 柱にもたれていたマリアが、両手で持つ木の杯から顔を上げた。


「起きた第一声は魚だった。記録は正確に」


「記録しなくていいところだ!」


 大会二日目の朝である。ガッポリーノの財宝までは遠そうだが、京介の知られたくない記録は順調にたまっていた。


 休憩所の反対側で、サキトが革帽子をかぶった。縁に走る青い糸が朝の光を拾う。ハリナは既に荷を背負い、柱に貼られた渡し場の案内と、掌に収まる図面を交互に見ていた。


「もう行くのか」


 京介が声をかけると、サキトは短い焦げ茶の髪を帽子の中へ押し込んだ。


「川の橋を、荷車が来る前に渡る」


「朝飯は?」


「食べた。俺たちが起きたとき、京介はまだ場所取りをしてたからな」


 まいが吹き出した。京介は寝袋を丸める手を速めたが、結び紐を一度余計に巻いてしまった。


 ハリナは灰緑の目を上げた。


「市場に詳しいなら、北の床の形を聞きたい。紙に描ける?」


「宝の場所なら、自分で探すんだろ」


「道の話。分からないなら、向こうで測る」


 言い返す間に、二人は柱の向こうへ歩き出した。迷わず同じ方へ曲がる背中を、京介は見送った。


 ほかの参加者も起き出している。そばかすのある青年は、腰より長い巻き図を柱に巻きつけそうになりながら、苦労して畳んでいた。京介はそちらを手伝いかけ、鍋から立つ湯気を見て、座り直した。


 京介も水筒を持ち上げた。昨夜いっぱいにした水を朝の鍋へ分けたので、少し軽くなっている。栓を締め直す間に、青い糸の帽子は道の向こうへ消えた。


「北へ出る前に、補給だな」


「そこは賛成。水筒が軽いのって、あんまりうれしくないし」


 まいが自分の袋を揺らす。ポニーテールの毛先が、朝日の中で栗の皮のように光った。


 京介はベルトポーチの地形図を開いた。四隅に昨日の折り癖がある。北の休憩所から先は、小さな川を越え、古い市場跡を通って、断崖の手前の台地へ続く。地元の子供が走り回れる範囲は、この先で終わる。


「川のところに大会の給水係が出る。午前のうちに渡れば、市場跡でひと休みできるはずだ」


「ずいぶん親切じゃない。あたしを遠回りさせる気?」


「本当の道を教えて、先に着く。そっちの方が格好いいだろ」


「あたしには、何も教えないで先に着くっていう、もっと格好いい方法があるわ」


 まいが扇子を開いた。朝の風は十分涼しいのに、余裕を見せるための風をわざわざ追加している。


「じゃ、市場跡で先に宝を見つけた方が勝ち!」


「いいわよ。あんたの地元で、あたしが勝つ」


「あの、朝ごはんは食べてから出発しませんか」


 シェリルが鍋を持ち上げた。昨日の夕方、係に分けてもらった麦と干し野菜が、湯の中で踊っている。二人は同時に鍋へ顔を向けた。


 シェリルは四つの杯へ麦の汁を分けた。まくった薄青い袖の先で、手はもう震えていなかった。


 まいは杯を受け取ると、膝の上の布を整えた。匙を持つ指がすっと伸び、食べる前に自然と背筋が立つ。


 京介の視線に気付いて、彼女は布を雑に丸めた。だが匙まで握り直すには一瞬遅く、そのきれいな持ち方だけが残った。


「何よ」


「いや。さっきまで地面の取り合いしてた相手と、違う人みたいだと思って」


「食べてるところまで見張らないで。領土は返してもらったし」


「土地だったのか、あれ」


 汁を一口飲むと、野菜の甘さが舌に広がった。京介は黙って二口目を飲んだ。


 マリアは麦粒を匙に二つ並べ、少し考えてから食べた。


 食べ終えても、マリアは杯の底を匙でなぞっていた。


「もう一杯あっても、よかった」


 マリアは空の杯をしばらく手放さなかった。もう一杯はない。京介は鍋の底まで覗いてから、自分の分を先に飲み切ったことを、少しだけ惜しく思った。


 まいが立ち上がった。


「では、ごちそうさま。先に行かせてもらうわ」


「待て! 出発も同時だろ!」


「そんな条件、つけてない」


     *


 休憩所を出る道は、少し先で二つに分かれていた。


 左は背の高い木の下を抜ける細道。右は荷車も通れる、ゆるやかな土の道だ。


 まいは迷わず左へ向かった。


「市場までなら、古い道の方が短いのよね」


「短いのはな。でも今は根っこが張ってる。荷を背負って歩くなら、右の方が早い」


「あたし、荷を背負って遺跡を歩くのは初めてじゃないから」


「オレもこの島を歩くのは初めてじゃないよ」


「それで昨日、まきびしを踏んだんだ」


「道の上に勝手に増えた地形は別だ!」


 二人の間をマリアが歩いていった。立ち止まり、右の道を見て、左を見た。


「シェリルは、どちらへ行くの」


「わたしは……本に古い渡し場の絵があるので、見られたらと思っていたんです。でも、道を知っているわけではなくて」


「渡し場なら右だ」


 京介は指さした。


「細道は川の上で合流する。昔の荷を下ろした場所は下の方だから、右からの方が見やすい」


 まいが一瞬だけシェリルの本を見た。シェリルはその視線に気付いて、両腕で本を抱き直す。


 シェリルの腕に隠れた頁には、青い線が見えた。京介が横へ動くと、本も同じだけ傾いた。覗くつもりだったとは言いたくなくて、彼は地図を畳む音を大きくした。


「じゃあ、わたしは京介と行く」


 マリアが言った。


「地図を見ながら歩けるから?」


「違う。朝から魚を食べたい人は、昼に魚を見つける気がする」


「すごい信用のされ方だな」


「わたしは、まいさんとご一緒してもいいでしょうか」


 シェリルがおずおずと尋ねた。


 まいは扇子を閉じた。


「細道だって言ってるわよ」


「はい。古い道がどんなふうにできているのか、見たいんです。渡し場へは、川沿いに少し戻ればよさそうですし」


「……遅れても、あたしは戻らないわよ」


 言ってから、まいはシェリルの長い裾を見た。少女は布を少したくし上げ、細い足首を出している。


「歩けます」


「力を使えば、って意味じゃなくて」


「使わなくても、です」


 いつもより早い返事に、まいの口が止まった。


 シェリルが教本を荷の奥へ収めた。


 まいは、閉じた扇子で左の道を指す。


「じゃ、そこから。最初の根、裏側が高いから」


「はい」


 まいは早速、道の脇へ身を寄せた。シェリルが根をまたいでから、自分が歩きだす。


 追いつけるか試すように、まいは三歩だけ速く歩いた。シェリルがついていくと、四歩目からは元の速さになった。京介はその背へ何か言おうとし、やめた。


「市場で会おうぜ」


「そのころには、宝はあたしの袋の中よ」


 高いポニーテールと亜麻色の長い髪が、緑の葉の間に消えた。


 京介は右の道へ歩きだした。マリアが半歩後ろをついてくる。彼女の深緑の上衣は木陰に溶けそうだが、銀灰の髪が木漏れ日を受けるたび、そこにいることが分かった。


「足、痛くないか」


「歩ける」


「どの辺だ。踵か?」


「踵。昨日より紐をゆるめた」


「なら、この坂はゆっくり行くか」


 京介は歩幅を少し小さくした。


 道の片側には古い石の水路が残り、水の代わりに落ち葉がたまっていた。マリアはそこを見て尋ねた。


「川は、いまも同じところを流れている?」


「大きくはな。水が増えるとこっちにも流れたらしい。市場が使われてたころは、川から小舟で品物を運んでたんだ」


「水の道があった」


「ああ。今の道の方が新しい」


「先に行ってもいい」


 マリアは、京介の歩幅を見ていた。


「サキトたちを、追いたいでしょう」


「川まで一緒だって言ったろ」


「言っていない。一緒に行くと決めたのは、わたし」


 京介は開いた口を閉じた。並んで歩く靴音が二つ、乾いた水路に響いた。


「……川で離されても、取り戻す」


「うん」


「そこは、取り戻せると思う、って言うところだぞ」


「それはまだ見ていない」


 困った相手だ。京介が大げさに肩を落とすと、マリアの口元が動いた。笑ったのかと思ったが、彼女はもう先の木立を見ていた。


 少し先で、湿った土のにおいが強くなった。


 木々の間に空が開ける。流れの音が聞こえた。京介は足を速め、すぐ思い直してマリアを振り返った。


「川だ。あそこまで行ったら、ひと休みな」


「魚は?」


「まず水だ!」


 京介は水筒の栓を締め直し、木立の向こうの白い旗へ顔を向けた。


     *


 川は、昨日までに想像していたより幅があった。


 対岸に大会の白い旗が立っている。給水の大樽と、ひさしのある小屋。そこまで行けば水が手に入る。


 こちら側にあるはずの簡易橋は、途中で高く持ち上げられていた。


「通行止め?」


 マリアが首を傾ける。


 橋のたもとには、幅の広い板を抱えた大会係がいた。見たところ、板の張り替えをしているらしい。川の中央に二本の太い支柱があり、その手前の床板が抜けていた。別の係が、細い仮板に膝をついて留め具を外している。


「朝の点検で緩みが出たんだ。少し待ってくれ」


「少しって、どのくらいだ?」


「川上から足りない板を運んで、それから張り替えだ。昼までには開けるよ」


「昼!」


 京介の声が川面を走った。


 マリアは日の高さを見た。まだ木の頂より、わずかに高いくらいだ。


「昼の魚には、間に合う」


「魚から一回離れろって! オレたち先を急ぐんだ。上の飛び石は?」


「荷を背負った参加者にはすすめない。石の間が増水で見えなくなった」


 大会係は怒りもしないで、上流を指した。


 岸の草が川の中で寝ていた。川上から流れてきた枝が、見覚えのある飛び石へぶつかって一瞬立ち、次の瞬間には吸い込まれるように消えた。


 京介は、地図に書き込んだ小さな点の列を親指で隠した。


「青い糸の帽子、二人。もう来た?」


「ああ、最初の資材が着く前に渡ったよ。板が浮くって、あの娘が知らせてくれた。それで一度止めてみたら、下の留め具が傷んでいてね」


「……もう、向こうか」


 対岸の小屋の脇で、青い帽子の縁が光った。ハリナが短い測り縄を袋へ戻し、サキトに何か言っている。二人がこちらを向いた。


「京介!」


 サキトの声が水を越えた。


「昼までだってな。市場で会おう!」


 待つ、とは言わなかった。京介が返事をする前に、二人の背は給水小屋の裏へ回った。


 水の音だけが大きくなった。


「分かった。その板、どこから運ぶんだ?」


「手伝ってくれるのか?」


「その方が早いんだろ」


 大会係は京介の顔を見た。それからブーツと、背中の荷を見て、頷いた。


「板をここまで運ぶだけなら。水の上の作業は、こっちでやる」


 京介は荷物を木陰に置いた。


 マリアがその横に腰を下ろし、二人分の荷を膝の間に寄せた。


「見張っている」


「頼む。誰かが触ったら、大声出せよ」


「朝の魚くらい?」


「……いい基準にされたな、オレ」


 京介は川上の資材置き場へ向かった。


 板は見た目より重く、乾いていない木の香りがした。端を一人で持ち上げると、反対側が地面をこする。肩に担ぐには長すぎる。


 そこで、反対側がすっと上がった。


「持ち上げる前に、行き先を言って」


 まいがいた。


「おまえ、細道は」


「橋がないのは、こっちからも見えたのよ。飛び石を使おうとしたけど、シェリルが止めたの」


 彼女の後ろでシェリルが両手をもじもじさせた。


「まいさんは、渡れるかもしれませんでした。わたしが……」


「水が根元を隠してたのよ。あたしだって途中までしか見えてない」


 まいは板の端を抱え直した。爪の間に、黒い土が入っている。京介がそれを見ると、彼女は指を板の裏へ隠した。


「上流まで登って、戻って、それで板運び。今日はよく歩くわ」


 最後の一言は、誰に向けたものでもないように聞こえた。シェリルは拾った小枝を両手で握った。


 京介は板を持つ手に力を入れた。


「サキトたち、渡ったぞ」


「見たわよ」


「朝飯の前に出てたからな」


「いま、それを言って何か早くなる?」


 京介は板を少し高く持った。後ろからまいの息が聞こえる。歩調を合わせるには、振り返らなければならなかった。


 京介が前、まいが後ろ。曲がり角では京介が声をかけ、まいが木にぶつからないよう板の端を持ち替える。シェリルは先へ出て、道に転がる枝をどけた。


「右を上げるぞ」


「上げすぎ。後ろが枝に当たる」


「じゃ、ちょっと下げる」


「それ、ちょっとじゃない」


「おまえのちょっと、細かいな!」


「板を振り回してる人よりは細かいわよ!」


 曲がり角で板の後端が幹に当たり、重さが京介の腕へ一度にかかった。彼は踏ん張った。まいも足を止めたまま、押される板を胸で支えている。


「急に引かないで!」


「引いてない。後ろが止まったから――」


「止まったら、あんたも止まって!」


 木の皮がはがれ、甘く青臭い汁のにおいが立った。


 京介は息を吐き、板を下ろした。肩の辺りが熱い。まいは何も言わず、次の曲がり角まで歩いてから、戻ってきた。


「後ろを上げる。あんたは今の高さで持ってて」


「……分かった」


 二度目は、板の先が幹をかわした。川へ出るまで、二人とも必要な方向しか口にしなかった。


 次の板を運ぶ途中、シェリルが小さく口を開いた。


「わたし、力を使えば、もう少し……」


 京介は板越しに彼女を見た。


「わたしなら、二枚を一度に運べます」


 シェリルは二人を見ず、積んである板へ歩み寄った。薄青い袖口から出た指が、木の縁へかかる。


「待って」


 まいが言った。


「あの仮板、そんな重さで歩いたら折れるわよ」


 少女の肩が跳ねた。


「そこまでは、運びません」


「分かってるならいいけど」


 まいはそこで言葉を切った。シェリルの腕が、そっとローブの内側へ戻る。京介は昨日も見たその仕草に気付き、自分の持った板を一度下ろした。


「シェリル。オレたちと、こっちを持たないか」


「普通に、ですか」


「ああ。端が長くて、さっき木にぶつけた」


 シェリルは頷いたが、顔は上がらなかった。中央へ添えられた手のおかげで板は揺れなくなった。それでも京介は、自分の誘い方が何か足りなかった気がして、口を開きかけた。


「文字が、あります」


 先に言ったのはシェリルだった。


 板を係へ渡した彼女が、橋のたもとの横木の下へしゃがむ。京介もその隣へ腰を落とした。


 シェリルの顔が上がった。


 橋のたもとの古い石には、丸くなった文字が刻まれていた。泥を払うと、波のような線と短い印が出てくる。


「今の渡し場より、ずっと古いものですね。『荷を……』。ここが欠けています。最後は、『降ろして待て』だと思います」


「昔から待たせる川だったわけだ」


 まいが笑う。


 京介は石の脇を見た。小舟をつないだ鉄の輪が、地面近くに残っている。輪の位置を見れば、水位はさらに高かったらしい。


「せっかちなやつ向けの看板だったんだな」


 言った京介へ、まいとマリアがそろって顔を向けた。


「……ほら、運ぶぞ!」


 最後の板を運ぶころには、木陰が資材の山から外れていた。シャツが背中に張りつき、作業を終えるたびに水筒へ手が伸びた。大会係が対岸から運んできた水を分けてくれたが、杯に口をつける間も京介は市場へ上る道を見ていた。


 橋を直す槌の音が川に響く。サキトたちなら、もう市場の北側まで歩ける時間だった。


 修理が済むまで、四人は木陰で待った。シェリルが本を開き、古い渡し場の絵と目の前の石を見比べる。まいは何かを取り出しかけ、京介が覗くと、指の中へすばやく隠した。


 銅色の丸いものだった。昨日も見た、波の刻印の銅貨だろう。


「見るなとは言ってないわ。でも、ただで見せるとも言ってない」


「オレはまだ何も言ってないぞ」


「顔が言ってた」


「じゃ、顔の方に払ってくれ」


 マリアは二人の間で、橋を見つめていた。


「古い絵は、反対を向いている」


 シェリルが本を持ち上げる。


「そうなんです。この輪が同じだとすると、絵では水路が右にあるはずで。でも、実際は左にあります」


「裏から描いたんじゃないか?」


 京介が言った。


「文字は表から読めます。それに、この点の並びも同じです。裏からなら、逆になるはずです」


「昔の人、絵が下手だったとか」


「この絵のために、昨日も三頁戻って読んだんです。下手なだけだとは、思いたくありません」


 言ってから、シェリルは唇を結んだ。京介は本へ目を戻した。読めない文字の横に、細い字でいくつも印が添えられている。


「……そっか。ごめん」


「いえ。分からないところは、たくさんあるんです」


 彼女は本を閉じず、指で同じ点を押さえていた。


「描いた人に聞けたらいいのにな。化けて出てくれないかな」


「化けて出たら道を聞ける」


 マリアが言った。


「前向きすぎないか、それ」


 橋が開いたという声がした。


 四人は荷を背負い直した。京介が先に渡り、中央で下流を見た。木の影が落ちた水の中を、銀の筋が一つ走る。


 もう一つ。さらに一つ。


 京介の足が止まった。


 まいが後ろから押した。


「川の真ん中で何してんのよ」


「魚だ」


「知ってるわよ、泳ぐんだから!」


「違う。あいつら、岸の浅いところに寄ってる。増水で流される虫を待ってんだ」


 京介は振り返った。その茶色の目は、財宝の話をするときより、いくらか具体的に輝いていた。


「昼飯、決まったぞ」


エンディングテーマ「ただいまの地図」

https://youtu.be/laoWeE9esnY

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