第7話 宝石の国リュガルド
里のみんなと別れて、少し歩くとマカグレンが立っていた。
「お、来たねぇ。お別れは済んだかい」
「もちろんです」
言葉は短かったが、フェイルの清々しい表情から、悔いのない別れ方が出来たのは明らかだった。
「実は、もう次の任務が決まっていてね。二日後くらいには出発したいんだけど、体はどうだい?」
フェイルの体は止血のためとはいえ、包帯がいくつも巻かれていた。傍から見れば重症だ。
「まあ痛みはありますけど、問題なく動けますよ」
切り傷はいつもより治りが早かった。傷跡は残っているが、動いても傷口が開く事は殆ど無いだろう。
「そっか。じゃあ無理しない程度でがんばろうか」
アジトに戻ると人はほとんど出払っていて、残っていた人は僅かだった。明日出発するとのことで、今日も療養する日になった。フェイルは自身の部屋に入り、剣の手入れなどをして過ごした。
次の日、アジトの入り口に行くとマカグレンとアカリが待っていた。
「遅いわよ。まあ、前よりはマシになったかしら。足手まといにならないようにしてよ」
ジロジロと値踏みをするようにフェイルを見る。
「あはは、じゃあ任務中に修行の成果を見せてもらおうかねぇ。よし、出発しようか」
外に出ると、馬車が止まっていた。
「よろしく頼むよぉ姉御」
マカグレンが馬車の御者に向かって話しかける。
御者は被ったフードを、さらに深く被り、顔を隠しながら軽く手を振る。小柄な体で、長い黒髪だけがフードから露出して見える。
「彼女はここの団員ですか?」
「そうだよお〜。あまり人と話さないタイプなんだけど、馬術の腕はすごいんだ。俺はここに入って10年くらいだけど、入った時にはもう彼女は居たなぁ。」
「...そうね。結構謎に包まれてるけど、みんなに信頼されてるわ」
荷台に乗り込むと、馬車はすぐに動き出した。
「さてと、じゃあ今回の任務について話そうか」
マカグレンは地図や手配書のような物などを床に広げる。
「目的地は宝石の国リュガルド。その名の通り宝石類が特産品の国だ。そしてとある宝石を盗むのが今回の任務」
そして、目的の宝石が描かれた紙を指差す。
「これなんだけど、王女が他の国から奪ってきたものらしくてね。それを取り返して、持ち主に返したら任務完了」
描かれた宝石は赤く輝いていて、絵でも伝わるほど、特異な気配を漂わせていた。
「で、どこにあるんですか?」
「大層大事にしているらしいから、王女の部屋か、はたまた金庫室か。場所が場所だけに普通なら警備は固いだろうけど、ほら、今の時期はお祭りだからね」
「宝石祭、ですか」
フェイルが王国にいた頃、親族総出でリュガルドで行われる宝石祭に行ったことがある。
その年に採れた選りすぐりの宝石を展示、そして販売するお祭りだ。期間は長く一か月ほど続いていただろうか。
「そうそう。普段よりは警備がまばらになるだろうから、そこを狙う」
アカリを見ると、なぜかニンマリしていた。
「隊長。もちろん今回も、お土産持って帰っていいんですよね?」
「いいよ〜。でもあんまり大事そうなのはダメよ〜」
「やった!」
アカリはガッツポーズをした。
「お土産って、なんだ?そのままの意味じゃないんだろ」
「そうよ。お土産ってのはね、任務の時に他の物もついでにお持ち帰りしてくることよ。例えば宝石とか、宝石とか!」
アカリの頭の中では任務の宝石よりも、お土産で持ち帰る宝石の事で頭がいっぱいらしい。
「ウチの団員は衣食住は困らないけど、給料とかは無いからね。好きに使うお金が欲しかったら、自分で稼ぐってのが方針。だからフェイルもいいもの見つけたら持っていきな〜」
「いや俺は別に欲しいものなんてないんで」
さすがは盗賊。任務以外の所でもきちんと「盗み」をしているらしかった。だが盗む物はちゃんと選んでそうなのは少し安心したフェイルだった。
「警備が1番手薄になるのは、セレモニーの時かな〜。城の大ホールでその年で最も優れた宝石商人を決めるの。審査員兼、観客としてそこには王族が全員いるし、他の国の重鎮も来るから、そこが1番警備固くなる。だから逆に他の部分は手薄になるね」
「宝石が部屋にあるならいいんですけど、もし持ち歩いてたらどうしますか?」
「いい質問だね、アカリちゃん。そうなるとちょっと難しくなるけど、その時はまた考えようか。今は部屋に置きっぱなしってのを願おう」
そして1日ほど経過して、リュガルド王国の近くに着いた。華やかな街並み、装飾された大きな城が見える。国の周りは堀で囲まれており、南北東西にある四つの橋から入国することになる。
「アンタ、包帯まみれは怪しいから取った方がいいわよ。もうだいぶ傷治ったでしょ」
確認してみると、傷跡は少しあるものの殆ど治っていた。包帯は全て取ることにした。
その後、持ってきた荷物を全て下ろし、馬車から降りた。
「じゃ、ありがとね姉御。またあとで〜」
マカグレンがそういうと、彼女はそそくさと行ってしまった。
「あの、彼女帰っちゃったら、俺たちはどうやって帰るんですか?」
「それは心配ないわ。彼女とは近くの村で合流することになってる。大体今から1週間後ね。そこから1週間は村で待っててくれるんだけど、その間に私たちから連絡もなく合流出来なかったら、捕まったか死んだって事にして彼女はアジトに戻る」
「そうそう。だから、ちゃちゃっと終わらせちゃうよ〜」
任務の始まりは王国に入るところから始まる。入口では検問が行われており、入国許可証が無ければ入ることはできない。だが3人には偽造された許可証が用意されており、それを使うと簡単に入国することが出来た。
外側から見た通り、街並みはとても華やかで活気もある。気品のある人々が行き交っている。
街の大通りでは出店が並んでおり、外からの客の殆どはここに集まっているだろう。
「あの、俺たちこんなに堂々と街を歩いてていいんですか?」
「大丈夫だよ〜。むしろコソコソしてた方が怪しいでしょ。俺たち別に顔割れてないし...」
そう言いかけた瞬間、マカグレンに建物の影へと引っ張られた。
「ごめん!フェイルは顔割れてる可能性あるな!うっかりしてた〜」
マカグレンは手を合わせて謝罪する。
「まーいいんじゃないですか?コイツ、何年も引きこもってた訳だし。私たちくらいの年齢なら数年あれば顔つきも変わるでしょ。それに、万が一似てると思われても他人の空似だって思うでしょ。誘拐されたのにこんな所歩いてる訳ないし」
「それもそっか!フェイル自身は、このまま歩いてて大丈夫?」
「はい。別に知り合いなんて居ないですし、ここに来たのも7歳とかそのくらいの時なんで」
顔バレのリスクについて、アカリは元々分かっていたのだろう。だからこそ、こんなに早く返答し理論を広げられる。
「...何よ?私の顔になんか付いてるわけ?」
「いや、何でもない」
感心してアカリを見ていたが、すぐに気取られてしまった。
「それじゃ、先に宿屋いこうか〜」
フェイル達は、大通りを歩きながら宿屋へと向かった。着いたのは高級でも、寂れてもない。至って普通の宿屋だった。
「すみませ〜ん、部屋空いてますか?」
マカグレンが受付をしている間、玄関でアカリと待っていた。
「宿屋代って、自分で払うのか?」
「いや、そういうの含めて隊長がお金持ってるから心配しなくていいわよ」
「よかった。俺お金一銭たりとも持ってないから」
「なら今回の任務で稼げばいいじゃない。ここまでお土産向きな場所は他にないわよ」
「まあ、気が向いたらな」
「フン、つまんない男」
「お〜い、部屋取れたよ〜!3階の部屋〜」
3階に上がると、フェイルとアカリに部屋の鍵が渡された。アカリは1人で1部屋、フェイルとマカグレンは2人で1部屋だ。
部屋に入りしばらくすると、アカリが部屋にやってきた。
「で、ここからはどうします?」
「そうだねぇ。セレモニーは3日後の12時からだから、それまでに手分けして偵察と情報集めしようか。とりあえずアカリは偵察で城の警備とか調べてきて」
「了解」
「俺とフェイルは街で情報集め。とは言っても、盗みに必要な情報はアカリ1人で十分集まるとは思うけど...」
「まあ私は1人の方が楽なんで、その辺散策でもして待っててください。明日の朝までには戻ります」
アカリは立ち上がり、すぐに出ていってしまった。
「なんか怒ってませんか?」
「そう?いつもあんな感じだよ。じゃあ俺たちも外に出ようか」
アカリ1人に行かせたのは、フェイルが潜入に不向きだと判断してなのだろうかと感じたが、フェイルはあえて聞かなかった。
外に出ると、また大通りに戻ってきた。
マカグレンは出店で2人分の食べ物を買っては座って食べ、また買ってと繰り返していた。
「あの、隊長。これは情報収集なんですか?」
「うん。これはただの食べ歩き」
「え?」
それだと2人はただ祭りを楽しんでいただけになるが、アカリが知ったら憤慨するのではないだろうか。
「本番はこれからだよ〜。ほら、日が落ちてきたから、そこ入るよ」
マカグレンが指さしたのは酒場だった。
「情報ってのはね、気が抜けたタイミングで口から出やすいんだよ。例えば酒が入った時とかね」
暖簾をくぐり酒場に入る。酒場といえど、さすがは宝石の国。内装も綺麗で重厚な雰囲気が感じられる。
「二名様ですね。空いてる席どうぞ」
まだ大通りを歩く人が多く、酒場は比較的空いていて席は選び放題だった。マカグレンは奥の席を選んだ。
「あと数十分くらいしたら、人がどんどん集まると思うよ。それまでは美味しいものでも食べて待とう〜」
「どんだけ食べるんですか!」
ツッコミを入れつつ、フェイルはお腹がこれ以上無いほど満腹だったので、飲み物だけ注文した。
待つこと数十分、酒場に人が多くなってきた。
「というか、なぜこんな奥の席なんですか?盗み聞きするなら、中央の周りに人が多いところのほうがいいんじゃ...」
「人が少ない場所の方が、気が緩みやすいんだよ。よりプライベートな空間に近いっていうのかな。あ、ほら来たよ」
高貴な衣服を纏った3人の女性が、近くの席に座った。
「彼女らが、今回の任務に必要な情報を持ってるんですか?」
「どうだろうね。正直言って、俺たちは動く必要ないからさ〜。何もしないのもアカリに悪いじゃない?だから、こうやって張り込んで、何かいい情報ないかなーって賭けてるだけなんだよ〜」
マカグレンが笑いながら言う。きっと裏表なく、本当のことなんだろう。
「ねぇ、今回のセレモニーいつもと違うんでしょう?」
ここで、隣の婦人から気になる話が切り出された。
「高位の出席者がそれぞれ自慢の宝石を持ち寄って、披露するらしいわよ」
マカグレンは冷や汗をかく
「うーん、もしそこに目当ての宝石が運ばれてしまったら盗むのは困難だね」
その後、夜中になるまでに複数の話を盗み聞きした。
・国王や王女などの貴族は、世間にあまり好かれていないこと。特に宝石職人からは嫌われていること
・名のある職人と貴族は揉めたことがあること
・奴隷をよく購入し、使役していること
・今回のセレモニーは特殊なため、いつもより多くの人が集まっていること
使える情報があるかは分からないが、知っておいて損はないだろう。
客もほとんど居なくなり、閉店も近くなったため宿屋に戻った。
その後、朝日が昇る頃にアカリも部屋に戻ってきた。
「あら、お祭りは楽しめたかしら?」
どうせ大した事はしてないんでしょ、と言わんばかりの態度でフェイルに話しかける。
「うん。ありがとうね〜。明日はアカリがいってきな」
思わぬ人からの返答を受け、アカリは姿勢を正す。
「...結論から言うと、盗むのはだいぶ難しいかもしれないですね」
「やっぱりそうだよねぇ。聞いた話だと今回のセレモニーは特別だから人も多いみたいだし」
「あ、そうなんですか?そのせいだと思いますけど、警備が固くて城に入るのも一苦労でしたよ」
アカリは自身で書いたであろう城の見取り図を広げて見せる。
「各部屋の場所は把握できて、城に入るルートも確保できました。ただ、警備が多すぎて王女の部屋の中とか重要な場所は調べられてません」
そして、城に侵入した時のことを語り出した。
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時はアカリが宿屋を離れたところまで遡る。
街の中央に王族の住む大きな城が建てられている。周りは塀で囲まれ、出入り口となる門は一つ。もちろん兵士が検問している。
「すみませーん、観光で来たんですけど、お城の中って入れますか?すごく素敵な外観だなって思って!」
アカリは純朴な少女を装って兵士に話しかける。
「ごめんね、王族以外立ち入り禁止なんだ。セレモニーの日は関係者なら入れるんだけど...」
「そうですかー。わかりました!」
頭を下げて、早々にその場を離れる。
一般解放されていないなら、侵入する他ないようだ。
「まあこのくらいなら登れるわね」
塀の大きさを確認しつつ、日が落ちてくるまで待った。
暗くなり人影が見づらくなってきた。
「よし、そろそろいい頃ね」
アカリは手袋や、マスクなどをして体の覆える部分を隠した。
そして、最も人の気配がない箇所の塀を登り、中庭へと侵入した。中庭はあまり警備はされていない様子で、兵士は全くいなかった。
「さて、どこから入ろうかな...」
正面入り口から入るのは無謀なので、他のルートから侵入を試みる。
上の階の窓が開いているのは、塀を登った時に確認済みだ。
「ふぅ」
アカリは足に魔力を込めた。そして跳躍する。
すると、まるで追い風が彼女の動きを後押ししているかの様に、体は大きく跳び、2階の窓へと届いた。
「よっと」
窓の端を掴み、内側を覗く。ここは廊下の窓で、近くには誰もいない様だった。
中へと転がり込み、辺りを確認する。部屋の扉がいくつもあるが、恐らく客室か従業者の部屋だろう。
1番近くの扉に耳をつける。中には誰もいない様だった。
「お邪魔しまーす」
素早く部屋に入る。こじんまりとした部屋だ。クローゼットとベッド、机があるだけ。壁にはシフト表が貼ってあることから、従業員の部屋だと断定していいだろう。
「よし、ビンゴね」
アカリはクローゼットを開き、城から支給されたであろう制服を取り出す。
「ちょっと借りるわよ」
自分の着ていた服を袋にしまい、制服に着替えた。
そして、袋を持って部屋を出る。
「この袋どこかに置いておきたいわね」
辺りを見渡し、窓付近の小さな花瓶が置かれた棚が目に入った。棚には扉がついていて、中に物を入れられる。扉の開閉部を指でなぞると、埃が指先についた。
「うん、この場所は使われてないようね。あまり掃除もしてないみたい」
この場所なら袋の存在がバレることはないと判断し、棚の中に袋を隠した。
「じゃあ探索といきますか」
制服を着ているとはいえ、城の人々からすれば見ない顔だ。あまり顔を見られるのは得策ではない。探索中、兵士とすれ違う時はなるべく顔を合わせないようにし、会釈程度で通り過ぎた。
ある程度城全体を周り、全体の見取り図は頭に入った。
「あとは宝石の場所だけど、怪しいのは王女の部屋か金庫よね。けど、さすがに部屋の近くは兵士が警備してる。特に大事な部屋は2人体制。入るのは無理ね」
恐らく、夜まで待っても兵士は居なくならないだろう。従業員のシフトを見れば、24時間体制で働いていることが分かった。兵士も交代しながら、24時間見張っていることが推測できる。
現在時刻は20時ごろ。王族は恐らく自室の中だろう。
「王女が宝石を身につけているかも、確認しておきたいわね...」
アカリは近くの兵士達に近づいた。
「あ、あの...」
「む?何用だ」
「先ほど、王子殿下が王女様を探しておいででしたので、お伝えさせていただきたく...」
ここの王族の家族構成は把握済みだ。作り話に利用させてもらおう。
「分かった。我々が伝えておく」
兵士の1人が、王女の部屋の前に向かった。
「よし、これで王女が出てきてくれれば...」
「王女様!お時間宜しいでしょうか!王子が探しておいでだとの情報がありましたが...」
しばらくすると、ギィと扉が開き王女が姿を現した。
「お、ラッキー」
アカリは片目を瞑った。そして、開いている片手に魔力を集中させる。
こうすると、視力が上がり、離れたところからでも細部を見通すことができる。
王女の指先には宝石のリングが着けられ、イヤリングにも綺麗な宝石がついている。
「宝石だらけじゃん。見た感じ、お目当ての宝石は身に付けてないわね」
扉が開いている今、部屋の中もチラ見したいが、流石に近づきすぎるのは怪しまれるから無理だろう。
兵士が王女と話したのち、こちらへ戻ってきた。
「今は忙しいそうだ。明日にしてくれ、と伝えてくれるか」
「分かりました。ありがとうございます」
そして、アカリはその場を離れた。
「今回はこんな所かしら」
再び、先ほどの従業員の部屋に戻った。幸い、まだ部屋には誰も戻っていない様子だったので、着替えて窓から脱出した。
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「てな感じですね。まあ、あの王女の感じからすると、お気に入りの宝石は自分で管理して眺めるタイプだと思うんで、部屋にあると思っていいかもですね」
「と、すると部屋の中にどう侵入するかだねぇ〜」
「ちょっとまってくれ」
「なによフェイル」
「アカリの実力なら、兵士倒して、そのまま部屋に入って盗んでくること出来たんじゃないか?」
「バカね。あんまり騒ぎにしたくないのよ。それにむやみに人を傷つける訳にはいかないでしょ」
「俺の時は傷つけられまくったけど...」
「うっさいわね。アンタの時はいいの!」
「はは。仲良いねぇ2人とも。ただ、騒ぎにしたくないっていうのは正しいね。身バレのリスクも上がるし、事件が広がれば、他の国でも警戒が強まる。そしたら他の任務にも影響が及ぶだろ?」
騒ぎを起こさず侵入不可の警備が固い部屋に侵入する方法なんて存在するのだろうか。
「そもそも、目当ての宝石がセレモニーに出される確証はないんですよね?」
「無いね。高確率で出てくるだろうけど。ただ内部情報は中々入手出来ないからねぇ。ましてやセレモニー関連は要人しか知らない可能性があるから、その辺の下っ端から聞き出すのも難しいだろう」
「セレモニー後を狙うのはダメなんですか?警備は固くなるかもですが、場所は特定できるだろうし...」
アカリは日付をずらす提案をした。、
「うーん、それも無理かなぁ。そもそもこの任務、来週までに宝石を依頼主に届けないといけないからさ。もしこれで警備ガチガチにされて力ずくで盗めなくなったら困るんだよねぇ〜」
数分、全員が沈黙し時が流れた。
マカグレンは目を瞑りながら顎をさすり、アカリは頭を掻いている。
宝石の正確な場所は分からないし、1番怪しい王女の部屋に入ることもできない。探すのも難しいし時間もない。つまり、自ら探し当てるのは困難ということだ。なら、宝石自ら出てきてもらうしかない。フェイルは口を開き、沈黙を破った。
「あ、あの」
「ん、なんだい?フェイル」
「身バレリスクがない騒ぎなら、起こしてもいいんですか?」
「人道を外れない範囲なら、それでもいいよ〜」
「じゃあ、こんな作戦はどうでしょうか」
フェイルは2人に思いついた作戦を伝える。




