表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】大天使の初恋を、妖精王が台無しにする物語。 〜永遠の恋人は、まだ恋人未満〜  作者: 久茉莉himari


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/15

【13】 0.00052秒の抱擁。〜苺の香りと崩れる10段〜

その刹那――

ルシアンが大天使の戦士の眼になり、その恩寵でシャンパンタワーは固定された。


その間、0.00052秒。


アンジュは全く気づかず、シャンパンタワーを見て、青い瞳をキラキラさせている。


「素晴らしいな!

この飲み物のタワーは何だ?」


ルシアンが跪いたまま、真面目に答える。


「これは……アルコールを積み上げているようですね。

意味は分かりかねますが、妖精王の趣味では?」


シャンパンタワーの裏側で、妖精王がニパッと笑う。


「ヤバッ☆

俺の趣味ってバレてる☆☆☆

つか、アンジュちゃんで扉を開かせなかったのも正解ー♪

もう、俺、ヤバくね?」


そしてルチアーノは――

もう、NASA監修の超小型録画機器を作動させていた。


――シャンパンタワーは崩れなくとも、この尊い光景は見逃せない!!

ルシアンとアンジュちゃんがシャンパンタワーの前に……リリカルッ!!


その時だった。


アンジュが軽やかに一歩踏み出した。


「このアルコール……苺の香りがするぞ?」


そして、ルシアンが立ち上がると同時に、目の前のシャンパングラスをスッと引き抜いた。


「アンジュさま……!」


ルシアンの叫び。


崩れ落ちるシャンパンタワー。


ジャパンの平成のイケてる音楽。


ミラーボールの輝き。


ルシアンはアンジュを咄嗟に抱き寄せ、頭上から振り注ぐシャンパングラスからアンジュを庇う。


アンジュはルシアンの腕の中で、びっしょり濡れたまま、にっこり笑った。


「ルシアンよ!

お前から苺の香りがするぞ!」


ルシアンは全てのグラスが落ちたのを確認すると、アンジュから腕を解き、そっぽを向いてぼそっと答える。


「……アンジュさまのせいです……」


アンジュが満面の笑みになる。


「そうであった!」


その言葉に、無表情のルシアンがフッと笑った。


――小さな幸福に包まれて――


そうして二人は笑い合う。


びしょ濡れのまま。


ルシアンは、アンジュを抱き寄せた瞬間に分かっていた。


イレイナがアンジュの身体に『身体を保つまじない』を掛けていることに。


それでも、アンジュを離すことは出来なかったのだ。

どうしても。




一方、その裏側では――


何もしていない妖精王も、はしゃいでいた。


「俺たち、グッショーブ☆☆☆

プラスチックのグラス、大・大・大正解♪」


ルチアーノは真剣に録画をしながら答える。


「……確かに!」


――この尊すぎる、リリカル過ぎる映像を、人生で何度も見返す決意を抱いて。


そしてイギリスでは。


イレイナも水晶玉に、一秒残らず録画していた。




先に会場にいるはずのリオとアーチーボルトもおらず、妖精王もルチアーノも、ロクシーすら現れないので、ルシアンはアンジュを促し、外に出た。


それから、アンジュを恩寵を使って一瞬で乾かした。


そしてルシアンは「皆の様子を見て参ります」とアンジュに告げると、自分の寝室に直行した。


そして、びしょ濡れで苺の香りのするタキシードを脱ぎ、恩寵は使わず、そのままビニール袋に丁寧に仕舞う。


そうして恩寵で自分を乾かし、ルチアーノが用意していた別の白いタキシードに着替えた。




それからルシアンがリビングに行くと――

アンジュの隣にロクシーが座り、その前のソファで、なぜか目を真っ赤にしたルチアーノが座っていて、妖精王は壁際に立っていた。


そして、ルシアンの姿を見ると、ロクシーが笑顔で言った。


「アンジュちゃんから聞いたよー!

アンジュちゃんがシャンパンタワーを倒しちゃったんだって?」


アンジュも楽しそうに笑う。


「そうだ!

あのグラスのタワーが倒れるとは知らなくて!」


するとルチアーノが、シルクの深紅のハンカチで目元を押さえながら、感動に満ちた声で言った。


「いいんだよッ……!アンジュちゃん!!

あれぞリリカル……!!

俺様の感性は震えっぱなし……!

ありがとう!」


アンジュは「そうか?」と小首を傾げている。


ルシアンはロクシーに向かって、静かに問う。


「リオとアーチーボルトは?」


ロクシーがパチンとウィンクする。


「も・ち・ろ・ん!

パーティ会場に清掃業者を呼んで、片付けてもらってる!

その監督をしてるわ!」


「なるほど」


そう、ルシアンが頷いた時だった。


妖精王がニパッと笑って口を開いた。


「でさあ〜♪

ルシアンがネ☆

プールに飛び込まないって約束してくれるなら……。

プールサイドでパーティやり直さない!?

そのまま、ナイトプール☆☆☆

映え☆」


ルチアーノが、さっきまで泣いていたとは思えない鬼の形相で、ルシアンに詰め寄る。


「そうだッ!

ナイトプールでやり直し!

これぞ……ロマン!

ライトアップした空間の幻想的な雰囲気……。

お洒落な浮き輪や、ビーチボールでプールを飾る……❤️

だから!

お前は絶対にバタフライも潜るのも禁止だッ!」


ルシアンはチラリとアンジュを見た。


アンジュもニコニコと、あどけなく美しい笑顔を浮かべている。


ルシアンが戦士の眼で、即答する。


「……理解した!

私は泳がない。

そしてパーティをやり直し、“ナイトプール”とやらを、やろう!」


そうして始まった、プールサイドでのパーティ。


リオとアーチーボルトは戻って来なかったが、ルシアンは気にならなかった。


ルチアーノの言う通り、完璧に演出されたプールサイドはライトアップされ、水中からもライトが反射し、大小様々なカラーのビーチボールや浮き輪が人工的な光を放ち――


セレニスの自然と不思議と調和し、まさに幻想的な空間だった。


その中にいる、アンジュ。


ふわふわのピンクのドレスを翻し、無邪気に笑い、食事をしたり、ジャパンの平成の曲をロクシーと口ずさんだり――


そしてルシアンに、「このケーキ、美味しいぞ!」と勧めてくる。


ルシアンは、

今だけは――

アンジュに見惚れていたいと思った。


このひととき、アンジュに見惚れていても罪にはならないだろう。


そしてルシアンは、無表情に僅かな笑みを浮かべ、アンジュを見つめる。


そのうち、妖精王が「ナイトプールに入らないとか草☆」と言って、ふわりと浮き輪に乗った。


ルチアーノも負けじと、ドボンと音を立てながら浮き輪に乗り、「ナイトプール、最高❤️❤️❤️」とはしゃいでいる。


アンジュとルシアンの視線が一瞬交わり、笑い合う。


そして妖精王は、プカプカとプールに浮きながら月を見ていた。


「そろそろカナ☆」


その呟きは誰にも届かないまま――

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

明日も17時更新です☆


Xはこちら→ https://x.com/himari61290

自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪


〈ルシアンとガブリエルをもっと知りたいあなたに…〉


【完結】大天使と“ズッ友”になりたい地獄の王。 〜柄物スーツに一目惚れしてから、すべてが始まった件〜


https://ncode.syosetu.com/n5195lb/


【完結】大天使ガブリエル、地上に爆誕!〜神の命がふんわりすぎて、祈ろうとしたら迷子になりました〜


https://ncode.syosetu.com/n2322lc/


【完結】大天使たち、日本昔話に異世界転生する。〜初恋成就作戦を決行するポンコツ地獄の王に振り回されています〜


https://ncode.syosetu.com/n7024ld/


【完結】大天使ルシアン、最強捜査官になる〜神の沈黙と愛の証明〜


https://ncode.syosetu.com/n5966lg/


【完結】大天使と最強捜査官のクリスマス戦線 〜セレニスに集う者たち、愛か使命か〜


https://ncode.syosetu.com/n9868lk/


【完結】大天使と最強捜査官のクリスマス戦線〜聖夜の余白の物語〜


https://ncode.syosetu.com/n9097lm/


【完結】地上でいちばん可愛い正月旅行〜天使と悪魔も福来たる、温泉・TOKYO・バタフライ〜


https://ncode.syosetu.com/n5279ln/


【完結】大天使、悪魔のお見合いを阻止せよ!?〜地獄の王がお見合いを断ったら、大天使に婚約者が爆誕!〜


https://ncode.syosetu.com/n2903lp/


【完結】地上でいちばん難しいバレンタインの贈り物〜天使が天使に恋してます!?悪魔と軍師も混ざる秘密の奇跡〜


http://ncode.syosetu.com/n2458ls/


を読んで頂けるともっと楽しめます(^^)


こちら単体でも大丈夫です☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ