第76話 共闘5
最近気付いたんですけど、小説家になろうのアプリが出たんですって。
それで私も一応インストールしたのですが、どうやらこのアプリ、ブックマークしてる作品の更新通知
飛ばしてくれるらしく。
お陰様で確認しないと更新してるか分かんなかった作品が、何もしなくても通知飛ばしてくれる様になりました(っ’ヮ’c)ワア
皆様にも是非オススメです
スライムの支えを失った紡祇が地面に落ちる。
出現した黒が紡祇ごと消さないかと心配になったがスライムと一緒に直ぐ消えたみたいだ。
「アイタッ!」
「きりるん咥えて距離を取れ!」
「ばうっ!!」
きりるんに命令をして紡祇を回収させてから逃げさせる。
他にスライムが散った所は無いか辺り一面を探すが、シオンの身体の一部は炎の精霊の近くにある貫かれた後の残骸だけだった。
敵は残りアレだけ。
炎の精霊が紡祇ではなくシオンの近くに居るのも警戒すべき要素だろう。
「厄災の魔女の探索。感謝します」
背後から近寄る王様。
見た目こそは骨張って不健康な痩せすぎ極細貧弱体型だが、立ち姿だけで発せられているオーラは、想像される威厳のある王のそれに似ている。
スライムは翔流の攻撃も俺の『奇跡』も弾く厄介者だから、それを即座に処理してくれたのは感謝でしかない。
まぁ、それよりも厄介な事になったがな。
「あの黒い奴。アンタの『奇跡』か?」
「今はその認識で構いません。他に確認すべき事あるでしょう?」
問い詰めるかの様に話す彼。やはり紡祇を守ってる所を見られていたか。
今の紡祇の姿は『厄災の魔女』と同じ美しい銀髪と綺麗な顔立ちをしている。一応男とは言え外見だけで即座に男だと判断するのは難しい。
そんな『厄災の魔女』によく似た紡祇をエスタに見られた。
『厄災の魔女』を倒すと言いながらソレを守る動作をする。完全な裏切りだ。考え方次第じゃあ、レオンの魂に乗っ取られてしまったと解釈されても仕方無い。
どうする、殺すか?
相手は異世界で戦いに慣れた人間だ。相手の能力が未知数な内に攻めるのは避けたいが、ここで不意を取らなければ負けしまう可能性がある。仮に不意打ちが成功したとして争っている間にシオンから攻撃される恐れもある。たかがスライムの攻撃なら大した事は無い。それよりも危険なのは炎の精霊だ。
紡祇が言うにあの精霊は獣人を丸焦げにする程度の出力はあるらしい。真っ当にやり合えば獣人の二の舞だ。
スライムと、炎の精霊と、異世界の王。どれから攻めても他二人が危険。言葉を発さずに『奇跡』で同時に攻めるのも出来るが、あのやり方はある程度集中してやらないと発動しない。レオンに乗っ取られている状態の時は全て考える事にリソースを割いていたから出来ていたが、行動しながらとなればそれも難しい。
……全員一気に仕留める手段は取れなさそうだな。
倒す手段が取れないなら、俺が『厄災の魔女』の姿を知らないと言う事にするのはどうだ。
現在、エスタは「俺が『厄災の魔女』の名前を知っている」と言う情報しか知らない。それは「俺が『厄災の魔女』の特徴を知っている」情報は知らない事にもなる。
つまり、見た目はまんま『厄災の魔女』でも俺はその姿が『厄災の魔女』の特徴と完全に一致しているとは知らない。そう思わせる動作をする。
そうすれば、見た目が『厄災の魔女』の人間を庇う動作をしても矛盾が起きない。
「そうだったな。アンタの能力よりも、先に『厄災の魔女』を倒さなきゃ次に進まないからな」
「…………ふむ。そうですね。聞きたい事は沢山ありますが、それらは後回しで良いでしょう」
よし、誤認させれた。
なら今やるべき事はシオンと炎の精霊を仕留めるだけ……炎の精霊がきりるんと同じ様に紡祇やシオンの『奇跡』で生み出されたのであれば俺の『奇跡』も通る。
炎で構成されている以上、温度が落ちるのは避けたい筈。つまりあの精霊に打つべき一手は奴の温度を落とす事。
「『こお』」
「ですが一つだけ、気を付けて欲しい事があります」
「んだよ。直前に止めないでくださいよ」
「すみません。ただ、これだけは伝えないといけない事でして」
『奇跡』を使う寸前で止められる。
何やら神妙な顔をして話しているが、そんなに重要な事なら早く教えて欲しかったものだ。
無言のまま話だけは聞く姿勢で待つ。
「『厄災の魔女』と戦う方針を取った手前これを言うのもアレなのですが……実を言いますと『厄災の魔女』は間違っても殺してはならないのです」
「はぁ!?」
堂々とした態度でそれを言う彼に大声を上げる。
「今!? 今それ言います!? じゃあアレどうするんですか! 炎の精霊は良いとして『厄災の魔女』仕留めなきゃ話になりませんよ!!」
「貴方の言いたい事は分かります。ですが、『厄災の魔女』だけは殺してはいけないんですよ」
「それはそっちの事情でしょう!? 俺には何も関係が無いじゃないですか!」
「そうは言ってられないんですよ。『厄災の魔女』に関しては」
ここまで抗議しても尚意思を曲げないって事は、異世界人の事情以外の何かがあるのだろうか。一応異世界の王様になっている人間だ。少しは話を聞いてやるか。
「彼女……いえ、彼女の『魂』と混ざり合った『厄災の魔女』の性質が危険なんです。『厄災の魔女』の宿主を殺してしまえば、宿主と周囲の『魂』全て喰らい尽くして『厄災の魔女』本体が出現してしまいます」
「本体か……」
シオンの昔話にもあったな。
【数年に一度。世界を更地に還す『厄災の魔女』が現れる。『厄災の魔女』は銀髪の見目麗しい少女を依代として、突如集落の中心に現れて破壊の限りを尽くす】こんな感じの伝承があるんだっけか。
破壊の限りを尽くす『厄災の魔女』出現のトリガーが宿主の死亡なら確かに殺してはいけない。
だが、あれを止めなければ紡祇が安全にならない。
「じゃあ、『厄災の魔女』は生け捕りで炎の精霊は処理。それで良いですね」
「ええ。炎の精霊は私が消しておきますので、『厄災の魔女』は頼みますよ」
「無茶な方を頼みやがる。やってやりますよ」
それが合図になったか、炎の精霊が目の色を変えて攻撃を仕掛ける。
声は一切発さない。ただ、炎の精霊の体から分離した炎が広範囲の炎の網に変化し、俺達を囲って燃やそうとしてくる。
その間にシオンの残骸は液状に姿を変えて遠くへと逃げようとする。
「逃がしやしねぇよ。『追え』!!」




