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【君との絆が奇跡になる】全てを言った通りに出来る能力を手に入れたので、襲撃してくる異世界人を返り討ちにして無双したい件  作者: 呂束 翠
兄妹愛

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第70話 兄弟愛13

どうもこんにちはこんばんわぐっもーにんぐ。稀に会える友人と遊びに行ったり、頭痛で苦しんだりして更新が遅れてしまいましたマジでごめんなさい。


今週の土日(7/11、12)は大会に行くので、次エピソードの更新も少し遅れそうです。

また、ちまちま過去エピソードの文章の見直しをしたりしているので、しばらくは一気に数話追加とかは無くなってしまいそうです。基本週一位のペースで更新しているので、まったりと待たれてくださいませ

 一つ咳払いをして動けない俺の前にゆったりと歩いて姿を見せる異世界の国王様。

 久しぶりに見る顔だ。入学式初日から数日程度しか見て居なかったけれど、その姿は確かに俺の記憶の中に残っていた。


「お前……名倉(なくら)か」


 名倉(なくら) 明人(あきひと)。高校入学してから数日間しか来なかった不登校の男。身長は約165センチと男子高校生の中では平均辺り。入学式の時は制服で体型が多少誤魔化されていたが、夏用で露出が多い私服に着替えた彼の身体付きは何処もかしこも骨張っていて過剰に痩せている様に見えた。

 登校していた間はずっと俯いていたり、話しても小さな声で何かを言っていた記憶しかない。入学してから数日間は登校していたが、クラスメイトと会話する事は無く、休み時間はうつ伏せになって寝るか寝たフリをしてばかり。珍しく外に出たかと思えば時間ギリギリまで何処かに行って、ずっと一人で居るよく分からない奴だった。


 一週間経った位から度々学校に来ない日が増えていた。

 翔流が言うには名倉(なくら)は「幾らかトラウマを抱えてる虐められっ子」だそうだ。不登校が増えたのもトラウマが影響しているのか、それとも中学校からの同級生と何かあったからなのか。詳しい事情は知らないが精神的に不安定な状態が続いていたみたいだ。

 そんな状態で名倉(なくら)は3週間過ごして、最後には過呼吸を起こし、心配した先生の手を振り払って自力で保健室に行っていた。その後はよく知らない。多分なんやかんやで帰宅したんだろう。それ以降、学校では姿を見ていない。


 ザックリ言うとよく分からん奴だ。

 皆が知らない所で色々あったのだろうが、興味関心を向けていなかった俺の中では「よく分からん奴」以上にもそれ以下にもならなかった不登校のクラスメイト。

 そんな人間が何故か異世界の元国王様に乗っ取られてここに立っている。

 筋肉が一切付いていない細い身体なのに目の活気と仕草だけで威厳を感じる。流石、中身だけは異世界の元国王様だ。


「数日し_顔を合わせ_いないクラスメイトを覚えているとは。明人(あきひと)も喜んでますよ」

「勝手に乗っ取ってんのに保護者面してんじゃねぇよ」

「…………本当に言葉が通じているのですね」


 心底驚いた様子でノイズ混じりに話す彼。最初はノイズが大半で若干聴き取りに行くかったものの、今では身体が慣れたのか殆ど鮮明に聞こえる。


「それでは自己紹介と行きましょう。私の名はエスタ・ガット・ウィリアム。王都『ゲハイリヒト』国王であり、世界の均衡を保つ者です」

『何処まで本当なんだか』

「事実かどうかは然して重要ではありません。そういう名乗りをした人間だと理解して頂けるだけで結構です」


 大層な肩書をツラツラ並べた割にはソレへの執着が無さそうだ。人の上に立つ人間の大半は下の立場の人間を見下していると思っていたが、どうやらコイツは違うらしい。

 俺から見て上の立場の人間が学校の先生位しか知らないから、圧倒的上の立場の人間がどういう動きをするか分からない。やはり権威の頂点に立つ人間はそこらの一般人とは違うのだろうか。


『それで。自称王様が俺に何の用だ』

「貴方を助けに来たのですよ」』


 助けにねぇ……異世界人自体に信用が余り無い今、その言葉を無造作に信じるなんて出来ない話だ。だが、この状況を俺一人が何も出来ないのも事実。この言葉が本当なのか、嘘なのか。嘘であったとしても利用出来るかどうか。会話のみになってしまうが探るしかあるまい。

 とりあえずシオンを知っているかどうか。そしてシオンを知っているのであればどういった関係なのかを探ろう。


『有難い話だが俺を助けた所で何になる。王都のお偉いさんだから『厄災の魔女』をどうにか治めたいのは分かるが、この世界の一般人を一人救ったとてどうにもならんだろ』


 『厄災の魔女』、これは昔話の中でシオンが敵対している相手に言われていた名前だ。

 昔話の中では王都の人間は『厄災の魔女』を狙っていた。そしてその国の王が『厄災の魔女』について何も知らない筈が無い。まぁ、この王様がシオンの言っていた王都と同じ国の王様かは分からないが、それの特定も込めての会話だ。


「へぇ……どなたからその名前を聞いたのですか?」


 柔和な微笑みが一気に崩れて真剣な表情になる。

 まずは『厄災の魔女』については知っていると。

 この問に素直に答えるのも出来るが、それでシオンの仲間だと思われたら一溜りもない。ここは誰かの名前を借りよう。

 異世界人で知っている名前。そしてなるべく姿を知っている奴と言ったら……


『獣人のローナーって奴から聞いたよ』

 コイツしか居ないだろ。


「彼と会ったのですね……会話するまで大変でしたでしょう?」

『そうだな。最初から本気で殴ってきて取っ組み合いになってさ。人違いだって説明するのも一苦労だったよ』

「はははっ彼らしいですね。腕っぷしはありますが何分頭が弱いもので……恐らく見た目と能力で師範と間違えたのでしょうね」

『あー、そういえばそんな事も言っていたな。我が師だとか言ってさ。違うって言っても『悔いの無い用様、全力で行こう』とか言ってさ』

「それはそれは……大変な絡まれ方をされたのですね。同情します」

『それはドーモ』


 見た目と能力で間違えた……か。やっぱりあの獣人の師匠はシオンのお兄さんだったのか。となれば気絶した時に見たあの夢の様な記憶も、異世界で実際に起きた出来事だったのだろう。

 ただ、理解が深まったのは良いが、同時に疑問も湧き出る。

 シオンは王都と敵対している。これは間違いない。

 問題はシオンの兄は何故か王都の人間の師範になっていると言う事だ。しかもそこそこ上の立場であろう獣人ローナーの師匠だ。

 妹が敵対している国のそこそこ上の立場の人間の師範をしている兄。単純な関係では無さそうだ。しかも、シオンの兄が王都の人間の師匠をしていた事を、『王都の王が知っている』という事実。

 今持っている情報ではまともな理解が出来ない今、これを元に探りを入れるのであれば、俺が誰と敵対している事にすれば良いかは明白。


『それで、話は逸れだがどうして俺を助けるんだ? 俺を助けた所でアンタ等が倒したがってる『厄災の魔女』討伐には大した協力は出来ねぇぞ』

「そうですね。貴方だけの力ではどうしようもありませんね」

『なら余計に俺なんて必要無いだろ』

「いえ、必要です」


 毅然とした態度で言い放つ彼。

 彼がどうして俺を助けようとするのか、どうして直ぐ様殺さずに生かすのか。それの答えは直ぐに帰って来る。


「貴方はレオンの魂を……『厄災の魔女』の兄の魂を10%も抱えた上で自我を保てている人間だからです」

次のエピソードから新情報をどんどん出して行きます。

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