第68話 兄弟愛11 キャラクター紹介9
キャラクター紹介9人目。【聖騎士団団長】【最強の獣人】そしてシオンの兄の弟子。獣人ローナー
名前:ローナー
性別:男
身長:2m
能力:【精鋭の奇跡】
・身体能力が非常に向上する。
・肉体の損傷に対して非常に強く、破壊能力も高い。魔法に近しい表現をするならば【身体能力強化の魔法】。ただし自身に対してしか使えない。
詳細:
・聖騎士団団長、最強の獣人、シオンの兄の弟子
・シオンからは害獣と呼ばれている
・魔法が非常に不得意。種族的な適正の無さもあるが、単純にローナー本人が魔法に対して理解が浅い。一応魔法がどういう物かを聖騎士団の人間から聞かされてはいるが、持ち前の身体能力+【暴力の奇跡】で魔法を全て無視して戦っている為、同格以上の魔法使い相手には弱い。
現在出て来ているキャラクターで、ローナー相当の魔法使いはシオンとシオンの兄のみである。今後も追加で出現します。
・狼モチーフの獣人。本来は顔の形も狼に近いフォルムをしている。現在は人に近しい顔をしている。
・獣人の誇りで基本的には全力を出した相手でないと戦わない。
「えっ!?」
物が人の顔に見えるシミュラクラ現象というのがあるけれど、その笑い方は明らかにそういった気のせいでは済まされない現象だった。
にっこりと微笑みかけた蒼い炎は大きく膨れ上がって人の形へと変形する。温度の高さ故か少し揺らいで見えるその姿は、美しさの中に力強さを感じる女性の様にも、無駄な筋肉が一切無くしなやかで芸術品に似た神秘性を帯びた男性の様にも見えた。
ただ確かに言える事は、あの炎が模している姿は人間そのもの。それだけは理解出来る。
「ご主人。ご命令を」
女性らしい男性とも、男性らしい女性とも、聞き取れる声で話し掛ける彼とも彼女とも言える炎の精霊らしき生物。
常に変わり行く状況に戸惑いつつも、ボクの中では今やるべき事は理解しているつもりだ。
僅かに早くなった呼吸を整えて炎の精霊さんに指示を出す。
「ソイツを……『最強の獣人』を倒して!!」
コクリと頷いて蒼い炎の精霊が獣人さんの脚をがっしりと掴み直す。
獣人さんは抵抗しているみたいだけど、炎の精霊さんは彫刻の様な冷たい微笑みを携えたまま、獣人さんを蒼い炎の海に投げ飛ばす。
投げ飛ばされて地面に着地して直ぐに獣人さんが地面を蹴って高速でこちらに跳んで戻ろうとするが、それを遮って炎の海が空へと真っ直ぐ伸び獣人の進路を妨げる。
辺り一面に散らばっていた蒼い炎は獣人さんを捕らえる様に集まって大きな檻を形成する。
しかし所詮は炎。獣人さんが火傷を覚悟で突進して強行突破しようとするが……その檻を抜ける事は無かった。何度も突進を繰り返した後に、炎の精霊さんが手を真横に払う。と同時に炎の檻が激しく燃え上がって獣人さんを中心に巨大な渦を作る。
「流石に死んじゃったかな」
後ろからきりるんに乗ってひょっこり現れるシオンちゃん。
あんなに炎の中を走っていたのに、きりるんには焼けた跡一つ残っておらず美しい銀色の毛並みを靡かせている。炎を扱うからには炎耐性も備えているのだろうか。
「君はとんでもない化物を創ってくれたね」
「化物じゃないよ。炎の精霊さんだよ…………多分」
精霊と呼んだ方が見た目の印象に近いけど、シオンちゃんの世界観ではどんな見た目していても超常現象を起こす生物はみんな化物なのだろうか。お家でされた昔話には精霊の概念とか魔物の概念を詳しくは説明されて無かったから、シオンちゃんの世界がどんな物か知らないからなぁ……。
そこら辺の定義をちゃんと整理しようと思えば時間掛けてやれるんだろうけれど、ボクの脳ミソのリソースはそこまで割けれない。信世みたいに爆速で考えれたら良かったんだけどね。
「多分って…………紡祇君がどんなのをイメージして炎に魂を宿したかは知らないけど、アレはれっきとした化物だよ。概念が人の形を模して生まれた生物。魔力を使わずに周囲の木々や虫、挙句には燃やしている対象や同族の魂すらも吸い取って炎の燃料にして、炎を魂の代わりに使って自分自身で延命する化物。人間と仲良しこよしする精霊とは程遠い存在だよ」
「そんなにヤバいヤツなんだ……」
「今回はあの害獣を消さないといけないから戦闘要員としては最適なんだけど………… 『奇跡』の使い過ぎで君が死んじゃったらどうするの」
それ初耳なんですが。
勿論、こんなトンデモ能力を無制限に使えるとは思ってなかったけど、こういうのって使えなくなるまで使ったら勝手に制限が来るもんなんじゃなかろうか。ギリギリまで能力を使ったら体が勝手に止めるとか、そういうの無いのかな。
ネット回線みたいに使い過ぎたら凄い回線が悪くなって実質使えないみたいな、そんな感じの。信世はネット制限使い放題で契約してるみたいだから、こういう話に共感して貰えないだろうけどさ。
「『奇跡』の使い過ぎで死ぬ事あるの?」
「当たり前でしょ。紡祇君や信世君みたいにポンポン『奇跡』使って無傷で居る方がおかしいんだよ。僕の世界の人ならともかく、君達の世界の人は基本的に魂の強度はそんなに高くないのに、どうしてこうもバカスカ使ってなんとも無い訳? 普通はね、あんな化物創ったら魂の半分は代償で削れて、何らかの精神汚染が起こるはずなんだよ」
「シオンちゃん落ち着いて、心配してるのは分かったからちょっと落ち着こ?」
とかなんとか言ってる間に炎の渦の勢いが収まってきた。
やっぱり炎だから燃料無しで燃やし続けるなんて出来ないのかな。だけど、あの炎ってきりるんが言うには「消えない炎」らしいし、そう簡単には無くならないのでは?
そう思って炎の渦の周辺を見てみると、なんと地面を伝って炎の精霊さんの足元から炎が吸収されてるじゃないか。
全ての炎を吸収しきって焼けた地面が露わになる。中心には体毛が焦げて全身火傷を負った獣人さんが倒れていた。僅かな力を振り絞って顔を上げるが体は起き上がらない。あれだけの深手を負えばしばらくは動けないだろう。
「人の魂を啜__か厄災の魔女よ!!!」
炎に焼かれた顔でノイズ混じりの怒声を上げる獣人さん。
人の魂を啜ったか……魔法を使うには魔力か魂を使わないといけないってシオンちゃんから聞いたし、多分これって魔法の事を言ってるよね。
もしかして今ボクが使ったのは『奇跡』じゃない? でも、炎の精霊さんを召喚した時はボクの体調が凄く悪くなったし、他の人の魂だとかを使って魔法を使った訳じゃないはず……。
「人の魂啜っただとかそんな酷い事する訳……」
「ご主人、ここは私が」
精霊さんに押しのけられて前を譲る。
「ご主人が私に下さった能力は『炎を介してあらゆる事象に干渉する能力』。無論、貴方の言う人の魂を啜ったには該当しない能力です。言いがかりは止してください」
「この子の言う通り紡祇君は他人の魂を使ってないよ。使ったのは自分の魂だけ。聖騎士団連中が嫌う魂の強奪には値しない行為だよ」
二人して庇って貰えたは良いけど、知らない情報がどんどん出て来るな……炎の精霊さんの能力が『炎を介してあらゆる事象に干渉する能力』と割と何でも出来そうな能力だったり、聖騎士団の人達が魂の強奪を嫌うだったり。新しい情報は逐一脳内にメモしてるけど、聞けば聞く程知らない情報が溢れてしまって信世に再開した時に伝えきれるか不安だ。
獣人さんが深手を負った状態でボク達を追って来たのだから信世と翔流もそこそこダメージを負ってそうで、安否が確認出来ない現状に不安しか募らない。
無傷でも怪我だらけでも、信世の存在がそこにあると言う実感が欲しい。スマホで連絡してもいつもは即座に反応がある信世から一切既読すら付かない。
この訳の分からない獣人さんに襲われている暇があるなら信世を探したい。信世が死ぬなんてあり得ないけど、異世界人が未知の能力で襲ってきている以上安全とは言い切れない。
早く信世に会いたい。
そこに居てくれる実感が欲しい。
この不安を支えてくれる親友で大好きな信世がここに居てくれるだけでボクは安心出来る。
だからどうか、ボクを孤独にしないで欲しい。心から信用出来ない人達と茶番を続けてるボクを、助けに来て欲しい。
「オオオオオオオオーーーーー」
「どうしたのきりるん!?」
唐突に隣で遠吠えを始めるきりるん。巨体の分その音が広く遠くへ響き渡り、炎の精霊さんを除いて近場に居たボク達は大きな音で反射的に耳を塞ぐ。
数秒続いた遠吠えが無くなった頃、シオンちゃんがボクの胸倉を掴んで怒鳴りつける。
「紡祇君、今何を願ったの!!!」
「な、何って…………」
初めて見る怒りに染まったシオンちゃんの表情に慄いて、隠す必要の無い信世に会いたい感情を言おうとして言葉が詰まる。
しかしその言葉を言う必要は無かった。
その問いの答えは既にそこに迫って来ていたからだ。
先日、エピソード69から始まった【閑話 メイド喫茶『とらんす♂』】の3話目にて、メイド女装した信世君とメイド服着た紡祇君、二人のイラストをエマ(サブ)様(Twitter現Xの@EMAEMANOEMA0205
)から納品して頂きました。
大変可愛いイラストになっておりますので、良ければ目次一覧からイラストだけででも見て行かれてください。また、エマ(サブ)様(Twitter現Xの@EMAEMANOEMA0205
)のTwitterアカウントも見て頂けると嬉しいです




