067-2『狩人の書』
次の話が執筆間に合ったので、設定集を先出しします。
隻眼のオルド。
彼が生み出した技は、大きく五つに分けられる。
地。薪。火。煙。そして――天。
地に立ち。
薪をくべて。
火を起こし。
煙となって。
天へと還る。
大自然の中で考案された技には、それらの頭文字が刻まれている。
影のように大地を駆けて。
薪のように命を割り捨て。
烈火のごとく拳を振るい。
煙のように姿を消して。
天上の神すら殺すに至る。
それは、かつて魔王をも殺した技術。
千年をかけて磨き上げられた、狩人の牙。
そのすべてを、老兵は次の世代へしかと託している。
☆☆☆
《地》
①影帽子
完璧な気配遮断能力。
特殊な丸薬で匂いや体温すら遮断する。
オルドは最初から魔力を使っていないため、魔力による探知も無効化する。
シュメルの場合は魔力を使うが、それを完全に遮断する技術を習得済みである。
どちらにしろ、視界から外れた時点で観測は不可能。
②蝕喰み
毒草などから毒を抽出する錬成術、およびその耐性、そして運用方法を指す。
麻痺毒から致死毒まで。
ありとあらゆる新毒を開発、運用する。
オルドが独学により身につけた毒学なので、世間一般にある解毒薬では解毒は不可能。
ちなみに、彼らの運用する毒は火を通すことによって無効化する。
★地盗り
縮地、という技能を力技で昇華した地の奥義。
ただ思いっきり走る。それを極めた。
走行可能距離は30mほどだが、瞬間移動に等しい速度を誇る。
ただし、肉体への負担が非常に重いため、使用後は片足の筋肉が全断裂する。
オルドはその犠牲を払って、本当の奥の手として利用している。
だが、シュメルは反転により傷を癒せるため、吐き捨てるように使用することも可能。
《薪》
①万の針状
武器が壊れない、なんて甘ったれた想定はしない。
武器は壊れる。そして壊れたのなら、そこらから新しい武器を拾うしかない。
けれど、都合よくそこらに武器が落ちているとは限らない。
そういった想定から、ありとあらゆる物質を武器として流用する技術を確立。
紙でも木くずでも、ガラス片でも、ペンであれ。
手に取るすべてで相手を殺す。そのための技術。
フィアンドールが武器に触れて一日で80%、二日で100%、三日で120%を引き出していたのに対し、この技術は触れた瞬間に凶器の90%のポテンシャルを引き出すことが可能。
②????
万の針状と組み合わせて、初めて輝く殺しの技。
今のところ使用機会はない。
ただ、殺傷能力は極めて高い、とはシュメルの感想。
★逆津薪
対象の体内を切り裂く見えない斬撃。薪の奥義。
外傷なく、相手の骨を、肉を断ち切る。
鋼の鎧も、分厚い盾も、あらゆる障壁を貫いて、割く。
『天』の技を除けば、持ち技の中で火力は上から二番目、とはシュメルの感想。
《火》
①狼骨
局所的な筋肉操作技術の極意。
肘から先の部分に力を込め、異形の腕を創る。
使用時は腕が鋼鉄のような硬度となる。
《火》の技は全てが高火力・自傷技のため、自身への反動を押さえるためにも必ず使用する。
②六花
一瞬の『溜め』の後に放つ、瞬間六発。
ただの連打ではなく『同時』の打撃。
おそらくではあるが、技の中では一番理不尽で意味不明な技術。
力技で物理法則すら捻じ曲げて、わずか一時、腕を増やすような無理を通す。
なぜ成り立っているのかは、オルドやシュメル自身も説明できない謎の技。
基本的には同時に六打撃だが、技量に応じて打撃数は少なくなっていく。
シュメルの場合は三打撃。
③遠雷
飛ぶ拳撃。
放った拳が衝撃波となって相手を襲う。
火における唯一の遠距離攻撃。
④霜月
人体の急所、鳩尾へと叩き込む一撃。
衝撃により呼吸困難を引き起こし、相手の動きを一時的に阻害、停止させる。
殺す技ではなく、殺すための『間』を強制的に生み出す技。
シュメルは個人的にお気に入りの技でもある。
★??
火の奥義。
六花の意味不明具合に「おそらく」とつけたのはこの技が原因。
かの技に並ぶレベルの、理不尽、意味不明、頭おかしい。そんな技。
純粋な火力に限って言えば、理論上は『天』の技をも超える。
逆津薪をも超える、一撃必殺技である。
《煙》
①????
特殊な歩法による、煙の基礎。
直接的な攻撃技ではないが、搦手としては非常に優秀。
同時に、敵前から逃亡するときにも有益である。
②大過亡く
反則的な受け流し技。
脱力により攻撃の衝撃を体内へと流し、ダメージを極限まで無効化する。
また、技量によっては攻撃の衝撃を体内を流し、そのまま相手に跳ね返すことも可能。
★煙る鏡
煙の奥義。
強烈な殺気を『気配』と感じられるまでに凝縮し、相手へと放出する。
それと同時に気配を完全に遮断することで、本当に攻撃が飛んできたものだと誤認識させる。
言わば、究極のフェイント。
《天》
全てが各技の奥義級。
人ではなく、神や魔王にスケールを合わせた絶技。




