065『シュメルVSフィアンドール』
襤褸の少女。
彼女の獲物は、刀だ。
先ほど、闘技場で受けた傷は「滑らか」の一言に尽きる。
それは西洋の両刃剣では成し得ない、絶大な切れ味。
そしてこちらの防御なんてお構いなしに、万物を両断する膂力。
その二つが合わさり、重なり。
尋常ならざる『脅威』を生んでいる。
「なはははは! かっけぇだろこの刀! お気に、ってやつだぜ!」
推定、150センチも届かぬ小柄で。
扱うのは、刃渡り二メートルにも近しい大太刀。
少年のような無邪気さで。
少女が振り回し、ばらまくのは純粋な殺意。
「シッ!」
一瞬の溜め。
そこから弾かれるように放たれた鈍色の一閃。わずか一刀。
受け止めた城崩しとの間に、嫌な音を立てて火花が散る。
「ぐ……っ」
尋常ではない威力だ。
シンプルな膂力からして、僕と同等。
速度に至っては僕以上なのに加え――そこに技量が加わっている。
乗算して発された一撃は、会心の一撃と呼ぶにふさわしいもの。
それが、通常攻撃。
全てがソレだというのだから、笑いたくとも笑えない。
脱力し、衝撃を逃がす。
けれどもすべてを殺すには至らず、後方へと身体が弾かれる。
「まだまだァ!」
フィアンドールは素早く太刀を構える。
空中へと弾かれ、回避も防御もままならぬ僕へ。
情けも遠慮もなしの少女に、僕は全力で城崩しへと力を籠める。
そして――一閃。
少女へと向けてではなく、それは、足場としていた屋根へと向けて。
全力で『破壊』を行った。
「ぬおぅっ!?」
衝撃に、建物が揺れる。崩れる。
悪いなぁ、とは思いつつも獣を仕留めるのが優先。
屋根は崩壊し、フィアンドールの姿勢が崩れる。
が、そんな姿勢でも攻撃を続けられる程度の体幹はある。そう、僕は彼女の身体能力を信じている。
案の定、彼女はそんな状態でも攻撃を続行。
空中に居る僕へと、容赦なく斬撃を撃ち放つ。
が、今は「身動きが取れない」わけでもない。
崩れた屋根。
巻き上がったがれき。
その一つを足場として――空中で方向転換。
あっさりと斬撃を回避し、フィアンドールの懐へと入る。
「嘘ぉ!?」
「ホントだ獣」
城崩しの形状変化。
大きなハルバードから、小さな手斧へ。
隙だらけの腹へと、全霊で城崩しをぶちかます――。
その、刹那。
視界の端に捉えたのは――フィアンドールの笑顔だった。
「……ッ!?」
まずい、と思った次の瞬間。
攻撃をした右手に感じたのは、生身では有り得ぬ硬質な感触。
襤褸の中に鎧でも来ていたか……!
そう直感すると同時に、左腕へと焼けるような痛みが走る。
視界の端を、自身の左腕が飛んでいた。
切断面から、鮮血が噴き出す。
隙だらけ、だったはずなのに。
今の一瞬で刀を戻し、僕の腕を切り落とした。
……想定以上の速度。推定だが、僕の五割増しはあるだろう。
マトモに戦ったんじゃ、勝ち目がない。
「なはははは! 俺様の肉体は特別せ……ぶへぇっ!?」
だがあいにく、僕の戦い方は『マトモ』とは程遠い。
切り飛ばされた腕が、光となって消えると同時に。
戻った左腕で、思い切りフィアンドールの顔面を殴り飛ばす。
何か言いかけていた途中で吹っ飛んだ彼女は、ゴロゴロと家の中を転がっていく。
……だが、僕はその姿より、今まさに左拳に感じた感触の方に気を取られていた。
「……これは」
なんだ、あの硬さは。
攻撃は通る。
現に、鼻血を噴き出しているフィアンドールを見れば明らかだ。
だが、その攻撃の効きがあまりにも悪すぎる。
先ほど城崩しから感じた硬質な感触。
あれと似たような感覚が、顔面を殴り飛ばした左拳に残っていた。
……視線の先で、フィアンドールが立ち上がる。
襤褸が風に揺れ、斧に切り裂かれた腹部が露出する。
そこには、鎧などなく。
ただ、薄皮一枚切り裂かれた柔肌が見えるばかり。
「こんっの、野郎! 俺様のセリフを遮るんじゃねぇ! 俺様の肉体がどれだけ特別なのか、言ってる最中だろうが!」
「……不要だ、聞かずとも知れた」
戦慄と共に、頭の中に並べていた戦略という戦略が尽く崩れていく。
信じられないが……見たものを信じるのならば、そういうことになるのだろう。
大なり小なり、鍛えた筋肉は固くなる。
だが、彼女の場合は柔いとか固いとか以前に――とにかく硬い。肉質が硬い。
強かでしなやかで、柔軟性があり、かつ硬い筋肉の鎧が全身を覆っている。
故に攻撃が通らない。
城崩しの刃すら通らないとなると……相当だぞ。
「さて、どう仕留めたものか」
「聞かねぇなら教えてやるよ! 俺様がいかに特別で、おんりーわん、かってところをな!」
僕に並ぶ膂力と、上回る速度。
そして肉体そのものが保有する特異な硬度。
……まさに、天賦の肉体。
その肉体が今、再び大太刀へと力を籠める。
「これやっちゃうとすぐ死んじゃうからな……。あんまり使わないようしてたんだけど」
「………………は?」
不穏な声と共に、少女は――居合の構えをとった。
いや、まさか。
あの大太刀を、あの小さな体で?
そんな、物理的にできる訳が……。
それに、間合いの外だ。
攻撃が当たるはずがない。
理性は、そう叫んだ。
常識に照らして考えれば、脅威ではない、と。
だが、同時に本能が絶叫する。
かつてない音量で耳鳴りが脳を貫く。
死期が、やってくる。
「ま、死んじゃったらその時考えるってことで!」
「……ッ!?」
攻撃、防御。
そのすべてをこの一瞬、全てかなぐり捨てて。
ただ、避ける。
それだけに全霊を尽くした、わずか刹那。
――世界が、真っ二つに裂けた。
家の壁も。
その向こうに見える建物も。
遠くに見えた衛兵の駐屯所も。
なにも、かも。
そこに住まう人々なんて関係なしに。
お構いなしに。
丸ごと、一刀両断。
間合いなんて度外視で。
ただ、一閃上のモノすべてを、問答無用で割り捨てた。
咄嗟の回避は僅かに間に合わず。
片脚が消し飛ぶと同時に――反転。
すぐさま無傷へと舞い戻り、真っ先に抱いたのは、怒り、だった。
「おまえ……ッ!」
避難が済んだ場所で暴れるのとは、話が違う。
この女が殺意を放り投げた先は――まだ避難が済んでいない場所。
多くの人がいるであろう、安全地帯。
そこに、何の考えもなく致死の一撃をぶち込みやがった。
正気か、と咄嗟に疑い。
すぐに、自身の正気を疑った。
馬鹿か、僕は、と。
分かっていただろうが。
オーディが呼んだ連中だ。
善性であるはずがないと、心の中では分かっていた。
だから、殺しても構わないと、覚悟を決めていた。
はず、だったのに……。
「なはははは! 斬れた斬れた! でも死んでねぇ! 面白れぇ、面白れぇ!!」
この少女は……僕の怒りを理解していない。
分かっていたなら笑えないはずだ。
考えが足りない、というだけでは済ませられない。
人を殺したかも知れない、だというのに。
この少女の目には、ただ、僕の姿しか映っていない。
「楽しいなぁ、好きだなぁお前! 愛してるぜシュメル・ハート!」
向けられているのは、純粋な好意。
どこまでも穢れを知らない、ゆえに気味の悪い執着。
あるいは愛情に、僕は、腹の底から反吐を吐く。
「……前言撤回だよ、クソが」
殺してしまうかもしれない、だとか。
何を、甘いことを言ってたんだ僕は。
この少女は――ここで殺さねばならない。
確実に、息の根を。
止める。
でなければ、人類の癌となる。
愛情を抱いて人を殺しかねない獣など、平和な世界には必要ない。
手斧状態の城崩しを握り、息を吐く。
形状が、変わる。
さらに小さく。
さらに鋭く。
ただ一振りの『短剣』にまで殺意を押し込め。
吐き捨てるのは、ただの本音だ。
「僕はお前が嫌いだよ」
ぶるりと、フィアンドールは身を震わせた。
それは恐怖によるものか。
あるいは、武者震いによるものか。
「あ、ははは! っははははは! その目、いいなぁ、いいなぁ! 強いだけのやつの目じゃなくなった! 獲物を前にした狩人の目だ!」
食らうために殺すのではなく。
ただ、邪魔だから殺す。
悪だから殺す。平和の障害だから殺す。
故に、狩人として獣を狩るのとは、別の覚悟が必要だ。
これは、ただの人殺し。
そう考えるときは重いが……。
けれども「必要な殺し」だと。
心を非情に徹し、凍らせる。
カチリ、と。
遠く、腹の底で。
何か音が聞こえた気がした。
そんな感覚を置き去りに。
肉体は、ただ殺すためだけに加速する。
「にぃ!」
迫る僕へと、フィアンドールは口角を上げる。
すぐさま居合の構えを取ろうとするが、ぴたりと、途中で動きが静止する。
納刀、構えて、ためて、放つ。
居合切りにはその工程が不可欠だ。
いくらその過程が洗練され、迅速であっても。
省略はできない。確実に、コンマ数秒の準備は必要となる。
――そしてそのコンマ数秒は、超近接戦では命取り。
ナイフを、逆手持ちへ。
そのわずか数瞬を足掻き勝ち取るため。
絶死の間合いへ、土俵入り。
腕を伸ばし切らずとも触れる距離感。
逆に言えば――一歩でも対応を間違えれば死ぬ距離だ。
この距離でのみ、彼女の居合切りは黙殺できる。
その危険区域へと立ち入りながら。
眼前のフィアンドールと、視線が交差する。
驚き、目を見張る彼女へ。
言外に目で告げる。
『この首、落とせるものなら落としてみろ』と。
返答はなく。
ただ、笑みを深めたフィアンドールが始動する。
居合切りを捨て。
ただ、殺すためだけの刃が迫る。
一合、刀とナイフが交差する。
肉体が悲鳴を上げる。
腕が軋み、骨が歪む。
――総じて反転、二合目を受ける。
火花が散った。
壊れぬナイフへ、叩きつけるような大太刀。
嫌な音とともに刃こぼれした鉄くずが舞う。
鉄くずが見開いた目に刺さる。
出血。視界が赤で滲む。
けれど戦闘には支障なし。
続く三合。
手に痺れ。受け止めた衝撃により人体断裂。
わずかに緩んだ握力を見逃さず、フィアンドールがナイフをはじく。
重ねた四合目。
武器を失った僕へと振り下ろされた一刀。
好機、と目を見開く彼女の眼前へ。
弾いたはずの黒い刃が、ぬるりと迫る。
「うおっ!?」
驚き、咄嗟に後方へと跳ねるフィアンドール。
その姿を見送り、弾かれた右手とは反対の左手で構えたナイフを降ろす。
――この間、わずか1秒の出来事。
「な、なんだ! 手品ってやつか!?」
返事の代わりに走り出す。
城崩しには形状を自在に変える能力がある。
ならば、弾かれたところで城崩しを鎖と変えて僕の元まで戻し、再びナイフへ変形させるまで。城崩しの変形機能が間に合うかは不安ではあったけれど……さすがは父上の相棒。これしきの戦闘速度じゃ置いていく事も叶わない。
ナイフを、フィアンドールへ投擲する。
彼女は頭を振ってその投擲を回避するが――その後方で、狙い通りにナイフは柱に突き刺さる。
瞬間、城崩しはナイフより鎖へ。
がんじがらめに柱を縛った城崩しは、強引にその柱をへし折った。
強烈な破壊音。
思わずと後ろを振り向くフィアンドールの目の前に。
迫っていたのは、予期せぬ方向からの『倒壊』だった。
柱が支えていた屋根、付随する壁。
かろうじて原型が残っていた家屋が、丸ごと僕らへ降り注ぐ。
「はぁっ!?」
予期していた僕と。
予期せず驚く彼女。
差は明確。
初動の差で、シンプルな速度の差を埋め、殺す。
倒壊に一瞬気を取られ、目を奪われていたフィアンドール。
彼女は、咄嗟に僕の動きに反応が追い付かない。
気づき、目では終えても。
この一撃は、躱せない。
切り裂かれ、露出した腹へと拳を当てる。
狙うは外傷ではなく、内傷
衝撃はいらない。
鋭さも不要。
ただひたすらに――重く、深く。
内臓にまで、しかと響かせろ。
見様見真似だが、似たような技も習ってる。
なら、できるはずだろ。
「寸勁」
「が……ぁ!?」
内臓が揺れる。
衝撃が、重さが。
腹を貫き、背へ抜ける。
ここに来て初めて――フィアンドールの表情が喜色以外へ揺れた。
確かに映った、苦悩、痛みの表情。
斬撃ではなく、打撃。
これなら、倒せる。
内傷こそが、無敵の肉体の攻略法だ。
そう確信した。
瞬間、下からの衝撃が全身を揺らした。
「なッ!?」
蹴り上げられた。
狙いもつけず、ただ暴力に任せて。
力のままに、僕を思いきり蹴り上げた。
体が、上空へと吹き飛んでゆく。
――距離が、開いた。
互いにとっての絶死の間合いより。
一方通行な、居合の間合いへと挿げ替えられる。
予感と同時に直感し。
焦りは一瞬。すぐさま目を細めて現実を見る。
カチン――と。
納刀の音。
威圧感が、上昇気流のように吹き荒れる。
眼下のフィアンドールが見据える先は、上空。
今度こそ回避不能な僕めがけて、放つは一撃必殺の一刀両断。
飛距離無限の、防御不能の一閃だ。
「けど、これで――!」
狙いは上空。
一般人を巻き込む恐れ、無し。
なら文句なしの条件だ。
僕一人の危険で済むなら、これ以上は望まない。
「さぁ! 今度はどう躱すよ、シュメル・ハートぉ!!」
刀が、煌めく。
ただの技術の粋が、放たれる。
不可避にして防御不可。
いわば必殺の一撃を前にして。
城崩しも手元にはなく――対処は不能。
できるのは、ただ、死を読むことだけ。
全身へと叩きつけられるような、猛烈な死期。
空中で訪れる一刀両断を前に、かつてない絶望が押し寄せる。
その中で。
ひときわ輝く『即死』の気配を読み解いていく。
どこが危険で。
どこを避けるべきで。
逆に、どの部位ならば受けても生きていられるのか。
思考の余地は、わずか0.2秒ほど。
永遠に等しく引き伸ばされた思考の中で。
動かせる部位は、わずか数か所。
そこだけ避けて――一刀両断。
灼熱が全身を巡る。
腕、足、そして腹。
多くを両断され、かつてない出血が空を満たす。
内臓が宙を舞い、痛みが遅れて脳に痺れを齎した。
歯を食いしばり。
想いは一つ。
「――僕の、勝ちだ」
重傷程度で終わらせたな。
一撃で命を、意識を刈り取れなかったな。
なら、今の攻防、お前の負けだ。
全身を光が満たす。
傷が癒える。
無かったことに反転する。
命が助かるはずもない重傷からの、即復帰。
その光景に、わずか一瞬驚きを見せたフィアンドール。
狙いは違わず――彼女の獲物へ。
自由落下の勢いを一切殺らず。
刀の側面へと、全力前例のかかと落とし。
音を立てて、彼女の大太刀が砕け散った。
「これで……!」
飛距離無限の居合切りは、もう無い。
獲物は奪った。
これ以上、一般人への被害は増やさない。
気を使う必要がなければ、この少女との戦いに専念できる。
さぁ、ここからが本番だ――と。
決意を胸に。
覚悟を決めて。
少女に対した僕が、真っ先に感じたものは。
――先を上回る、死期の一撃だった。
「………………は?」
反応、不可能。
放たれたのは、ただの拳。
先ほどの斬撃が可愛く思えるほどの。
ただ、異様な膂力による全力の拳。
顔面へと、突き刺さる。
……その後のことは、よくわからなかった。
全身に、痛みがあった。
気づけば視界一面に空が広がっていて。
仰向けにぶっ倒れていることに理解が回り。
少女の足音が、残酷に近づいていることに気づく。
「あーあー。この間ゲットしたばっかりだったのによぉ! 俺様の剣士人生、わずか三日だぜこの野郎! いよいよもって素手で戦うしかなくなっちまったじゃねぇか!」
……わずか、三日。
そう言ったか、この女。
全身に力を込めて、何とか立ち上がる。
ふらりとよろめく僕を前に、少女は悠然と立っていた。
折れた刀を、興味もなさげに放り投げ。
その姿に、僕は今までの勘違いを理解させられる。
――この少女は、剣士ではなかったのだ。
あれだけの技量だ。
当然、一流の剣士だと考えていた。
目を見張る剣技であったし、脅威的な居合切りだった。
それを、わずか、三日と彼女は言った。
つまり、剣技など彼女にとっては『付け焼刃』で。
本来の戦い方は、ソレではないのだ。
そう、全身の痛みが直感とともに告げている。
フィアンドールは、拳を構える。
大太刀を捨て。
本来の戦い方を取り戻した彼女は、僕へと告げる。
「本気でやってやるよ。簡単に死ぬんじゃねぇぞ?」
――敗北。
脳裏をよぎった、その二文字。
自覚と同時に、また、音が聞こえた。
カチリ、と。
先ほどよりも、大きく、確実に。
僕の中で、何かが変わろうしている音がした。
【豆知識】
〇フィアンドール
四律の天秤、その一角に座する赤毛の少女。
魔王の因子でもあり、魔王の【肉体】を受け継いでいる。
それは、この世全ての暴力を内包した天性の肉体。
ありとあらゆる戦士の頂点に立つべくして存在する、天賦の才覚。
武器を手に取れば、一日で習熟し、二日で理を知り、三日で達人となる。
彼女自身、お遊びとして今まで様々な武器に触れてきた。
大太刀は、三日前に露店で見つけて気に入っていたもの。
つまり、初めて触れてからわずか三日。
それだけの日数でシュメル・ハートを脅かした。
とはいえ、だ。
彼女自身の本来の武器は――その肉体。
純粋な殴る蹴るの肉弾戦こそ、因子の本領。
武器を壊されて初めて。
玩具を捨てて、少女は「お遊び」から「本気」へと切り替える。
☆☆☆
カチリ。
また一つ、音が聞こえる。
歯車が噛み合い、動き始める。
ぬるま湯から、死地へ。
才能と限界を問われる、その場所へ。
至って初めて真価が輝く。
狩人の本能が呼び起こされる。
意識が――あの庭へと逆行する。
敵を慈しみ、危機を喜び、死地へと羽ばたけ。
リスクを嗜み、勝利を渇望し。
絶望の縁で、狩人は独り牙を研ぐ。
さぁ、昨日の強者よ。今日の弱者よ。
お前は今、何になる?
次回『逆行』
シュメル・ハートもまた――この極限で覚醒を始める。




