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アースランドの支配者、その名は暴動《ライオット》

挿絵(By みてみん)



並んで歩くようにホームを出た瑠璃と咲耶だったが、

街の出口に向かおうとする咲耶と反対方向に向かおうとした

瑠璃は絡めた腕のせいでお互いを引っ張るようにつんのめる。



「ちょ、ちょっと瑠璃!?街の出口はこっちよ?」



身長差のせいで大きくバランスを崩した瑠璃を転ばないように

支えながら咲耶が瑠璃に行き先をもう一度確認すると

瑠璃は瑠璃で顔をしかめながら咲耶に言う。



「まさか歩いていくつもりだったんですかぁ?

 街一つ移動するんですからワープポータルを使うのが常識ですよぉ」



ほら、アレですよと言いながら瑠璃がワープポータルを指差すと、

今度は咲耶が呆れ顔になってため息をつく。



「貴女ねぇ・・・前にワープポータルを使うと転移先でPKされるから、

 容易に使っちゃ駄目だってしつこく言い聞かせてきたじゃない」


「それは一人の時の話ですよぉでも今回は私が一緒ですからねぇ」



そう言いながら瑠璃は咲耶の手を引いてポータルに向かい、

出現した転移先一覧のウィンドウから空洞都市アースランドを

選択して決定ボタンを押す。


するとポータルから光の柱が出現し、一瞬目の前が暗転した後に

蓬莱町とは似ても似つかない無骨な建物がそびえ立つ

街の入口に咲耶と瑠璃の二人が出現する。



「はぁい到着ですよぉ」



転送が終わると同時に瑠璃がぴょんと跳ねてワープポータルから

出ると、それと同時に周囲の岩陰からガラの悪いプレイヤーが

数人、様子を伺うように姿を現す。


それを見た咲耶は龍牙を構え、警戒しながら瑠璃の隣まで歩いてくると

瑠璃は大丈夫ですよぉと咲耶の背中を軽く叩きながら一歩前にでる。



「お久しぶりですねぇジャック」



瑠璃がそう言ってリーダー格らしき戦闘に立っていた

男性キャラに向かって笑みを浮かべ話しかけると、ジャックと

呼ばれた男もまた笑みを浮かべて腰の低い態度を取る。



「こりゃ瑠璃の姉御じゃないですか、ヘッドに用事ですかい?」


「えぇ、事前に連絡は入れてあるので通してもいますよぉ」


「へぇわかりやした、頭ならギルド本部にいると思いやす」



テキパキとした態度を取るジャックに、ご苦労さまですぅと

一言残して瑠璃は咲耶の手を引いてアースランドへと入ると、

なにか聞きたそうな顔をしている咲耶に先ほどの

ガラの悪い連中について話し出す。



「あの人たちはこれから向かう嵐王国のギルドメンバーですよぉ」


「嵐王国の?それにしては随分と友好的な感じだったけれど」


「それはそうですよぉ私は彼らの頭とお友達ですからねぇ」



意外な友好関係に咲耶が感心したような顔で瑠璃を見ていると、

瑠璃は少し先に見える周りよりも一回り大きな建物に近づいて

咲耶を手招きで呼ぶ。



「咲耶、これが嵐王国のギルド本部ですよぉ!」


瑠璃に呼ばれた咲耶がギルド本部に近づいて見上げると、

思いのほか奇麗な建物に顔をしかめる。



「ねぇ瑠璃、確か嵐王国って破落戸の集まりだって話よね。

 やけに立派で綺麗な建物だけど本当にここなの?」



咲耶の問いに瑠璃はケラケラと笑いながら最もな

質問ですねぇと同じように建物を見上げながら言う。



「そう言いたくなる気持ちもわかりますけどねぇ。

 とりあえずギルドマスター、ライオットに会えばわかりますよぉ」


「ふ~ん・・・」



そう言い残してタタッと入口へと駆けていく瑠璃を横目に、

咲耶は建物を眺めながらゆっくりと後を追っていった。








「おい、貴様ら何者だ!そこで止まれ!」



瑠璃と咲耶がギルド本部の入口に差し掛かると、

突然横―建物と城壁の間から怒声がかけられてそちらを見る。

するといかにも番兵ですと言わんばかりの安そうな装備で

身を固めた男が瑠璃たちの方へと歩いてきて、

入口を塞ぐように立ちはだかる。



「貴様らどこからきた?アースランドでは見かけん顔だな」


「そうでしょうね、私たちは普段蓬莱町にいるから」



番兵の質問に咲耶が答えると番兵は訝しい表情で

瑠璃たちを交互に見たあとに質問を続ける。



「櫻花楼閣の支配地に巣食う連中が何の用だ?

 ここはアースランドを支配する大型ギルド、嵐王国の本部だぞ!」



再び質問に答えようとした咲耶を手で制し、瑠璃が一歩前に出ると

ずいっと番兵に詰め寄って悪い笑みを浮かべながら答える。



「さっきからグダグダとうるさいんですよぉ雑魚は引っ込んでください。

 私たちはもうギルドマスターに用があるから直接出向くというメールを

 送ってあるんですからぁ」



それに蓬莱町は別に櫻花楼閣の支配地じゃありあせんからぁと

一気に言い切った後におまけで掌底を放ち、番兵を入口の扉へと

叩きつける。


いい気味だとそれを見下す瑠璃だったが、一応番兵であることを

考慮されているのか、思いのほか防具の性能が良かった為に

番兵は怒りに顔を歪ませて立ち上がる。



「貴様ら・・・この嵐王国で好き勝手して無事でいられると――」



番兵が仲間を呼ぼうとホイッスルのようなアイテムを取り出すが、

突然背後の扉から漆黒の槍が生え、番兵の身体を軽々と貫いた。


一瞬でHPがゼロになった為、叫び声をあげる間もなくドサリと

倒れる番兵の体から引き抜かれた槍は再び扉の向こうへと消え、

同時にゆっくりと扉が開かれる。



「まったく・・・お客人が来ると伝えてあったはずなんですが」



開かれた扉から現れた番兵の身体を貫いた槍の持ち主は、

倒れている番兵に見て呆れた声でそう言った後に

瑠璃と咲耶の方へと身体を向け、深々と礼をする。



「ようこそ嵐王国へ、私がギルドマスターのライオットです。

 歓迎しますよ瑠璃とそのご友人」








「まったく部下の教育がなっていませんねぇ」


「返す言葉もありませんよ、ハハ」



入口でのやり取りの後、ギルドマスターの部屋へと

通された瑠璃と咲耶は、出してもらった紅茶を頂きながら

向かい合わせに座るライオットと話していた。


男性と楽しそうに話す瑠璃も珍しいが、咲耶はギルド本部の

構造やギルドマスターにも興味を惹かれていた。


アースランドは地下の空洞に作られているだけに岩や砂が多く、

建物もエジプトやアラビアを連想させるものが多い。

だけどギルド本部だけはまるで西洋の城のような外見をしており、

内装もしっかりとしたものだったのだ。

とても破落戸が集まるギルドの本部とは思えない。


更にギルドマスターであるライオットの外見だ。


咲耶と同じように揃えられた薄紫色の前髪。

後ろ髪も腰ほどまでの長さがあり、先端へと進むにつれて

その色はだんだんと濃く紫へと変化している。

襟足も長く胸のあたりまで垂らされており、

顔には目元だけが隠れるトランプのジョーカーのような

笑顔の仮面がつけられている。

顔立ちも女性っぽく感じるところがあり、これだけ見ると

中性的な男という印象を持つだけだ。


だが問題はその装備である。


華奢な体型に似合わない銀色に輝く無骨な上下鎧。

右手に持つは巨大な漆黒の槍、左手にもそれなりに大きな漆黒の盾。


ライオット(暴動)という名前と破落戸が集まるギルドの

マスターという点から咲耶が想像していた姿とはまるで

かけ離れたその外見に思わず咲耶はまじまじと

ライオットを観察していた。


その視線に気づいたライオットは瑠璃との会話を一度止め、

椅子から立ち上がると身体を咲耶の方へと向けて軽く頭を下げる。



「先程は我がギルドの新人が無礼を働きまして、申し訳ありません。

 改めて自己紹介させていただきましょう、私はこのアースランドを

 支配するギルド嵐王国のマスター、ライオットと申します」



ライオットの礼儀正しい挨拶に、咲耶も立ち上がると

軽く組んだ手を腹の前に添え、深々と頭を下げてそれに応じる。



「瑠璃の友人で咲耶と申します。瑠璃はともかく

 他人の私までお邪魔してしまってすみません」


「いえいえ、お気になさらず」



言い終えたライオットが椅子に腰をおろすと、

続いて咲耶も腰をおろしたところで瑠璃が本題を切り出す。



「さて、そろそろ本題に入りますかぁ。

 実はメールでも軽く説明したと思うんですけどぉ」



瑠璃がそう言ってホームで咲耶と妖狐に見せたSS(スクリーンショット)

展開すると、ライオットも手元で自分のウィンドウを操作する。



「わかってますよ、実は私たちもこの件に関しては

 気がかりだったので少し調べてあるんですよ」



そういってライオットが操作を終えると部屋中に瑠璃が

展開したものと似たボスや強化モンスターとの戦闘画像が

表示され、その中には瑠璃と同じ画像も混じっていた。



「これは・・・」



あまりの画像の数に咲耶がそう呟くと、ライオットはニヤリと

弧を描くように口元を歪め、両手を大きく広げながら言う。



「今回の異変が観測されてから、今この瞬間までの全ての

 ボス、強化モンスターの画像データですよ」


「はぁ・・・こんなにあったんですかぁ」



流石の瑠璃も嵐王国に集まる情報量の前に感嘆の息を漏らし、

それらの画像を見渡していると一つだけ動いている画像が

あることに気づき、それに注目する。


よく見ると画像では巨大な青色のドラゴンと騎士のような

装備をした集団が戦っている様子が映し出されているようだ。



「ライオット、あれは動画データか何かですかぁ?

 このゲームに動画の録画機能はないはずですけどぉ」


「あぁ、そういえばアレの説明がまだでしたね」



瑠璃が動く画像に関してライオットに尋ねると、

ライオットはアイテムウィンドウからレンズがついた

小型の箱のようなものを取り出してお互いの間にある

テーブルへ置く。



「これは二つで一つのセットアイテムの片割れなのですが

 もう片方はラジコンのように操作できるカメラになってまして、

 そのカメラで現状撮り続けている映像がこのアイテムを通して

 表示されているというわけなんですよ」



そのアイテムの説明に瑠璃が何か言おうとするが、

ライオットは譲りませんよと一言言ってアイテムを自分の

アイテムストレージへと戻す。


ぐぬぬとライオットを睨む瑠璃だが、ライオットが無言で

差し出した紙切れを受け取ると突然笑顔になって

ライオットと握手を交わす。


そのやり取りに嫌な予感がした咲耶だが、とりあえず今は

映し出されている映像を見る方に集中する。



「おやぁ?あれは確か・・・」



ライオットとの謎のやり取りが終わった瑠璃も咲耶と

同じように映像を見ると、そこに映る騎士たちの中に

一際目立つ金色の騎士がいるのが目に入った。


金色の騎士は大きな剣を振るい、時にはその身と同じぐらい―

ライオットの物よりも大きな盾でドラゴンの攻撃を防いでいた。



「どうやら今あのボスモンスターと戦っている人たちは

 アクアゲートに拠点を持つセントクルセイドのようですね」



二人と同じように映像に目を向けたライオットがそう言うと、

咲耶は恐らくあの巨大な盾を持つ金色の騎士こそがセントクルセイドの

ギルドマスター、アイアスなのだろうと予測を立てる。


そしてその予測を肯定するかのように瑠璃がドラゴンと

対峙する金色の騎士を睨むように見ながらポツリと呟く。



「相変わらず防御だけは桁外れですねぇ以前PKを試みた事が

 ありますけどあの防御は突破できませんでしたよぉ」


「仮にもアイアスはこの世界(ナイトメアオンライン)最強のプレイヤーですからね、

 私や瑠璃でも流石に手に余る相手だというものですよ」



瑠璃の呟きにライオットが答えると、二人はそろって紅茶の入った

ティーカップに口を付ける。

それと同時に咲耶だけが見ていた映像では、ドラゴンの尾による強烈な

一撃で盾をはじかれたアイアスがそのまま踏み潰され、HPがゼロになる。



「・・・そのアイアスが今死んだみたいよ?」


「「ぶはっ!!」」



そしてそれを聞いた瑠璃とライオットは同時に紅茶を吹き出したのだった。

更新が遅れるのはそのまま作品凍結への前触れらしいですね、

一応最終話までの流れはできてるけど気を抜かずに頑張ろう。

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